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探偵なんだから推理しろよ。

 2020の14本目の映画『ナイブズアウト』。別の映画を見に行ったときの予告編がおもしろそうだったので、映画館で観ました。基本WOWOW待ちでいいやって思うので、なかなかのレアケース。

さて、この映画ですが、今どき珍しい、超王道推理サスペンス映画。探偵が関係者を集めて自分の推理ショーを披露するという、もう日本ではアニメの中でしか行われないようなお話。だから、僕も最初は設定も80年代とか、ちょい前なのかなあって思ってたんだけど、バリバリの現代。上の写真の子供もスマホ持ってるし。この手の映画は、推理ショーとか、トリックとかをなりたたせやすくするために、少し昔の設定でやるのに、あえてこの現代の中で勝負するっていうのは、チャレンジャーで楽しい。

もちろん、アカデミー賞の脚本賞にノミネートするくらいだから、ストーリーはしっかりしていて、これはネタバレではなく、早めに犯人がわかり、探偵が核心にせまってくるのをビクビクしながら過ごすという古畑任三郎に近い方式ですよね。映画自体は間違いなく楽しめます。

で、これ観て思ったのが、「探偵」です。実際の探偵は浮気調査とか人探しみたいな、捜査のなんでも屋みたいなものなんだろうけど、もう、おそらくシャーロック・ホームズみたいなものの影響で、殺人がおこったらそこに探偵が現れて警察と協力して事件を解決する、なんていう実際には絶対にありえない構図を普通に受け入れちゃってるよね。なんていうか、ファンタジー。スーパーマンって職業と一緒。かっこよすぎるよね。殺人がおこったときに、「私は探偵です。この事件を解決します。」なんてハードルの上がり方!!すごすぎ。だから、小説とか映画とかでずっと描かれるんだろうけど。

じゃあ、実際の探偵はどうなんでしょうね。例えば、調査中の浮気相手が殺されちゃったときに、依頼者に「殺されました」じゃスマなさそう。僕が依頼者なら「探偵なんだから捜査しろよ」って思っちゃいそう。
同様に、プロ野球選手がお見舞いに行ったら、「ホームランの約束しろよ」って思っちゃいそう。僕が子供なら「僕のためにホームラン打って」て言わないまでも、そう思っちゃいそう。だとすると、中継ぎピッチャーとか、守備職人とかお見舞い行きづらいよね。

こんな風に、映画とかもしくはワイドショーのようなテレビもそうだけど、勝手な職業のイメージを植え付けられることってあるよね。僕は芸人だけど、「芸人はしょっちゅう合コンしてそう」って思われてるだろうし、「介護士は地獄のように大変」とか、「漫画家はちゃんちゃんこ着てる」とか。
そして、なんかがっかりされちゃうよね。勝手に想像したくせに。介護士に「大変ねえ」って言ったら「そんなことないです。楽しいです。」て答えられるがっかりされそうだし、漫画家がスーツ着て漫画書いてたら「なんか違うなあ」って思われるんだろう。結局、人は、「こうなってほしい」って思ってる通りにならなきゃ不満なんだよね。

で、映画は「衝撃のどんでん返し」って言わないと、人来ないし、来た人は「衝撃のどんでん返し」を期待してるのに、「衝撃のどんでん返し」って言っちゃてるから、何やっても衝撃のどんでん返しにはならないのよね。みんなあらゆる可能性を予想しちゃうから。本当は、「衝撃のどんでん返し」で見にくる人たちは「衝撃のどんでん返しって言ってたけど、たいしたことなかったわ」ってのを期待してるのかもしれませんね。

めんどくさ。

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