得意なイノベーションと不得意なイノベーション
こんにちは。事業計画研究所です。
本日も「入門 起業の科学」田所雅之(日経BP社)の所感をレポートしていきます。
前回は、「市場の流れから考える“市場の未来”」というテーマで話を進めていきました。
今回は「様々なイノベーションとその特色」というテーマで話をしていきます。
様々なイノベーション
近頃よく耳にするフレーズ
“イノベーション Innovation”
「イノベーションを起こして、あの企業は大きくなった」
「大企業はイノベーションを起こすのが苦手だ」
「イノベーションに失敗して企業の業績が悪化した」
上の例の中で登場するイノベーションはそれぞれ意味が異なることをなんとなく感じ取れると思います。
「イノベーション」と一言で言っても、様々なものがあるということですね。
この違いを理解することで、大企業と一線を画すビジネスができるスタートアップについての考察がより深まることと思います。
スタートアップの得意と大企業の不得意
スタートアップが大成功する多くのパターンは、
”大企業が市場に参入しようとした段階で、すでに市場を独占している状況”
をつくりだすことです。
では、なぜ大企業は先んじて市場に参入することができないのでしょうか?
それは、大企業の抱える「イノベーションのジレンマ」というものがあるからです。
大企業が得意なイノベーションは、「持続的イノベーション」です
これは、課題と解決策が顕在化していて、従来製品・サービスの改良をひたすら行うことにあたります。
「もっと早く、もっと薄く、もっと軽く、もっと高機能に…」
というように改良に改良を重ねていくこともイノベーションの1つです。
しかし、このように思ったことはありませんか?
「早く(薄く、軽く)なくてもいいから安い方がいい」
「必要な機能があればそれで充分」
これは顧客が求めるニーズを製品の性能が超えてしまったことを意味しています。
既存製品の改善にこだわり続けて過剰な性能の製品を作り、市場のシェアを奪われることは「イノベーションのジレンマ」の典型的な例です。
大企業がこのジレンマを抱えてしまうのは、縦割り組織の業務形態が原因の1つと言えるでしょう。
担当部署がやることは決まっていて、ミスを減らし効率を重視した組織体系では、どうしても持続的イノベーションを続けることになるのです。
破壊的イノベーション
ニーズを超過してしまった市場は、それ以上の進化が起きず停滞してしまいます。
そんな停滞してしまった市場や従来製品の価値を破壊して新しい価値を生み出すものを「破壊的イノベーション」と言います。
携帯電話業界では、Appleが「iPhone」によって、スマートフォンの概念を広め、あっという間にたくさんの新しい価値が生み出されました。
湯沸かしポットの市場では、ティファールが電子ケトルによって、無駄な機能を一切排除して早くお湯を沸かすことに特化した製品が生み出され、今では一家に一台とまで言われます。
こうした「破壊的イノベーション」は大企業にスタートアップが打ち勝つ
唯一の方法であると言えるでしょう。
まとめ
今回は「様々なイノベーションとその特色」というテーマで話をしてきました。
数年前まではなかったもの、逆に数年前までは使っていたのに今では一切使わなくなったもの。
これらは身の回りにもたくさん潜んでおり、その数だけ破壊的イノベーションが起きたとも考えられます。
よくグローバル化についての話を聞く際に出てくる日本の家電メーカーが、海外メーカーにシェアを奪われた理由の1つに、持続的イノベーションしかできなかったことが挙げられます。
顧客が求めていることではなく、ひたすらに性能を追求したことによって、いつの間にか顧客が離れていってしまったのです。
私たちが使っている最新の製品やサービスも、いつ破壊的イノベーションによって一掃されるかわかりません。顧客目線では便利で豊かな生活が送れることで喜ぶべきことですが、ビジネス目線で考えてみると、とても恐ろしいことであるとも受け取ることができますね。
次回は「ターゲットとする市場の見極め」というテーマで話していきます。
次回作をお待ちください!
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