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ケーススタディから学ぶアートNFTの取り扱い①

こんにちは。事業計画研究所です。

本日も「NFTの教科書」天羽健介/増田雅史(朝日新聞出版)の所感をレポートしていきます。

前回は、「著作権から見るNFTアートとアートNFTの関係性」というテーマについて話してきました。

今回は、「アートNFTに関するケーススタディ①」というテーマで話していこうと思います。

ケース1. 著作権に基づくライセンスと、複数のプラットフォームをまたいだ売買

まずは、状況説明です。

  1. アーティストAが、自らの著作物であるアート作品をNFTプラットフォームXでNFT化し、購入者Bに販売

  2. 同プラットフォームの利用規約には、NFT保有者はアーティストからの許諾に基づき、当該アート作品をコピーして商品化してもよいとされている

  3. Bは当該NFTをXではない別のプラットフォームYで転売し、購入者Cがこれを購入

  4. この場合、Cは当該アート作品をコピーして商品化できるのか?

図にしてみると、こんな感じになります。

あるNFTが一般的なブロックチェーンで扱える形式のトークンである場合には、複数のNFTプラットフォームをまたぐ取引や、プラットフォームを利用しない直接の取引も予想できます。

このとき、アートNFTの保有者に対するライセンスが、プラットフォームに依存したものであるのか、複数のプラットフォームをまたいでも有効であるかは、アートNFTのエコシステムが特定のプラットフォームに依存せずに拡大できるか否かの試金石とも言えます。

今回の場合、プラットフォームXの利用規約において、NFTの購入者にどうような権利を認めているかが大きな判断基準となります。

1.プラットフォームXのユーザであるNFT保有者に対してアート作品の利用権を許諾している場合

この場合、アーティストAによる許諾は、XのユーザでないNFT保有者には及びません。したがって、購入者Cは商品化について許諾を得ていることにはなりません

他のプラットフォームでは、NFTを購入するインセンティブ自体がそもそも働かないというパターンになります。

2.プラットフォームxのユーザでないNFT保有者に対しても利用権を許諾している場合

この場合、購入者Cにも利用権は許諾されているため、許諾に基づく商品化を行うことが可能です。

将来出現する不特定の許諾先の存在を前提として、あらかじめ包括的な許諾を公に行う方式としては、パブリック・ライセンスの考え方が参考になると思われます。

まとめ

いかがでしたか?

これまでいろいろな法律だのなんだのと話してきましたが、実例をみると意外と分かりやすいものですね。

今回取り上げたケーススタディでは、主にプラットフォーム利用規約の内容に焦点が当てられました。

NFTに対する限定的な法律がない以上、プラットフォームの利用規約は他のサービスに比べてより重要なものになると思われます。

ユーザの立場からも、利用規約をしっかりと読み、内容を理解することが求められますね。

次回は、フォーカスポイントをアーティストにあてたケーススタディを取り上げます。

次回作をお待ちください!

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