辞書の生き物 #385 烏口突起:うこうとっき
烏口突起:うこうとっき
肩甲骨の上部にある小さく隆起した部分の名前です。
その突き出た形がカラスの嘴(くちばし)のように少し曲がっているところから付けられた呼称です。
実はこの骨の部分の名称は、江戸時代の杉田玄白らが翻訳した「解体新書:かいたいしんしょ」に「烏喙(うかい)突起」として掲載されたのが最初です。
ここで「烏喙:うかい」はカラスの嘴(くちばし)を表しています。
つまり、解体新書の原本「ターヘルアナトミア」で、カラスの嘴状の突起という意味です。
その後、嘴を口として表し、「烏口突起」と表記が変わりました。
この「烏口突起」、単なるでっぱりではなく、いくつかの筋肉がくっつく重要な突起となっており、その名も「烏口」が付く「烏口腕筋(うこうわんきん)」などの出発点になっています。
突起の形状が太くて曲がっていることからすると、似ているとされたカラスは、日本でいうところのハシボソガラスではなくハシブトガラスだったのではないでしょうか。
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