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人間万事塞翁が馬:にんげん、ばんじさいおうがうま #79 辞書の言葉

 三代目の獣医師「ぼっけもん」が生き物に由来する言葉、ことわざを紹介しています。辞書には生き物の名前が付いている言葉や言い回しが多く残っており、日本人と生き物のつながりの強さを示しています。
 今日も馬に関することわざです。

人間万事塞翁が馬

 教科書で習ったことがあるという人もいると思いますが、人生における幸不幸は予測しがたいということを意味する言葉です。
 幸せも不幸せも、いつまでも続くものではないのだから、安易に喜んだり悲しんだりするべきではないということを伝えています。

塞翁

 このことわざは中国の逸話に由来します。
昔、中国にいた老人(塞翁)の馬が逃げてしまい、周りの人たちが気の毒がりましたが、老人は「そのうちにいいことがあるさ」とさほど気にしませんでした。
 しばらくすると、その馬が別のりっぱな馬を連れて帰ってきました。
人々が祝うと、今度は「また悪いことが起こるかもしれない」と喜びませんでした。
 その後、新しい馬に乗った老人の息子が、落馬して足の骨を折ってしまいます。人々がそれを見舞いにいくと、老人は「これは幸せの元になるかもしれない」と予言します。
 一年後、敵が攻め込んできて戦争となり、若者たちのほとんどが戦死してしまいましたが、足を折った老人の息子は、兵役を免れたため、戦死しなくて済みました。
 「禍福は糾える縄の如し:かふくはあざなえるなわのごとし」ということわざも、幸福と不幸はよりあわせた縄のように表裏一体で、かわるがわるやって来るものだということのたとえで、塞翁が馬と同様の意味になります。
 
 何か起きるたびに、幸せだ、不幸せだと一喜一憂するのではなく、将来に備えることも大事ですね。

 ちなみに、小説「人間万事塞翁が丙午:ひのえうま」は、タレントや東京都知事も務めた青島幸男氏の作品で丙午生まれの母親を主人公とした内容で、その人生のさまざまなできごとを表現しています。


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