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泣いて馬謖を斬る:ないてばしょくをきる #66 辞書の生き物

泣いて馬謖を斬る

 今回は実は生き物由来の言葉ではなく、前回の「牛飲馬食」の馬食と同じ読みをする「馬謖」を使う言葉つながりの表現について書いてみます。
 この言葉は三国志に由来し、大義名分や規律を保つためには親しい者や優秀な人であっても厳しい処置をする、という意味で使います。

諸葛孔明

 三国志に登場する軍師の諸葛孔明が、弟子の中で優秀な馬謖(ばしょく)に目をかけ登用します。しかし馬謖は孔明の命令に従わず軍を大敗させてしまいます。孔明は軍の規律を守るために断腸の思いで馬謖を処刑します。その故事に由来する言葉です。「切る」ではなく「斬る」ですので、刃物で切る、斬り殺すことを表しています。
 現在では、実際に人を殺す状況で使うことはありません。会社で優秀な部下を左遷するとか、部活でキャプテンを交代させることなどで使うこともあると思います。「心を鬼にして」、「断腸の思いで」、というイメージでしょうか。
 「君は私にとっての馬謖だ」、と言われるほど上司から認められたいものです。首は切られたくないですが…

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