カスタマーサポートから組織力を高める|コミュニケーション改革の取り組み
「カスタマーサポートって問い合わせないとき何してるの?」
「カスタマーサポートって外注でもいいんじゃない?」
お客様対応としてフロントに立つカスタマーサポートは、何かと受け身になりやすい存在です。
しかし、カスタマーサポートはお客様の声を拾う貴重な存在。
決してないがしろにしてはいけません。
今回は、カスタマーサポートの声を集めて顧客満足度の向上につなげた株式会社セブンエージェントの取り組みを通して、カスタマーサポート・開発・営業の関係構築を考えていきます。
カスタマーサポートの仕事
カスタマーサポートの主な仕事は次の2つです。
カスタマーサポートはお客様からの問い合わせ窓口として、商品・サービスの利用方法やクレーム対応、故障時のトラブル対応など数多くの問い合わせに対応しなければなりません。
逆にいえば、カスタマーサポートの質が高いほど顧客満足度を高めて収益・リピートの増加につなげられます。
では、カスタマーサポートを活かして顧客満足度を高めるためにはどのような取り組みが考えられるのでしょうか。ここからは、実際にカスタマーサポートを活用した取り組み事例を紹介します。
カスタマーサポートを通してお客様の「声」を聞く
■一般的なカスタマーサポート
カスタマーサポートは、お客様からの問い合わせを通して製品の問題点を知ってはいても、なかなか社内にフィードバックをする機会がありません。
これでは、お客様にとって本当に良い商品・サービスを提供することには繋がりません。同じ社内でも、それぞれの目線がバラバラで、商品・サービスへの姿勢が噛み合わないこともあります。
そこで、カスタマーサポートが、お客様の声から商品・サービスの価値向上につなげる、を仕組化したのが、株式会社セブンエージェント(以下、セブンエージェント表記)です。ここからは、セブンエージェントの取り組み事例を具体的に紹介します。
■組織力の底上げに貢献しているサポート(事例)
<取り組みの内容>
セブンエージェントでは「品質向上委員会」を新たに作り、3カ月に6回のスパンで実施しました。
カスタマーサポートがお客様からの問い合わせを記録・分析
品質向上委員会でコンサルティング・開発チームに投げかける
このような機会を、サポートが主導で開催し、社内全体で取り組みを開始しました。
▼ 取り組みの目的
お客様のお問い合わせから、商品の改善や品質向上につながる「気付き」を抽出する
それらの気付きを開発チームや営業に伝えて「社内全体」でよりよい改善につなげる
▼ 取り組みのポイント
以前あった類似トラブルを未然に防ぐことで、お客様の信頼を高める
トラブル対応の費用・工数を減らして、その分を商品品質向上にあてる
社内全員が商品に対する知識を持ち、サポートに活かす
▼ 取り組みの効果
品質向上委員会の結果、商品に対するチームの認識の底上げにつながり、商品・サポートのクオリティが高まりました。
たとえば、クリックを複数回おこなったことによる「重複注文」に対して、ただ開発チームに改善を求めるのではなく、他社の事例も検証しながら、社内全体で改善策を検討しました。
不具合を社内全体で「教訓」として捉えることで、商品チェックの「視点」が増えます。
リリース前に、以前あった不備がないか、社内で確認できる人が増えることで、品質の向上につなげることができました。
営業・開発・カスタマーサポートのトライアングルを作る
営業・開発・カスタマーサポートは立場の違いから意見が食い違うこともあります。しかし、それぞれの立場で「お客様の利益」を考えていることには代わりありません。その意見の食い違いを社内で深掘りすることで、お互いの目線で商品が見られます。
カスタマーサポートを通じて得られたお客様の「声」は、社内ノウハウとして蓄積して社内の財産となります。結果として、お客様にとってより良いシステムが作れるだけでなく、企業自体も組織として強くなれるのです。
まとめ
「良い製品・サービス」とは、顧客満足度の高いものです。顧客満足度を高めるためには、企業がチームとしてお客様の方を向き、積極的に意見を出しあえる環境が必要といえます。予算管理を担う営業・システムを考える開発・アフターフォローを行うカスタマーサポートそれぞれが、意見を出し合うことで、思いがけない問題点が見つかることもあります。
「カスタマーサポートはトラブル対応の時だけで十分」と考えるのではなく、製品の開発段階から情報を共有することで、顧客満足度を高められるかもしれません。カスタマーサポートが組織内で利益を生み出すために力を発揮する役割であるという位置づけに、育てていくことも組織として重要なことだとビジネスデザイン研究所は考えています。