『食の歴史』 〜私たちの未来のために〜
『食の歴史』を読了。
ジャック・アタリが食の歴史から、人類の過去・現在・未来を語る。
まずは、ホモ・サピエンス誕生前の1000万年前からはじまるのだが、意外にもこの部分が私的には面白かった。
食べるものや食べ方の変化により、私たち祖先の脳は大きくなっていった。火を利用して食べるようになったので、腸への負担が減り、消化するためのエネルギーが減ったので、脳の容積が増えて、私たちは言語を習得できたという部分を読んだときは、心の中で大きく「へー!」と言ってしまった。
そう、私たちの体と暮らしは、食によって作られていったのだ。
そんな過去の部分は、なるほどなーと思うことしきりであった。で、現在に突入。ここから一気に、読んでいて気持ちが暗くなる。
実名で食品メーカーをこき下ろすアタリ氏。
特にハインツのケチャップに至っては、「こうして、ケチャップはどのような料理であっても味を消すために使われるようになり、とくにまずい料理にはうってつけのソースになった。」って(笑)
現在のパートを読んでいると、今の世界の食料事情がいかに地球を、そして私たち自身を痛めつけているかが良くわかる。
さらに暗い未来のパートが続くのだが、それでもまだ私たちには未来を変える力がある。
まずは、知ることだ。
知って、そして未来のために、どうしたらいいか考える。
ひとりひとりの力は小さくとも、それがたくさん集まったとき、それは波となってうねりとなって世界を変える力になる。
知りたくないようなこともたくさん書いてあるけど、食に携わる人にとっては必読の一冊。
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