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タイのハムちゃんずは何を訴えてるのだ?

Chapter.1 タイのデモで僕の歌が歌われてるのだ👀

はむはー🌻

普段僕は日本経済を勉強しているけど、つい先日、タイで「とっとこハム太郎の歌」がデモ行進に使われていたのだ。

この動画の中では、
①国会の解散
②政府批判者への嫌がらせの中止
③憲法改正

を訴えたい、と書いてあるけど、そもそもなんでハムちゃんずのみんなはこんなことを訴えているのか気になったので調べてみたのだ☝

Chapter.2 タクシン・チナワットさんの政治

そもそもの発端を辿ると、タクシン・チナワットさんという人が今まで続く混乱のキッカケになっている人なのだ👀

タクシンさんは、👇の年表の通り「新しい政党を創って4年で政権獲得する
」っていうスゴい人。

1997年:新しい政党「タイ愛国党」を創る
2001年:議席の過半数を取る

日本でいうとNHKを国民から守る党が自民党をジャイアントキリングするみたいなイメージ…って考えると結構スゴいと僕は思うのだ。

じゃあ、タクシンさんはどうやって政権獲得したのか?
その決め手が「選挙戦略」だったのだ。

タクシンさんは、
性風俗店・麻薬取り締まりの強化
30バーツ医療(約90円ですべての人々に医療サービスを届けよう)
一村一製品運動(地域おこしのために町ごとに特産品つくろうね)
というように、経済の成長と同時に貧困の解消をめざそう、という「タクシノミックス」と呼ばれる政策を取っていたのだ。

その結果、これまで政治に無関心だった農村住民や都市下層の人々がタクシンさんに心を打たれて、沢山票を入れたのだ。
「この人を信じてたら、自分たちの生活がよくなるかも…!」

タクシンさんは2回目も政権も獲得するんだけど、そんな中、2006年にクーデターが起きちゃうのだ👀

2005年:タクシンさん、ふたたび選挙で快勝
2006年:反タクシン派による軍事クーデター発生!

Chapter.3 反タクシン派の思うところ.。○

そもそも、タクシンさんが現れるまでのタイの政治の問題点として、
軍や警察は暴力的に人々を弾圧しちゃうでしょ
政治家はお金で票を買い集めて政権に入ったら後は何もしないでしょ
…っていう歴史的な事件だったり世論があったのだ。

なので、1990年代は「ニュー・エリート」って呼ばれる、権威主義的でない地方官僚や教員、知識人、NGO、ビジネスマンなど「軍でも政治家でもないけど、頭が良くて社会問題を考えてる人達」が改革をしていたのだ。

彼らは同様に「地方の民衆は選挙で金をばらまく候補者に投票するんだから、選挙では(何らかの規制をかけない限り)まともな政治家は出てこない」って考えを持ってたのだ。
よく言えば「選ばれた自分たちが民を導くべきだ」みたいなノブレス・オブリージュっぽい考え方だし、悪く言えば、社会的ヒエラルキーの低い人達を愚民視してたのだ。

そんな中でタクシンさんは「お金のバラマキ」ではなく「政策の内容」で票数を集めて当選したのだ。
それ自体は民主主義的で素晴らしいことだし、僕が見てもタクシンさんの思想や政策の内容って素敵だと思うのだ。
でも、あんまりにも詰めが甘くて「見切り発車!」「票集めだけじゃん!」とかって叩かれたり…
しだいにタクシンさんも暴走しはじめて、強い言論統制や無実の人を麻薬取締で殺害しちゃったり、所得隠ししたり…と問題が起きてきたのだ💦

そんなタクシンさんに対抗するために、反タクシン派の人達は、こんな内容を掲げて戦い始めるのだ👀
・よい政治は、良い人(コン・ディー)がおさめる政治
・コン・ディーは、弁護士、医師、教員、労働者、農民、学生、小売商、屋台・行商人など、それぞれの職業協会を作って、そこから代表を出す
・選挙で選ばれる人の数を減らそう

ここから、タクシン派vs反タクシン派の熾烈な政権争いが始まるのだ…
でも、反タクシン派は選挙を開いちゃうとタクシン派に勝てないから、それを弾圧するために「反タクシン派を応援したい国王と軍」みたいな力も巻き込んでしまって…。
徐々に「反タクシン派も結局"良い人の政治"って言ってるけど、要は国王と軍に近い上流階級の人達が下層の人達を弾圧したいだけじゃんっ」みたいな感じになっていくけど、めんどくさいから詳細は省くのだ。

Chapter.4 「第3の政党」の出現

そんな中でタナトーン・ジュンルンルアンキットさんが率いる「新未来党」が出てきたのだ。

この政党は、
・民主主義の回復
・反軍
を押し出している第3の政党なのだ。

この政党には、
「今までタクシン派だったけど、そもそも応援してたのって民主主義ちゃんとやるとことか反軍みたいなので、今のタクシン派の流れは間違ってる気がするなぁ」みたいな人とか「どっちもどっちだし応援してなかったけど、ここは一番まともそうだなぁ」みたいな人が応援し始めたのだ。

なので、現在の政党とそのニュアンスをざっくりまとめると、

タクシン派(現在の政党は「プアタイ党」)
 都市下層・農民などの社会的ヒエラルキーの低い人が、
 「あのとき私達を助けようとしてくれたタクシンさんってめちゃ素敵!」
 「なんで反タクシンはクーデターして私達のこと邪魔するの!許さない!」
 みたいな感じで主張してる。
 シンボルカラーは「赤」。

反タクシン派(現在の政党は「NCPO」)
 都市上・中間層の人達などのエリートの人達が、国王や軍とつるんで、
 「頭のいい俺たちに政治のことは任せとけよ!」
 「格差社会があった方が俺たちは贅沢ができるんだよ!」
 みたいな感じで主張してる。
 シンボルカラーは「黄色」。

タナトーン派(「新未来党」)
 主に都市部の人達が、
 「タクシンも反タクシンもどっちもどっちだろうが!」
 「改めて仕切り直してちゃんと民主主義と反軍やろうぜ!」
 みたいな感じで主張してる。
 たぶんシンボルカラーはない。

Chapter.5 現在のタイ政治の状況

さて、そんな中で行われた2019年の選挙では、反タクシン派が選挙制度を大きく変更した影響で、タクシン派・タナトーン派がどう頑張っても反タクシン派が選挙で勝つ仕組みを作ってたのだ💦

そして、2月、選挙では大きく議席を伸ばしていたタナトーンさん率いる「新未来党」が反タクシン派の手によって解党に追い込まれてしまったのだ…。

つまり、ハム太郎を歌いながらデモ行進してたハムちゃんずは、
・選挙で負けたタクシン派
・選挙で負けたあげく解党されちゃったタナトーン派

のどちらかの支持者じゃないか、と思うのだ👀

そして、ハムちゃんずが訴えているのは、

①国会の解散:
 反タナトーン派が牛耳りすぎでしょ⚡

②政府批判者への嫌がらせの中止:
 勝手に解党したり言論弾圧しないでよ⚡

③憲法改正:
 ちゃんと公正な選挙できるようにしたり、憲法改正しようよ⚡

って意味なんじゃないかなって思うのだ🌻へけっ

▼参考URL
日本貿易振興機構
「タイの政治混乱――その歴史的位置――」
https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Eyes/2010/RCT201002_001.html
「続くタイの政治混乱――あぶり出された真の対立軸」
https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Analysis/2020/ISQ202010_001.html

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