見出し画像

平成深夜コンビニ騒動③恫喝編

『タイムリーすぎるだろ馬鹿‼️』

2001年頃の大阪の深夜コンビニは強盗が多発していて危険がいっぱいだった。

大阪市南東部(生野区・平野区)から徐々に強盗が南下しているという話で、近隣の市町村では警戒感を強めていた。
犯行現場も近い事もあり『本当に強盗が来るのかも』と深夜バイトクルーは警戒心と心構えを持っていた。

11月の深夜、私は大学の友人と夜中までパワフルプロ野球というゲームを楽しみ、気づけば時間が深夜の1時になっていた。
帰宅の為に勤めていたコンビニの前を車で通ろうとすると、赤色灯が回っているパトカーとバイクの警察官でコンビニの駐車場が埋め尽くされていた。

私は近くに車を停めて何があったのかとコンビニに行くと、駐車場で事情聴取をされている佐藤リーダーと目が合った。
佐藤リーダーは事情聴取を終えると、私の近くに駆け寄って興奮気味に言った。

佐藤リーダー 「とんでもない目に合ったんだよ‼️」
私 「どうしたんですか?まさか強盗ですか❓」
とうとう強盗が来たのかと思い、私は詳細を聞いた。
佐藤リーダー 「違うんだよ❗️俺がゴミ出しに駐車場に出たら、不良少年みたいなのがヤクザ風の男にボコボコされてて、車に連れていかれる所だったんだよ」
私 「凄い状況ですね、少年は大丈夫だったんですか❓」
佐藤リーダー 「もう車に入れる寸前だったんだけど、メチャクチャ怖い人が俺が見たのに気付いて、俺の胸ぐら掴んで『ポリに言ったら知らんぞ佐藤』って名札見て言ったんだよ‼️」
佐藤リーダーは恐怖と解放された安堵で興奮しながらもいつもより饒舌だった。
私 「警察にはすぐに言ったんですか❓」
佐藤リーダー 「当たり前だろ❗️少年に何かあったらどうするんだよ‼️」
1時間経っても恐怖で小刻みに震えているのに、恫喝されてもすぐに通報する佐藤リーダーは正義感が強くて本当に良い人だなぁと思った。

しかし、その時に佐藤リーダーと2日前にスタートしたゲームを思い出した…
『タイムリーだねぇ』という小さい嘘をクルーにつきあって、第三者に点数をつけてもらうという勝負だ。
(例・オデンの新しい具にトマトが加わるらしい等)

私は思った…
『ここで犯人のフリしてウソついたらメチャクチャタイムリーで優勝やんかぁ…』

私 「チョット怖いし、流石に眠たいので帰ります」
佐藤リーダー 「えー、人が多い方が安心なんだけど…」
心配そうな佐藤リーダーを丁寧に断り、私は車を走らせた。
それから10分後に私は声色を変えて電話をした。

プルルルル〜、プルルルル〜、ガチャッ
佐藤リーダー 「はい、コンビニ◯◯店です」
私 「おい、お前ポリに言ったやろ‼️」
私は男性にしてはかなり声のキーが高いのだが、出せる限りの低い声を出して言った。
佐藤リーダー 「え❗️え‼️え❗️‼️」
私 「言ったよなぁ佐藤、お前が◯◯◯市に住んでるんも分かっとるんじゃい‼️」
私は知ってる佐藤リーダーの住所を言った。
佐藤リーダー 「ハァー、ハァー…」
佐藤リーダーはパニックで過呼吸気味になっている、流石に可哀想だし私もリーダーを傷つける気持ちは無い、こうなったらスグにネタバラシだ‼️
私 「ところで佐藤…北海道といえばジンギスカンやけど、モンゴルと言えばチンギス・ハーンかぁ‼️」
北海道出身の佐藤リーダーへのメッセージだ、こんな犯人はいないし、明らかに私のセンスだ。
俺にテッテレーと言わせてくれ、と心で思いながら佐藤リーダーの返事を待った。
佐藤リーダー 「ジ、ジンギスカン❓ジンギスカン⁉️」
明らかにパニックで興奮しながらオウム返しになっている、もっと決定的な私と分かるワードがいる…
私 「ところで北海道と言えば道産子ケッパレーズかぁ佐藤よぉ‼️‼️」※②相棒編参照
決まった、コレは私しかいない!さぁ佐藤君!
佐藤リーダー 「た、た、た、太郎丸君❓太郎丸君❓」
普段、太郎丸と呼ぶのに何故か君をつけている、この期に及んで『太郎丸であってくれ、犯人じゃなくあってくれ‼️』との思いがビンビンに伝わってきた。
私 「テッテレー🎵そうです、私は太郎ま…」
ガチャッ‼️
電話は途中で切れた、まぁどうせ翌日の夜中は佐藤リーダーと一緒のシフトだ、明日にタイムリーだねぇポイントを聞こうと私は就寝した。

翌日に出勤すると丁度バイト服に着替えている佐藤リーダーと目が合った。
私 「リーダー❗️昨日のタイムリーでしょ❓」
佐藤リーダー 「タイムリー過ぎるだろ馬鹿‼️」
そういうと、ジンギスカンもチンギハーンも何故か怖かった事、道産子ケッパレーズも存在したかもと思う位にパニックった事、昨日はガチャ切りしたけど太郎丸と分かって心から安堵して嬉しかった事を饒舌に語ってくれた。

当然、タイムリー嘘選手権は私が優勝した。

深夜コンビニバイトには明らかな嘘を真実と思わせるような恐怖の犯罪現場に立ち合わせてしまう事も有るという事だ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?