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【昭和的家族】父の評価

昭和4年生まれで昭和一桁と言われる世代だった私の父は、埼玉県の西部地域、山に囲まれた秩父の出身だった。秩父弁の影響もあるのか、父の評価の表現は独特に私には思えた。

例えば、何かの食べ物を味見してもらって、その味を評価してもらった時。
私「お父さん、お味はどう?」
父「まぁまぁだな」
この場合は、まぁ美味しい部類だけどそんなに特別な美味しさでは無いということ。

別の機会で、どこからの頂き物の初めてのお菓子を一緒に食べた時。
私「お父さん、このお菓子は気に入った?」
父「たいしたことねぇな」
という場合は、不味くはないけど、それほど美味しくもないということ。

また別の機会で、東京の知り合いからいただいた高級お菓子を食べた時。
私「お父さん、これ東京でなかなか手に入らない高級なお菓子なんだって」
父「随分ちっとんべいだな」
という場合は、美味しかろうが何だろうが小さ過ぎでしょうということ。
どうやら父が育ったころの秩父では、お菓子も含めた贈り物は量も大切だった様子。"ちっとんべい"とは秩父地方の方言で「少し」とのことらしい。

つまり、父からはなかなか良い評価は出ない印象を私は持っていたのだけど、ごく稀に良い評価をもらう場合は、以下のように父は表現をしていた。
父「最高だな!!」
何か父の好みの和菓子などを持参して、そんな評価をもらえた時は、私は心の中で小さく「やったー!」と幸せな気持ちになったものだった。


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