burode

果たして男性同士の必然性はあるのか、なぜポーランドでなくアイルランドなのか、暗中模索、…

burode

果たして男性同士の必然性はあるのか、なぜポーランドでなくアイルランドなのか、暗中模索、右往左往しながら書いています。

マガジン

  • アンジー。はな。

    誰かに会いたいって気持ちってなんだろう、というところから始まったお話です。

最近の記事

  • 固定された記事

思い出というか。

アイルランドは昔見た映画の風景が美しかったこと。風と共に去りぬ、の続編で文化と歴史に触れたこと。ぐらいの思いしかないのですが、この度アイルランド語の勉強をはじめました。 それにしても、民族を特定しない名前というのは難しい。Luanだけはアイルランド語で月曜という意味ですが。 とにかく、最後のピースをぱちんとはめるまでは頑張ろうと思います。 拙い文章にスキをいただきましてまことにありがとうございます💜

    • アンジー。daichead a haon

      あと2時間ほどでルーのペンション、という時に、ショーンは寄りたい店があると言い出した。少しでも早くルーに会いたいとは思ったけど、まあ、ひと休みもしないといけないし、わざわざ送ってくれるショーンのお願いを断ることもできない。 なんだ、前にアンジーのことを聞きに来たパブじゃないか。 アンジーのことを教えてくれた女性も、ビールをおごってくれたおじいさんも写真を貼り付けておいたみたいに全然変わってなかった。 ショーンが馴染んだ感じで指で合図をするとライトビールが一杯出てきた。 え、僕

      • アンジー。daichead

        ルーは床に落ちていたパジャマを拾い上げるとゆっくりとした仕草で身につけ始めた。あいかわらずやせてるなあ。いや、前よりやせたような気がする。 仕事、忙しいの? んー。 自分のマグカップに口をつけ、こふこふと変な咳をしてから、クッションを引き寄せて枕にするとソファーに丸まって横になった。 ルー? もう寝てる。早いってば。 僕は自分の服を直してルーの傍に座り、残っていたお茶を飲みほした。 耳をすませてもルーの寝息しか聞こえない。でも、これが僕の欲しかったものだ。 おやすみ、ルー、い

        • アンジー。tríocha a naoi

          ルーが冷蔵庫を開けたりやかんを火にかけたりするのを、ソファーに座ってぼんやりと眺めた。シャツと帽子が置きっぱなしのソファーには二人の生活感が出てる。僕とルー、お互いに別々の時間を過ごしてきたんだ。 はいお茶どうぞ。ミルクかなり多め、アルコールちょっとたらしちゃった。 ルーは自分の分のマグカップをテーブルに置くと僕の目をのぞき込んだ。 後悔してたの。セジュのこと考えるのやめれなくて。結婚したのも子どもができたのもずっと見てた。見ずにいられなかった。ここで働き始めて、イーニエ、じ

        • 固定された記事

        思い出というか。

        マガジン

        • アンジー。はな。
          2本

        記事

          アンジー。tríocha a hocht

          写真を見始めると止まらなくなった。予定より少し早く小さく生まれてしまったふたり。こんなに小さかったのに最近はおしゃべりが本当に上手になった。不思議と母親を恋しがって泣くようなことはほとんどないんだけど、それはそれで物わかりが良すぎて心配。 僕の奥さん、だった人は、月に一度娘たちに会いに来る。それでいいんだって私、お母さんには向いてないみたいって寂しそうな顔して言ってた。そんこと言ったら僕だって親には向いてない。やっと取れた休みなのに子供を置いて、こんな遠くまで忘れられない人の

          アンジー。tríocha a hocht

          アンジー。tríocha a seacht

          食事の片付けをしてから、サーランに分けてもらったアップルパイを食べた。残りはルーが全部食べちゃってた。ちゃんと頬にパイ生地のかけらを付けてるし。ルーはさっきよりゆったりした顔になってるみたいだ。 明日の夜の便で帰るから、明日はここを昼前には出るよ。 そっか、忙しいんだもんね、ゆっくり休んでね。朝早く起こしたほうがいいの? そこまで急がなくても大丈夫だと思う。ありがとう。 部屋に引き上げてテラスの椅子に座って庭を眺めた。すぐには眠れそうにない。 サーランと二人で戻った時、ルーは

          アンジー。tríocha a seacht

          アンジー。triocha a sé

          まったくもう、ルーってば変わったようで変わってなくて、そこに安心したりして。 ルー、疲れてるんじゃないの。とりあえずアップルパイ食べながらテレビでも見てなよ。後片付けは僕がサーランを探してきて二人でやるから。 残りのアップルパイを渡してリビングのソファーに座らせた。 サーランはどこに行ったかわかる? んー、たぶんね、セジュの部屋の近くの石垣のとこ。古い家具とか置いてあるの。 わかった。行ってみる。まーゆっくりしてて。 遠くまでなだらかに続いている牧草地の上に大きな月が出ていた

          アンジー。triocha a sé

          アンジー。tríocha a cúig

          イーニエもよく喋ったが負けないくらいルーはよく歌っていた。僕の泊まる部屋に案内してくれた時はステップまで踏んでた。 ねえ、セジュ、夕ごはん、僕たちのところで一緒に食べない?今日のお客様はセジュだけなんだ。正直に言うと、そうしてもらえると僕の手間がはぶけるの。 最初に通された部屋から家族エリアに入った。 小さなキッチンとリビング、それと広くはない寝室。寝室にはベッドが二つ並んでいた。 ここも改築したかったんだけど予算が尽きちゃって。頑張って稼がなきゃ。イーニエの部屋がないもんね

          アンジー。tríocha a cúig

          ただ今日の海。

          ただ今日の海。

          アンジー。tríocha a ceathair

          イーニエが戻ってくるまでずっと、ルーは僕の手を取って話を聞いてくれた。時折、鳥の声が聞こえるだけだった。 ただいまー。お腹へったー。たぶん、スナップも。 そのスナップとやらは定位置とでも言うように僕の足元に走りきて座りこみぱたぱたと尻尾を振っている。 ひ、人懐こい犬だね。 セジュのこと覚えてたんだ。ね。 え? 前はころころのおちびちゃんだったの。覚えてる? あー! おっきくなったしわかんないよね。すっかり僕みたいなおじさんになりました。 そう言って笑うルーは全然おじさんじゃな

          アンジー。tríocha a ceathair

          アンジー。tríocha a trí

          ふう、びっくりしたー。セジュがお客様として来るなんて。 僕だってびっくりしたよ。前にここにいた女の人はどうしたの?ずいぶん雰囲気が変わったよね。ショーンと三人で食事に来た時は、もっとレトロな感じだった。 彼女は腰を傷めちゃって調子がいい時は様子を見に来てくれるの。僕がここ買い取ったんだよ。すごーいローンが残ってるんだから。 子供っぽい話し方はあい変わらずで誇らしげな笑顔が、かわいい。 セジュは覚えている?アンジーの通訳の女の人。僕ね、ほんとは彼女と結婚するつもりであの国に帰っ

          アンジー。tríocha a trí

          アンジー。tríocha a dó

          見学者用の送迎バスに乗り込んだ。 ルアンと来たことがある競走馬育成の牧場。二人で二時間かけて歩いてきた思い出がよみがえってくる。景色はほとんど変わっていない。 急に動いた馬にびっくりして僕の腕にしがみついてきたルー。その時のルーの髪の匂いが鼻先をかすめたような気がした。 同じバスで来た人たちは次の観光地に行くようだ。僕は手をあげて軽く挨拶をしてから牧場近くのペンションに向かった。 庭にあるバラのアーチには見覚えがあるけど全体のイメージが違って見える。 勢いよく入口のドアが開い

          アンジー。tríocha a dó

          アンジー。tríocha a haon

          アイルランドでのことは今となってはすべてただの思い出になってしまった。 ビーノは正式にルアン・オレアリーとしてダニエルの養子になってアイルランドに根を下ろした形だ。 僕は兵役を終え結婚もして、今、双子の娘たちが犬と遊んでるのをビールを飲みながら眺めている。この僕が犬を飼うなんて、もしかして離婚も犬のせいかも。ま、もうなんだっていいんだけど。 ルアンと約束したんだ。約束を守ってもルアンに会えるわけでもないのに僕はよくやった。 ただ、夜中に目覚めた時、この暗闇がいつまでも続くかと

          アンジー。tríocha a haon

          アンジー。tríocha

          にーちゃんは何考えてんのかなあ、 ショーンはそう言うとため息をついた。母さんはさ、事故の時に、目を覚ますまではにーちゃんから離れないって言ってからずーっとにーちゃんにべったりなんだけど、その気持ちはまあ、わかる。でも、にーちゃんはどうなのよ。俺たちといて幸せのなの?ここにきて喜んでるの、どうなのよ。 え、えーっと。そんなこと僕に聞かれてもさ。 アンジー、いやビーノは、家族のこと大好きなんだと僕には思えたけど。お父さんのこともいい人だって言ってたし、おみやげを何にしようか楽しそ

          アンジー。tríocha

          アンジー。fiche a naoi

          朝ごはんの席にビーノがいなくても誰も気にしてない。 テーブルに出てるものでショーンは手慣れた様子でサンドイッチを作っている。 ビーノは? あー、ま、昼にでも腹が減ったら戻って来るんじゃないかな。あんまり気にしなくていいよ。 いつものこと? まあね。部屋に引きこもってるよりいいし。今日はまあ、俺に付き合ってよ。 ショーンから渡されたサンドイッチの包みを持って外に出た。風は冷たいけどよく晴れていて気持ちがいい。外で過ごすのもいいかもしれない。 群れの形を変えるようにゆっくりと動い

          アンジー。fiche a naoi

          アンジー。fiche a hocht

          ビーノは、夕飯が終るとはやばやと自分の部屋に引き上げてしまった。 薄暗くなり始めた頃疲れきった様子で子犬と一緒に帰ってきて母親に叱られていた様子や、昼の分も食べるように言われて大きなソーセージと格闘していた様子を、僕は覚めたような少し意地悪な視線で見るようにしていた。 再会して以来テンションの高いビーノに流されていたというか僕の気持ちも舞い上がり気味だったような気がするし、だって、落ち着いて考えなきゃ、だよ。 ビーノが部屋に引きあげた後、ショーンに誘われてテレビを見ながらお酒

          アンジー。fiche a hocht