向こう見ず、疾風に散る

自転車でのダウンヒルは好きだ。

長い坂道を上れば、その分だけ下り坂が待っている。

上るのは大変、下るのは簡単。

建物にも同じことが言えるね。
築くのは大変、崩すのは簡単。

下り坂はペダルを漕ぐ必要がない。
それに、スピードが出る。

風を切って走り抜ける感覚が好きだ。

僕は歌を口ずさみながら山を猛スピードで下っていく。

歌うのは「仮面ライダーAGITO」

レディトゥゴーカウントゼロ〜
仮面ルァイダー ア! ギ! トぉ〜

たまに「Clear Mind」

気を抜けば命は無いのさ
ぶち込めレッドゾオォン!(RED ZONE)

まぁ山道っていうのは大抵が九十九折なのでカーブは本当に危ない。
気を抜けば命は無いというのは真実だ。

そしてこの前のサイクリングでは新しく、
シン仮面ライダーのBGM「M7」を選んだ。

てってーれてれれ〜 てってーれてれれ〜
てってれ〜 てって〜

てれれれれ〜てれれれれ〜てれれれれ〜
てってれれれれっ

てれれれれ〜てれれれれ〜てれれれれ〜てれれれれ〜

これは「レッツゴー!!ライダーキック」のアレンジ楽曲ですね。

仮面ライダーといえば風。風を切って走りながら口ずさむには相応しい曲である。

……

ロードバイクは危険だ。実は自動二輪よりも危険なんじゃあないかと思う。

それは服装の違いにあると思う。

ヘルメットの着用は共に大前提。それは街中を走る普通の自転車でも着用が努力義務となっている。

問題は肌の露出だ。

バイクに乗る時は肌の露出が少ない服を選ばなければならない。

転倒した時にコンクリートで肌を大きく擦りむいてしまわないように。

それは自動車学校でも習うことだ。

でもロードバイクはどうだ。

人力で、自分の足で漕いで進むものだ。それは紛れもなく運動であり、汗をかくものだ。

何十キロも走るのに長袖長ズボンなんて着ちゃいられない。

ロングライドには快適性が求められる。

半袖半ズボンが基本装備なのだ。

それだけじゃあない。車輪に絡まらないようなズボンが必要だ。ピチピチの半ズボンの方が安全な場合もある。

軽量化を徹底もすれば、空気抵抗にもこだわる。

とにかく身軽になるんだ。

……

でもそれ、転倒した時、かなり深手を負うよね。

ロードバイクは、自転車とは言っても自動二輪や自動車に勝るとも劣らないスピードが出るんだ。

そのスピードで転倒してコンクリートになすりつけられてみ。大根おろしみたいになるぞ!

そんなことは分かっていた。

でもスピードを、風を、肌で感じるこの感覚は何にも替えられない。
僕はスピードの虜になっていた。
居酒屋で出てくるやみつきキャベツみてぇだな。

だから危険を顧みずに山道を走り回った。

車体を傾けながらカーブを曲がるのが好きだった。

スローインファーストアウトではなく、
ファーストインファーストアウトだ。

カーブをスピードを落とすことなく曲がる。

本当に危険だった。

曲がりきれずに下が谷底のガードレールに突っ込みそうになったこともあるし、砂利引っ掛けるたびにハンドル取られるかとヒヤヒヤもした。

いつか痛い目見るんだろうな〜と、他人事のように思ってた。ただ思うだけ(ユーミン)

そして、本当に痛い目を見た。

続く

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