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前途を行け、悠々と ─平沢進ライブ「ZCON」現地レポート

2つのタイムライン。そして過去と現在をつなぐ亀裂。
優生学的支配を作り出すZCONと脳内に発生する概念の石ZCONITE。
20年前から現在を覗く男は、自分の未来を賭けテンプレと呼ばれる分裂症的姉妹をZCONの支配から解放しようとする。
平行世界に住む天候技師、そして改訂評議会の助けを得てついに現実改訂の奇妙な仕事が始まる。

「INTERACTIVE LIVE SHOW 2022 ZCON」特設ページより

7年ぶりのライブ、やはり平沢進は平沢進であった。



本公演について

テクノ界の雄・平沢進が1990年代初頭から連綿と続けている、表現方法の新たなる試みの内のひとつ「インタラクティブ・ライブ」が7年ぶりに開催された。
題して、INTERACTIVE LIVE SHOW 2022『ZCON』(ジーコン)である。

インタラクティブ・ライブ(以下”インタラ”と呼称する)の説明をザックリすると「観客が話の結末を決める、物語仕立てのライブ」というものだ。
平沢進がソロの新アルバムを発売するのとだいたい同時期に開催される。また、新譜の発表ペースが(2000年代以降は)3~4年周期である点からも、7年ぶりの開催というのは異例の事態である。


ソロとしては7年ぶりの新アルバム「BEACON」を引っさげて開催された本公演。キャパ8000人というかつてない規模のホール・東京ガーデンシアターで、2022年3月25日(金)夜公演とまさかの2022年3月26日(土)昼・夜の2部制公演。昼夜2部とはまたすごいな、と発表された時点で驚きと若干の不安があった。

その不安とは、はじめに「体力的な問題」である。平沢進も67歳、この大規模なショーを1日に2回もこなせるのか?と。例えこなせたとしても、土曜夜の部はヘロヘロのパフォーマンスになってしまうのではないかと心配をしてしまう。

次の不安は「攻略法の問題」だ。先に述べたとおり、インタラは観客が物語の進行を左右する。たとえば「AとBの扉、どちらを選択しますか?」という問いが提示され、観客たちはどちらを選ぶ。このような分岐をいくつか越えて物語を進めるのだが、単純に2択×3回でも8通りの結末があり、さらにそのすべてが良い結末を迎えるとは限らない。これまでの公演ではだいたいグッドエンド、無難なエンド、バッドエンドが存在していた。

で、これまでの場合、だいたい3日間のうち大阪で1日・東京で2日間、あるいは東京で3日間の上演だった。それゆえ異なる日程で参加したファンたちの間で、一回の公演が終了するごとにルート分岐などの「攻略法」をやりとりし、正解のルートを探していた。
しかしながら、今回の「ZCON」は初日とその翌日のみ、しかも昼公演と夜公演の間隔はわずか数時間という非常に限られた時間しかなかったのだ。また後述するが、初日になんとスーパー・バッドエンドを迎えてしまった我々観客は、翌日「その逆のルートを進めばいいか!」という思考のもと進んでいった結果、頭を抱えることとなるのであった…。


※細かいところ(セリフ等)は配信チケットを買って補完していますが、なるべく現地で見た人間ならではのレポートになるよう努めます

【以下ネタバレ、および本インタラに関する基礎知識を含みます】





1日目(3月25日)

平沢進のライブにしては似つかわしくない晴天。薄手のコートにシャツ(非公式ドレスコードに基づいて黒が基調のもの)で行ったのだが、ほんのり暑いくらいだった。

物販を買うべく、販売開始の2時間前である12:30に有明ガーデン着。
いたいた。黒ずくめの集団。すでに列は自主形成されていて、数十名ほど並んでいた。毎度のことだが、こうもみんな黒い服を着ているのはV系でも少ないんじゃなかろうか…とか考えつつ並ぶ。

訓練されたファンによる自主形成列

しばらくすると会場スタッフさんたちが出てきて、パイプフェンスできちんとした列を形成した。さて、ここからおよそ2時間弱、立ちっぱなしだ。
けれど、「物販に並べる」という忘れかけていた幸せを再確認できた時間でもあった。実物を手にとって買えるというワクワク感。ようやく世界が元の姿を取り戻しつつあるなぁ、なんて思ってしまった。

2時間後、ちょい早めの販売開始。これもまた”あるある”である。

スロットになっちゃった

スマホケース(赤)以外のグッズを購入。早く来た甲斐があった。
だって第9曼荼羅のとき赤いスマホケース買ったから


ガーデン内でゆるゆると暇を潰し、開場時間に入る。
今日の座席は3Fバルコニー、1Eブロックの1列ド真ん中だぜ!とワクワクしながら入っていったら、自席のいくつか向こうに収録用カメラがあるくらいのマジど真ん中でビビった。
真下はPA席だし、こりゃ音も期待できるな…なんて考えていたらあっという間に開演時間だ。5分くらい押しだったかな?

ステージの形状は、中央に平沢進、上手にSSHO、下手にTAZZという、もはや見慣れた配置。さらに上手・下手からそれぞれ通路が斜めにせり出しており「ああ、ここは”ルビイ”と”シトリン”のポジションだな」と予測できた。
あと、ステージサイドには配管のようなものが幾本もぶら下げられていた。なんだったんだアレ。

ステージ上には、
・新型レーザーハープ(”門”のような形、平沢の全身が見える)
・EVOギター(SSHOと平沢)
・サイレントチェロ(SSHO)
・EVOベース(TAZZ)
・サイレントバイオリン(TAZZ)
・ノートPC(SSHOとTAZZ用)
が並ぶ。特に大きな変更や目新しいものはなし。

はじめに白沢がスクリーン上に登場。事前に特設サイトに公開されていた本インタラのストーリーを読み上げる。

※ストーリ-やその周辺に関しての私的考察は最後にまとめます


めちゃくちゃザックリなストーリー

人類の種類のひとつであるアンバニが、もう一方のアヨカヨという種類の人々を隷属するのに「アヨカヨは優秀でアンバニは劣っている」という概念を発明した。そしてアンバニの頭へZCONITEという石を埋め込んで認識、思考、創造力の連結をばらばらに寸断し同時に自らの能力に気付かせないことを図った。それを操作するのがZCONである。
ところがアヨカヨたちは自滅してしまい、ZCONが停止した。その結果ZCONITEを頭に残されたアンバニは多重人格のようになってしまう。このままでは滅びてしまうかもしれない。

ところで、アンバニによって「優れたアンバニ・劣ったアヨカヨ」という分類が生み出される以前、デュンクという旋律とアンという旋律が組み合わされたデュンク・アンという旋律がBEACONとして機能しており、これは人々を幸福にしていた。しかしアヨカヨの手によるZCONITEは、そのBEACONも聞こえなくしてしまった。そして人々はアンバニとして固定された。

nGiapという男がアンバニの滅亡を観測していた。彼はZCONを逆利用してアンバニを解放しなければ自分の未来が無いことを知っていた。別のタイムラインへと接続できる彼は、ZCON操作に必要な天候技師グループと現実の改訂評議会を編成する。
テンプレという、ZCONの影響を直接受け、また彼らが受けた影響は他者にも生じるという対象が存在する。そのテンプレであるルビイとシトリンは古びた小屋のような形をしたZCONを見つけるのだが…。



長すぎるな。ザックリでもない。とにかく、こんな感じのことをしゃべる。
そしてその後、nGiapとルビイ・シトリン姉妹が古びた小屋(ZCON)の中で邂逅するシーンからスタート。

「アンバニをZCONITEから解放し、BEACONの修復を試みている」と語るnGiap。なるほど、だいたい読めてきたぞ。そして編成される天候技師グループ(在宅オーディエンス)と現実の改訂評議会。我々(ライブ会場の観客)はその会員としてせっせと働くのだ。ライブを見に来たはずなのに、毎回いろいろな事象に巻き込まれるのである。

天候技師(=会人SSHO、TAZZ)が登場。今回はボンドを塗る逆三角形上のヘラみたいなものが上部に引っ付いているホッケーマスクのような被り物頭部である。双眼鏡を持っていったけれど、頭部に書いてある模様が何なのか判別できなかった。
トークは機械音声で、そこに彼らの手話チックな身振り手振りがつく。これ寸分の違いもなく3日間とも同じ動きだったらすごいな…などと考えてしまった。話を聞けよ。

「ZCONITEは頭部5箇所に埋め込まれており」と言う発言で「HOT POINT、5箇所もあるのか?」などとちょっとビビる。
今回の分岐は「ライブラリー中の特定書物内の表現を書き換える」というものだと、会人が述べた。片方の(正しい)表現でZCONITEが消えるのだという。最近の平沢進の言動からしたらちょっと怪しいんじゃないか…などと思いつつも、面白そうでワクワクもした。

ネット上の天候技師と、この議事堂(いつからこの会場は議事堂になっていたんだ)に集まった改訂評議会員とその長で上記の作業を繰り返しやってアンバニからZCONITEを取り除くよ、というあらかたの説明が終わったところで、いよいよ「長」を呼ぼう、と会人。
画面には大きく、赤字に白抜きで「CALL!!」の文字が明滅する。
平沢を乞う声が挙げられない悲しさよ。その「鳴り物」の代用として、様々な思いを抱いてこの会場にやってきた数千人の両手が叩かれる。会場は割れんばかりの拍手で包まれた。

焚かれるスモーク、ステージの中央から発せられる目を灼くほどの白光。
アルバムが届き胸を躍らせながら聴いた、フジロックの配信の一番初めに聴いた、あのイントロ。
ああ、やっぱりあの人はカッコよく自分を見せるのが最高に上手なのだ。

1, COLD SONG

・COLD SONG、おまけに久々のICE-9登場と来たら盛り上がらないわけにもいかない。思い返せば「氷の牢」でICE-9なのかな?などと。
デストロイ炸裂。EVOじゃ絶対に出ない音がするんだよなぁ。
・「平沢進のライブに来た!」と実感する要因のひとつがボリュームの大きさ。低音が腹にズッシリ来る。

2, TRAVELATOR

・さっそくHOT POINTか、これブリッジに使うんだな~。
・などと思っていたら普通に曲がスタート。あのギターフレーズ。まさかソロ、それもインタラで核P曲が来るとは思ってもいなかったので心底ビビった。
・「先へ 先へ」のところでギターをクイッと。3人でやられると壮観だ。ちゃんと正面からこれを拝めて嬉しい。

3, LANDING

・ムービーのために曲を引き伸ばすことが多くなるインタラ、この曲はちょっとアレンジ調で低音→高音という編曲に。
・「HARD LANDING」ではないはずなのだが、状況としては飛行機の墜落中である。人間界においてはよっぽどHARDだ。

HOT POINT①

私はLを望んだのだが、会場はRを選択。
まあ初日だから手探りだよな~、と思っていたら「ZCONITEは消えません」という結果。失敗である。まあまあ、まだリカバリーできるでしょう…。

4, 消えるTOPIA

・今回、最も生で聴くのを楽しみにしていた曲。
・演出のライトがビカビカ目にあたって眩しかった。苦しいけど生で聴けて嬉しい感情もあってグチャグチャに。
・照明の感じも相まってもう終わりみたいな感じに。サビがエンディング曲っぽいから、よけいにそう思わせるのかも。
・このあたりから「今日、声の調子めちゃくちゃいいんじゃ?」と思い始めた。気のせいかそうじゃないか…。特にそう思ったのは「ホログラムの塔は燃える~」の”ム”かな。返りがめちゃくちゃキレイ。

5, クオリア塔(LG-G version)

・白沢の語りパートと共に始まったイントロで「おっ」と。
・それもそのはず、インタラのオープニング曲はだいたい過去曲のアレンジだと相場が決まっているのだが、今回の1曲目は「COLD SONG」だったからだ。初めての日替わり曲である。
・「WORLD CELL 2015」で聴いた時とまったく…とまでは言わないが遜色ない、美しい突き抜けるような歌声。
・まあ、曲自体のアレンジはなかったけどね。残念。

HOT POINT②

HOT POINT中の曲がカッコいい。すごく焦らされるような雰囲気がある。早くせねば…というような。
私はRを選択。会場も同じくR。
結果「 Z C O N I T E は 消 え ま せ ん 」とスクリーンに大きく表示。またも失敗。無情である。

6, 燃える花の隊列

・この曲もアルバム中では好きな方であった。フジロック2021でも演らなかったので全員がライブ初聴だ。
・イントロの「ラッタ タ~ラララ」というコーラスが抜かれている、ギターのメロディとピアノだけというパートがシンプルな構成でカッコいい。
・めっちゃ声出てる!「張り裂くような」「余儀なく来る」の頭とか。メロディはちょっと怪しいところもあったが、とにかく生歌が嬉しい。
・ツイッターで「P-MODEL時代の声を押し出すような歌唱法が垣間見れた」という感想を見て一番最初に頭に浮かんだのがこの曲。まさにそんな感じだった。
・観客によるハンズクラップあるかな?と思ったけれどなかった。スタンディングライブのその日まで取っておこう…。

7, 転倒する男

・イントロのギター、カッコよ。「金属!」みたいな音がする。
・TAZZがEVOベースを弾いているのだが、フラフラと酩酊しているような仕草をしながら演奏していてどこかおかしい。
・そして、EVOベースのスライド。ギュウィインという音がカッコいい。

ここでスクリーン上に突如列車が登場。ああ、もう分かった。

8, 幽霊列車

・何かを話す道化師が登場したり、その後ろで流れているアレンジ・イントロがめちゃくちゃカッコよかったりと、情報量が多すぎる。このアレンジバージョン、絶対Mカに入るよな。入らなかったら嘘。
・そのうえ車内には謎のゾンビが。本当になんなん?アヴァター(ここで説明する気はもはやない。過去のインタラに登場したキャラクター)も出てきた。
・あ~~~~~、イントロがカッコいい。
・スクリーンにはビルや鉄橋から落ちたり落ちなかったりする幽霊列車のCGが。何を言っているのか分からないと思うけれど、こっちもよく分かっていない。自分の目で確かめてくれ!
・「アルバム屈指の名曲」と各方面で言われていたこの曲。確かにそうだな。自分も初めて聴いたとき「いいな」ってなったもん。

曲の終わりと同時くらいに、Σ-12(アヴァターと同じく過去のキャラ)が登場。彼(?)の頭上には幽霊列車が迫る。

HOT POINT③

自分はRを選択。会場もギリギリでRになった。


「  Z  C  O  N  I  T  E  は  消  え  ま  せ  ん  」


いやいや、選択肢外しすぎでしょ、と苦笑してしまった。ここまで失敗していると、どういう結末を迎えるのか期待が増してくる。
と、そこへ道化師が登場。なぜかZCONITEを消してくれた。ボーナスか、はたまたお情けか…。会場も思わぬ自体に、喜んで拍手すべきところを「え…?」みたいな感じで数秒ほど戸惑っていた。そりゃそうだって。

9, 論理的同人の認知的別世界

・真っ暗な中、あのギターイントロが流れる。すわ、突然すべての音が止まり会場は無音&暗闇に。
トラブルの気配を感じた観客から盛大なる拍手が送られた。これこれ~!という感じがある。これがテクノだ、なんて使い古された言葉を思い出す。
・映像が流れ始めると共に、演奏が再スタート。全員EVOを担いでいると統一感があってやっぱり壮観だなぁ。
・語りパートの「ええ、前夜ですから」と言い放ったときの表情…。バルコニーからは流石にはっきり見えなかったものの、スクリーン越しからでも伝わるニヤニヤ感。
・次の「安寧の人」はもっと凄かった。表情を見て「若干キレてるか…?」と思ってしまうくらいの顔。良い顔をしている。

10, BEACON→TIMELINEの終わり

・メドレーか?とお思いでしょう?
・「BEACON」のイントロ途中でブザーが鳴り響き、会場が赤い照明に包まれた。会人たちが慌てふためいているのが可愛い。
・白沢が登場。真っ黒なバックに黒い服が埋まって生首みたいに見えるし怖い。昔のFLASHみたいでもあった。
・nGiapがTimeLineの亀裂から覗きながら語る。それが終わると同時に「TIMELINEの終わり」。
・平沢進、まさかの振り付きである。MVと同じフリだ。

・ギターソロは「頑張れ…」と思ってしまう感じ。これ以上は言わない。


「保護者」が登場。万民の保護者であり、彼らに降りかかる悲劇に伴う苦痛を悼み解決策を持って現れるという。ただし悲劇そのものが保護者に作られている、という「民を隷属させるトリック」である。

我々はこれまでにZCONITEを1つだけ(しかも自分たちの手ではなく道化師によるもの)しか破壊していない。
それはつまり、BEACONである”デュンク”の構成音が1音しか手に入れられていないことを意味する。nGiapにも「何たることだ」と言われてしまう始末だ。すんません。
とにかく、”デュンク”の音が3つ足りないため、”アン”も成立しない。どうすんの、ってところでnGiapがデュンクの旋律をなぜか奏でて(教えて)くれた。

というところでルビイとシトリンが登場。
ルビイはサックスを携えてきた。カッコいい。と思いきや、これとシトリンの声でデュンクの旋律を演奏するようだ。

当然失敗。そりゃね、ってところで、デュンクの旋律に変わってストリングスとシンセ・パターン、ドラムの音色がフェードイン。ルビイの雄叫びとも聞こえるサックス音からあのイントロに入る。

11, ASHURA CLOCK(還弦)

演奏始まってすぐに大号泣
・元々セットリストに組み込まれていたのか、はたまた福間さんへの追悼の念もこめて変更したのか…。でも1月中にセトリ組んでるとは考えにくいので、やっぱり色々な思いが込められての選曲だろう。
・しかしながらストーリーの筋から全く外れた選曲であるわけでもない。
・欲を言えば、オリジナルverで演ってほしかったなぁ、と。どうせ核P曲(ソロに近い「回=回」だが)もやっているんだし。まあ還弦verはまた別のカッコよさがある。

12, BEACON

・そのままルビイ・シトリン両者がステージ上に残って「BEACON」になだれ込む。サックスとコーラス入ったアレンジか?!と思ったら平沢の歌い出しと共に退場。かっこよかった。
・白いスポットライトが乱舞する様がまさにビーコンを想起させ、なんとも幻想的であった。良い。

ルビイ・シトリン両者が「何かを思い出しそうだけど思い出せないの…」という明らかなバッドエンドのセリフを発する。
Astro-Ho!が小屋(ZCON)に爆弾を投げ入れ爆破し、白沢が「物語はこれでおしまい。お元気で」と言い放ち去っていった。

13, 記憶のBEACON

・まったくエンディングにふさわしい曲のはずなのだが、まったくスッキリしない。そりゃわかりやすくバッドエンドだからね。
・でも曲は本当にカッコいい。「前途が来る」。
・曲間のギターソロなし。バッドエンドだと弾かないのか、はたまた普通に忘れ去ったのかどっちだろう。こうやってミスすら深読みさせるのずるい。
・正面から見ていると、会場中にライトがぐるぐると明滅しているのがとても美しかった。


演奏終了後、平沢進と会人が退場。
最後にAstro-Ho!の語りパートがあり、去っていきスクリーンには大きく「END」の文字が。スクリーンには「記憶のBEACON」がうっすら流れる中スタッフロールが流れ、それが終わると平沢が再登場。
まずは謝辞(暖かい内容)を述べ、その後「今回のインタラはなるべく字を読ませる機会を減らそうとしたのですが…」めちゃくちゃ情報量あったがな。

次にルビイ氏、折茂さん、SSHO、TAZZの順にメンバー紹介。SSHOが顔の前で三角形を作るポーズ(うまく言い表せない。似たようなポーズはないものか…)をとり、それに呼応してTAZZも同じポーズをとっていたのが印象的。

「えー、ということでですね、初日から"成功ルート"ではなく"最も失敗ルート"を辿ってくれた皆さん、ご苦労様でした」やっぱりか。でも別にキレた顔してないってことはある程度こうなると予測していたな?とこちらサイドも平沢進を勘ぐる。
確かに、せっかく考えて作った物語(ゲーム)を一発の勘だけでクリアされたら面白くないものな。失敗して逆に「ふふん」とも思っているかも。

どことなく悲しげである

こうして1日目、明日こそは成功するぞ!という強い気持ちを抱きながら、ファン一同(または改訂評議会員)は帰路についたのであった…。



2日目(3月26日夜)

朝、Twitterで「#ZCON」のタグ検索を追って色々な方の感想を見ていたら、古参のファンの方による投稿を見つけた。

めちゃくちゃ古くからインタラの考察をされている方で、私も何度かサイトを覗きに行ったこともあります。その方が久しぶりに考察されているということで飛んで見に行ったら、これがものすごく緻密な考察をされている。

ひ組HP様より引用させていただきました

いまアクセスしたら最新版が出てきているのだけど、私が見たときは「2022/03/25 インタラに関する考察」というエントリーのみだった。なるほど上図のようなツリーであるならば、2日目の昼公演、最初のHOT POINTはLに進むのが妥当だろうな…、という。そもそも初日にRを選んで超BADに進んでいるのだから、そりゃそうだろう。

とにかく、私は昼公演に入る予定はなかった。インタラってぶっちゃけセトリが大幅に変わるわけでもなく、演奏される曲も普段のライブに比べればそこまで多くないため、初日と最終公演だけ見れればそれでいいや…という感じだ。事前に予想していた通りアルバム曲(「ZCONITE」を除く)+2曲という分量だったのもある。配信もあるし。


じゃあ、ということで、代わりに昼からは温泉に行くことにした。会場に隣接している有明ガーデンには「泉天空の湯」という温泉施設がある。

館内全体が木を基調としていて綺麗

これが土日だと入浴料2800円というトンデモ価格である。
さぞやいい温泉なんだろうな、と若干キレ気味で向かったがそこそこ良かった。サウナもしっかりしている。ただし混み合っていたのが残念。どうやら「ラブライブ」とコラボしているらしく、それ目当てっぽい人が多かった。

開演が18:30なので18時ごろに会場着。といっても徒歩3~4分もないのだが。

開場時間の様子(1日目)

実は昨日、開場時間ピッタリくらいに着いたらとんでもない人出(上図参照)で望んだ方向に歩いていくのも難しいくらいだった。「こりゃかなわん」ということでちょっと遅らせて向かうか、なんて考えていた。

開場時間から30分後の様子(2日目夜)

結果はご覧の通り。スムーズに(ただしシアターの外周をぐるっと歩かされたが)入場できた。完全なる作戦勝ちである。

観客全体が気合の入ったオーラス、座席はアリーナAブロック5列目右方。昨日とは打って変わってステージとの距離が近くなった。
スタンディングのライブなら近いほうがそりゃ嬉しいのだが、インタラクティブ・ライブとなると近すぎてしまうのも考えものである。なぜならステージ全体を鮮明に見渡すことができなくなるからだ。ステージ上で様々な仕掛けを動かす場合には全体を見て「これはすごい!」と感動したいのである。昨日観た時点では、そこまでステージ全体を用いた大掛かりな仕掛けはなかったので安心して前方席でのライブを楽しむことができた。


幕間(2日目・昼公演について)

ここで昼公演の話をば。
2日目・昼公演の進行は以下の通り(「2回目」のルート)。

ひ組HP様より引用させていただきました

HOT POINT①はLに進んだようだ。
まさかの「アート・ブラインド」演奏ということで、とても驚いた。還弦(過去曲のストリングス・アレンジ)曲がここで来るか。
「未来はキレイに」を伝えたいのか、はたまたメッセージ性が薄めで演奏しようかとなったのかは定かではない。

自分は昼公演中、温泉に浸かっていた(全く不真面目である)ので映像を追っていたわけではなかったのだが、HOT POINT②はRを選択して失敗、しからばLだろうということで観客はそちらを選択した。結果、なんと「ZCONITEは消えません」という。LでもなければRでもないという事実に観客(とTwitter上の天候技師たち)は心底驚いていたようである。
最終的にZCONITEは3つ消すことができたのだが、デュンクの旋律を奏でるには4つの音が必要ということで条件は満たせず失敗、バッド・エンドだったようだ。1日目よりは軽いバッドである。

では、それを踏まえて改めて2日目・夜公演の感想へ。



※文量があまりにも多くなってしまうため曲ごとの感想は書かず、全体的に観ていて気になったポイントを記述します

開演~HOT POINT①

・初手「COLD SONG」やっぱりカッコいい。否が応でもテンションが上がる。本日2回目のはずなのだがデストロイのキレもよかった。間近で見るとやっぱり迫力がある。

「TRAVELATOR」の歌い出しを盛大に間違える平沢進。前に座っていたお姉さんも肩を震わせていた。平沢、人間アピールが過ぎるぞ
しかしながら流石はベテラン、「ダッキン・ダーリン」という謎歌詞を生み出したあと「未来を向くヒューマンレイス」とフォロー成功。
・やっぱり声が伸びやかに出ている。フジロック`21の何倍も出ている。

・HOT POINT①、会場はほとんど満場一致でLを選択。
当然「ZCONITEも消えました」。そりゃそう。


燃える花の隊列~HOT POINT②

・「燃える花の隊列」の「火を咲いて歌え~」の部分でTAZZがハンズクラップ音に合わせてアクションを取っていたのだけれど、あれは観客を煽っていたのだろうか。でもあの部分まだハッキリ覚えていなかったから怖かったんだよな。

・「転倒する男」のイントロ、ギターの入りが難しいのだろうか?というか素人目に観ても難しそうだ。

・HOT POINT②で観客はどの選択を取るのかが本当にわからなかった(ライブ開演前になぜかネット回線につながらず、Twitterで情報収集ができなかった)ため、本当にハラハラしていた。
個人的には「無言と50:50は難しすぎるし、そしたらまだ通っていないRだろう…」という見解を持っていたためRを選択。Lで拍手する人はまずほとんどいないにしても、じゃあRで拍手していたか、といえばしていない人も結構観られたため、本当にギリギリだったなぁと思う。
「ZCONITEは消えました」と表示されたときは「よかった!」と大声で言いたくなった。本当によかった。


消えるTOPIA~HOT POINT③

・「BEACON」の中だと「燃える花の隊列」「幽霊列車」あたりもいいんだけれど、「消えるTOPIA」がやっぱり個人的ベストソングだ。
ブツ切りの声にストリングスなんかが作用しているのか、「消えるTOPIA」がいちばん今の平沢進という雰囲気をもっている。

・水道の音で「ヴァッ」に近いうめき声を出してしまった。「マジでか?」という聞こえている音が本物かどうか認知能力のチェックが頭の中で何度もおこなわれる。周囲の人たちも「カーッッ」というような仕草をしていた。
・マスクしていたから見えては居ないけれどみんな絶対に口ポカーンとしていた。はず。

還弦「LEAK」だーーー。最高。2K20▲03で聴いたときはドラムありだったので随分とP-MODEL感を味わえたものだが、こうドラム・レスで聴くとまた違った印象を抱く。より壮大で、かつ深い何かに迎えられているかのような感じ。とはいえメインのメロディは同じなので「P-MODELやってんじゃん…」とやっぱり感動した。会場も大喝采である。

HOT POINT③。これで1日目および2日目・昼公演と正解の選択肢が違ったら本当に「やってくれたな…」となるのだが…
・流石にそんなことはなかった。無事Rを選択し「ZCONITEが消えました」ということで突破。


論理的同人の認知的別世界~エンディング

・「論理的同人の認知的別世界」でまさかのSSHO・TAZZが定位置である平沢の左右後方のお立ち台からステージ前方へと出てきた。
・ふたりともEVOを携えているので、おかしな話だが、本当にバンドのようだ。昨日に比べると心なしかアクションも大きく見える。
・語りパートで昨日よりも毒々しい顔をする平沢。

・「BEACON」が中断してから「TIMELINEの終わり」へと繋がる流れが本当に良い。
・中断してからnGiapが話し始めるまでの間、白沢の語りパートが入るのだが、1日目のそのシーンと比較すると違いがある。背景が真っ黒か、それともトゥジャリットから下の方を観た景色なのか、だ。おそらくルビイ・シトリン姉妹がトゥジャリットへと到達するか否かでここも変化するのだろうと予測される。

・「保護者」が登場。Σ-12によって物理キーが取り出され、4番目のデュンクが聴こえるようになった。

・ルビイ氏とシトリン氏がステージ上に登場。デュンクに呼応するアンをサックスと声で奏でる。これによってデュンク=アンが完成。
・ここで「実はこの旋律はBEACON(=安寧と想像の旋律)ではない、BEACONの逆(=怒りと破壊の旋律)なのだ」とnGiapが告白した。この告白は1日目から受けているのだが、本来アンバニを救うという目的を抱いている彼が嘘をついた理由として「抑圧されてきたアンバニが真に向けるべき対象への怒りを思い出すため」だという。
・要は「そいつを倒さないと最後のZCONITEが破壊できない。不意をついてそいつを倒すためなの」ということ。

・nGiapの語りから「ASHURA CLOCK」。昨日はイントロで号泣してしまったが、今日はサビの部分で少し涙ぐんでしまった。万感の思いだし、あまりにカッコよかったのもある。
・曲間、大きい方の保護者がルビイのサックス・ソロによって焼き尽くされ、シトリンの声によって小さい方の保護者の顔から赤線が消えた。
そして会場には今度こそ本物のデュンクの旋律が4音繰り返し鳴り響く。それに呼応するように姉妹はアンの旋律を奏でる。
・本物のデュンク=アンが成立したとnGiapに知らされた。会場はこれで(あるいはだいぶ前から)完全にグッドエンドを確信した。拍手喝采。

・「BEACON」。こんなに気持ち良く聴けるなんて。爽やか。

・白沢によると全てのZCONITEは消え、アンバニは目覚めたらしい。と思ったら道化師がカットイン。「後始末をしなくちゃ終わらねぇんだ~」と。
・ルビイ・シトリン姉妹がCGで登場。「自分が誰かを思い出した」、「このまま息をとめて安寧に身を任せよう」と言い、息を吸い込んでスクリーンから消える。
・ここからステージに登場してボーナス曲?!なんて思っていた。

・スクリーンから消えた姉妹、なぜか平沢に変わって登場

どういうこと?

・もしかして姉妹は平沢(=nGiap)だったの?

・観客も耐えきれなかったようで、笑い声があちこちで上がっていた。戸惑いつつも拍手万雷。こんなオチが待っていると誰が予測しただろうか?

・白沢「nGiapさまのお帰りという訳ですね」。なるほど。
nGiapの残された仕事はZCONの破壊および白沢を生存させる(そうじゃないとライブが成立しなくなってしまう)こと。
・Astro-Ho!が空から登場。1日目は爆弾を直接ZCONに投げ入れていたのに、今回はnGiapに1回パス、nGiapが投げ込んだ。なるほどね。
・nGiap様、両手で下投げなんだ。

・無事ZCONは破壊され、nGiapはタイムラインの亀裂へと帰っていった。

・「記憶のBEACON」が満を持して披露される。この曲はグッドエンド以外に似合わない。アンバニたちよ、安寧の人よ、前途を行け悠々と、である。
・ギターソロかっこいいな~。(たぶん)大きなミスはしてない。ギタリストで本当はギター大好きなのが伝わってきます。

・「END」が映し出され、スタッフロールが流れる。
・まったく、今回も最高だったぜ…。

・平沢進が再登場。「示し合わせたように3日間順番にルートをたどりまして…しかしながら、我々がコントロールしているわけではありません」w
・改訂評議会長が先に出るまで待っていたTAZZさんマジ優秀な部下。


かくして2日間、のべ3公演でグッドエンドを迎えることができた。
会場に脚を運んだ改訂評議会員の皆様はもちろん、在宅オーディエンスとして成功をし続けてくださった天候技師の皆様、大変お疲れさまでした。

さて、個人的な備忘録も兼ねて、蛇足だけれどもストーリーについて考えていきたい。



ストーリー考察・備忘録

今回、分岐を選ぶのに「ライブラリー中の特定書物内の表現を書き換える」という行為が必要なのが中々面白かったのだが、これもまた観客を困らせた要因のひとつだと思う。

例えば、
「適者生存。それが生き残る鍵だ」を
「適所脱出。それが生き残る鍵だ」のように書き換える。
これによりZCONITEが消え、隷属された人々は正気を取り戻すというわけだ。

単に「L」「R」という運否天賦だけではなく、考えさせる余地をこちらに与えてくることで、初日からGOODにたどり着くのをより難しくしたんじゃなかろうかと。本人も阻止したいだろうしw

例えばHOT POINT①。

<対象の文章>
空を飛ぶものは全て墜落という代償を
払うという噂に根拠はない。
<L>
空を飛ぶものが墜落しないという根拠は
墜落する根拠を無効にしない。
<R>
無知は感情に従うゆえに
空を飛ぶものに墜落の恐怖を投影する。

ひ組(https://higumi.com/index2.html)様より

正解はLなんだけども、初日の会場はRを選択。しょうがないなと思うのが、Rの方が「平沢進が好きそうな文章/言い回し」っぽいからだ。婉曲な言い方とも言えよう。

だがしかし、HOT POINT②はそうでもない。

<対象の文章>
炎の谷を前にしたタフィラスは
声を荒げた識者たちの助言に従い引き返し、
英断の英雄となった。
<L>
炎の谷を前にしたタフィラスは
声を荒げた識者たちの助言を無視し、
迂回して谷底へ落ちた。
<R>
炎の谷を前にしたタフィラスは
声を荒げた識者たちの助言をよそに
難なく炎の谷を渡った。
彼は耳が聞こえず、そこには炎も谷もなかった。

ひ組(https://higumi.com/index2.html)様より

これの難しいところが、正解はLとRのどちらでもある点だ。言い換えれば両方が間違えているとも言える。
「ありもしない幻想にだまされることからの脱出」というのも平沢がテーマに取り上げがちなことであったため、観客は初日の分岐において見事間違えたのだろう。かくいう私もそうである。

HOT POINT③は以下の通り。

<対象の文章>
歴史は繰り返す。
それはヒト科成長の限界と堕落の
宿命にまつわるエピソードである。
<L>
歴史は作られている。
それは矛盾を好まない大衆の
先入観に依拠した詐欺的創作物である。
<R>
歴史は繰り返す。
それは歴史作家の想像力の枯渇と
大衆の鈍化のエピソードである。

ひ組(https://higumi.com/index2.html)様より

こちらに関してはLのほうが好きそうだな…と思うし、事実Lが正解ルートのひとつだった。

こう並べ立ててみると、やはり平沢進が好きそうな文章(内容)ではないほうが正解ルートなパターンが多い。自らを正解者だと思っていないからこその設定なのか、またはこういう選択肢(「それとも」)も存在するんだぜという示唆なのかどうかだ。

でも、全部が全部正解とは言い切れないのがポイント。HOT POINT②の設問のように、分岐次第で正解とも不正解ともなり得るような文章を「本当に伝えたいテーマ」として据えるわけがないので、やはり曲間に挟まれるナレーションが本筋だと思う。



今回のインタラのテーマについて、高橋かしこ氏がツイートで言及していた。

「全き人格の回復」。私の意見もおおむね一致している。そしてさらに、そこに加わっている(より深くのところに存在している)のが「失われた自己・自我の奪取(奪還)と認知」だろうなと推察してみる。
観客は今回、WC2015で登場したありもしない幻に挑み続けるアヴァターと(絶対的ではないが)同じような存在であるアンバニとして定められている、というよりはそう想定されている。あなたという主体はあなたが「それ」と認識した瞬間に存在している、とでも言うのだろうか、ともかく、その「自己」を認識するために「BEACON」が存在しているのだと考えられる。

その考えが浮かび上がるきっかけとしては「転倒する男」の間奏で白沢が述べていた「貴方が途轍もない存在であることを思い出すべきだ」という文章だろうか。アヴァターも思い出すことができ、空を飛ぶことができた。Σ-12による「世界がお前のお漏らしであるように」という発言は、すなわち「世界は自分が生み出したものであり、自らのために存在している」ということだろうか?

このように全編を通して物語について考えてみると、最後の「もう大丈夫ですよ、安寧の人」というセリフも聴こえが違ってくる。アルバムを初めて聴いたときは安寧の人に対する「皮肉」のようなニュアンスで捉えていたが、ZCONITEを取り除き、ZCONを破壊した「全き人格」を回復できるようになったnGiap/白沢からアンバニへのメッセージのように聞こえた。



総括

帰り道に食べた(750円)

様々な制限がなされている現状、そもそもインタラは開催できるのかという不安に加えてHOT POINTの分岐を(発声以外で)どうやって選ぶのかという問題があった。平沢さんが録音してきたものを再生する、というアイディアをライブの数日前にTwitterでつぶやいていたのを見て「ああ、流石に強行で発声させることはないか」と安堵したりした。


氏を取り巻く(あるいは氏が中心となっている)問題がファン間で取りざたされている現状、必ずしも氏の発言が正しいとか間違っているとかは一概に判断できることではないため発言することは避けたい。
ただ、その影響でファンをやめていうく人々が増え、GN会員限定チケット譲渡掲示板は多くのチケットが放出され引き取り手がつかず、またその他のサービスでもやりとりが成立していなかった。
私も「キャパが大きすぎるのも相まって、今回は空席が多いかもなあ」と開催前にぼんやりと考えていたけれど、フタを開ければ平日である金曜の回ですら(3Fバルコニーなのでアリーナ席しか確認できなかったが)ほとんど席は埋まっていた。正直驚いた。

そこまで熱心にTwitterを覗いている(その内容について考えている)ファンなんて少ないのか、私のように音楽と思考は別物だと割り切っているファンが集ったのか、もしくはそもそも氏のTwitterを見ていない/気が向いたときくらいしか目にしていないライト層のファンが増えたのかもしれない。まぁ、ほとんど満員になれば御の字である。

インタラの内容も、最近とみに氏が(これまでのように遠回し・分かる人には分かるような表現ではなく直接的に)語る陰謀論が押し出されたストーリーなのではないかと危惧していたが、グッドエンドを確認したいま、決してそんなことはなかったように思われる。


7年ぶりのインタラクティブ・ライブであっても変わらない。
相変わらずの世界に絶望しつつも、平沢進は今なお「人間の素晴らしさ」を説き続け、目覚めよヒト科と我々に呼びかけている。
「常に存在している地点が全盛期」であっても、それがどのような思考・思想を通過していても、平沢さんが音楽活動で表現するエネルギー、そのコアの部分は揺るがず同じなのだと再認識したライブであった。

最後に、
平沢進さん、スタッフの皆様方、素晴らしい歌声とパフォーマンスをありがとうございました。最高でした。

前途を行け、悠々と。




(終)

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