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eスポーツが稼げる産業になるために超えなければならない大きな壁

 eスポーツの市場規模って伸びていて、2021年現在ゲームと直接関係がない企業が大会を開いたり、大会や選手、チームのスポンサーをしたり、eスポーツ産業に参入したりとeスポーツに関わる人や企業が増えています。そもそもeスポーツチームが増えているのも市場規模が伸びている証拠ですよね。

 ただ、その一方でeスポーツはサッカーや野球などの一般的なスポーツ(以下フィジカルスポーツ)や将棋や囲碁など(以下マインドスポーツ)と比べて競技人口や競技配信の視聴者を増やすうえで壁となる要素があります。今回はその壁となる要素を書きだしていこうと思います。
 僕なりの解決策も書きたいと思いますが、個人レベルでどうにかできないことしか浮かびませんでした。それでも地道に解決できればいいと思うので、いろいろ書こうと思います。

Ⅰそもそもお金が稼げる産業になる必要ってあるの?

 eスポーツ産業は歴史は長いのですが、産業として注目されるようになったのは本当につい最近です。恐らくですが2018年が注目されるきっかけになったような気がします。

 そのため、ゲームイベントの運営に古くから関わっていた一部の方を除いてはここ数年でeスポーツに関わるようになった人が多いということにもなります。

 2017年まではeスポーツという言葉が地上波のテレビで取り上げられることは少なくeスポーツ専門番組もなかったと思われます。2021年現在だと少しづつですが増えているなという印象です。テレビ局などの大手マスコミや通信、印刷、IT、イベント代理店などの直接eスポーツやゲームと関係がない業種の企業が参入しています。プロゲーマーやストリーマーのスポンサーだとPC周辺機器やモニターメーカー、海外のエナジードリンク会社以外に国内の飲食系の企業のような業種もスポンサードを始めています。

 ですが、これって新規産業に対する投資に近い状況だと考えることができます。今でこそ多くの人、物、金が集まっている状態ですが、稼げる産業にならなければ優秀な人、物、金は集まり続けません。ゲームの種類が多く今までの既存の優秀な人達だけでは足りない以上eスポーツ産業が稼げる産業になる必要ってあるよねという感じです。

 じゃあ壁って何? っていう内容を2つ書きます。

Ⅱ競技自体が消滅する危険性がある

 こちらの記事で詳しく書いているのですが、eスポーツが既存のビデオゲームで行われる競技です。そのゲームのサービス終了や売り上げの低下によって大会開催やプロリーグ維持のための予算がつかない場合やそのゲームの続編が発売し旧作になった場合は公式大会が開かれなくなります。

 続編が出た場合は続編でも同じように大会が開かれる可能性はあるので、大きな問題にはなりにくいのです。ただ、続編が旧作と著しくシステムが変わった場合は旧作で強かったり人気があったプレイヤーが仕事ができないレベルになる可能性もあります。

 競技が消滅しやすいということはパブリッシャーやプロプレイヤーやイベントプロダクションにインフルエンサー、スポンサーなどそのゲームに携わっている多くの人にそれぞれの仕事のノウハウがつきにくいという問題があります。

 対応として、仕事の共通の部分をピックアップして他ゲームでの仕事時に技術を生かすという方法があります。

 パブリッシャーの場合は他のゲームでイベントを開いたり許諾を出すとき、プロプレイヤーなら同じジャンルのゲームへの移行やプロシーンが消えただけであればストリーマーとして活動する。イベントプロダクションであれば配信時の演者の配置や配信機材の操作、大会のルール設計など共通の仕事も多いです。インフルエンサーやスポンサーも似たようなことができます。

 ですが、そのゲームの大会で作られた文化やファンまでは維持することは難しいと思います。大会が無くなってもゲームが人気であればダメージは少ないのですが、ゲームが無くなった場合ファンは他のゲームを探すかゲーム自体をやめる選択肢を取ることになります。その際、すべてのファンが同じゲームを始めるとは限りません。

 そうなると、そのゲームの大会で情勢された共通認識などは消滅します。ファンが増えたり減ったりする理由の理解が蓄積されにくいので、ファンが減った時の対応などが他のスポーツよりも難しいと感じます。特に、そのゲームのルールがジャンルにしにくいほど固有のものである場合は、この傾向が堅調になるはずです。

 この部分は僕自身も対応ができないと思っています。今までいくつかのゲームでコミュニティ大会を開いてきたのですが、ゲームが消えてしまうと、何人かは個人的につながりが維持できても、そのゲームでつながっていた多くのプレイヤーとは連絡を取らなくなることがほとんどです。共通の好きなゲームというつながりの軸があるからこそ多くの人と同時につながることができるのだと思います。

Ⅲ既存のプレイヤー以外の人が大会を見る状態に持っていくことが難しい

 eスポーツの観戦をする人は、ほとんどがそのゲームの現役プレイヤーか過去にプレイ経験のがる人になるはずです。中にはゲストや実況解説のファンの方もいるかもしれないですが基本はプレイヤーです。

 というよりも、プレイヤーでなければeスポーツの観戦を楽しむことは困難なため観戦者にならないと考えます。理由は以下の2つです。

①ゲームを購入しプレイしないとルールや動きのすごさが分からない

 ゲームのルールやキャラの性能を理解するまでであればゲームのプレイは必要ありません。ゲームの公式サイトや攻略サイトに行けばルールを見ることが可能だからです。

 とはいえ、ゲームの場合はゲームの歴史が浅いため、ルールが世間一般に浸透していないケースが多いです。そのゲームが未経験だとルールを知らない人も多い。現状では、地上波のeスポーツニュースは深夜帯に行われることが多く、ゲームをしない層には浸透しにくい状態です。メジャーなフィジカルスポーツであれば学校教育の中で体育の授業での解説もありますから、ルールを知らない人は少ない。公式サイトや攻略サイトなどへ行かないとルールが分からないというのは問題になります。

 しかも、その動きがなぜすごいのか?なぜ逆転できたのか?などを理解するのはより難しいです。

 というのも、eスポーツの場合すごいプレイがなぜすごいのかを体験するのが難しく、すごいプレイを再現するためのハードルが高いからです。

 フィジカルスポーツの場合はサッカー選手がドリブルで3人抜きをしてシュートを決めたり、野球選手が150kmのボールを投げたりしたのを見てすごいというのが分かるはずです。人生経験を積めば、一般人の肉体で再現できないことが簡単にわかります。マインドスポーツの場合は再現は簡単ですが、なぜすごいのかを自分で確かめることがeスポーツよりも簡単です。囲碁や将棋は大量生産ができるので駒や版が安く手に入りますし、最悪紙で再現すればどうにかなります。

 これがeスポーツの場合だとゲームやそのゲームをプレイするデバイス等の購入が必要です。どのデバイスでどのように購入すればいいのかがゲームによって異なるためハードルが高く、基本無料プレイ出ない場合は再現のために追加でお金を払う必要があります。ここも地上波で対応してもらえればいいのですが、eスポーツの場合かなりメジャーなタイトルでも基本的なルールから説明しつつ難易度が高い部分の説明をしているゲームはほとんどないです。

②短期間でルールが変更される

 人気のゲームであれば、ゲームを面白くするために頻繁に更新が入ります。格ゲーのように売り切り型のゲームであれば一定期間で新作が発売し旧作とは異なるシステムやキャラクターが搭載されることがほとんどです。

 つまり、eスポーツタイトルとしてパブリッシャー以外の企業や個人に仕事が入るゲームは定期的にルールが変わります。キャラクターの性能が変更したり、特殊能力が増えたり、ステージが増えたりと人気のゲームほどこれらが早いサイクルで行われます。そのほうがゲームのプレイヤーが飽きることなくゲームを継続してもらえるからです。

 ですが、ルールが頻繁に変更されてしまうと一度ゲームのプレイヤーをやめてしまうとそのゲームのファンであっても大会を見た時に分からない部分が出てきます。やめてから長い時間が経つと知らないことが多くなり、ゲーム未プレイの人と同じくらいの楽しみ方しかできない可能性が出てきます。

 そもそもルールが短期間で変わるということはルールが未プレイ層に定着しないことを意味します。ルールが変わったことを現役のゲームプレイヤーに伝えるのが限界になることが予測できます。

 個人的にできることがあるならば、ゲームのルール変更やキャラの追加が起こるたびにその情報を拡散する。パブリッシャがゲームのアップデートを行ったことを配信などでも拡散したくなるように情報の拡散や配信の視聴などを行う。これらができることだと思っています。僕自身もゲーム情報の拡散や配信の視聴は行うようにしています。好きなゲームがあればこういう拡散活動やその補助を行うことが重要だと感じました。

Ⅳまとめ

 競技が消滅してしまう問題も既存のプレイヤー以外の人がゲームの大会を見る可能性が少ない問題もまずはプレイヤーの地道な活動で対策をする。地道な活動に乗っかる形でパブリッシャがアップデートの情報などを拡散する。お金があるならもっとできることがある。って言うのがまとめかなって感じです。雑になって申し訳ない…。でもこの感覚を忘れてしまうとそもそも対戦ゲーム自体が衰退します。

 最後に、この記事を書いた個人的理由なんですが、昔から名前を知っているコミュニティで有名な方や付き合いがある身近な人達がeSports関連の仕事をしていることが多くなったことです。

 コミュニティでこつこつと活動したり、副業的に活動していた人たちがeスポーツの流行の流れに乗ってeスポーツ関連の企業を立ち上げたり企業内で部署のリーダーになったり、そういった会社に就職したりする人が増えました。

 そうやって仕事としても頑張っている人たちを見るとそこに至るまでの過程を知っていることが多いのでこのまま流行で終わってほしくないなって言うのが理由です。(上から目線みたいで申し訳ないのですが)

 自分でも趣味レベルですが関わっていることなので盛り上がってほしいです。eスポーツのように業界レベルだけじゃなくて好きなゲームが盛り上がってほしいレベルであったとしても盛り上がって生じるデメリットよりメリットの方が大きい。僕の行動指針も含めて何かが誰かの役に立ってもらえれば幸いです。

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