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ダダダイアリー、主に映画。2022/9/16ー9/29

9月16日
坂野義光監督「ゴジラ対ヘドラ」レンタル鑑賞。
麻里圭子「かえせ!太陽を」のサイケデリックなオープニング。低予算を逆手に取ったアニメの活用の効果。70年代のやさぐれ感と公害問題への怒りが画面のあちこちにヘドロを撒き散らすシリーズ中もっとも汚いのではないかと思われる社会派でぶっ飛んだゴジラ映画。ゴジラあんま興味ないけどコレは面白い。

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Saku Yanagawa「Get Up Stand Up!」読了。
単身シカゴに渡りスタンダップコメディアンとなったSakuの自伝。ビックリする位に笑い無しの熱い内容だけど、YouTuberになって金持ちになるという安易さとは真逆のサクセスを目論むその眩しいほどの生真面目さは買いだし巻末の練られたbitの解説も良かった。これは武道館公演開催時には絶対に駆けつけたい。

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イメフォにて、プロマ・バスー、ロブ・ハッチ=ミラー監督「アザー・ミュージック」鑑賞。
NY名物レコード店の栄光と終わりの日々を元従業員と常連客だった2人が監督した親密なドキュメンタリー。昨年webで観て感動した作品がスクリーンに映っただけで泣けて来た。一度も店に行った事無くても、観終わる頃には誰もが常連の気分になり別れを名残惜しむ。全音楽ファン絶対マストな作品。
上映後のトークでは松永良平とロボ宙によるトーク付き。ロボ宙はアザーミュージックとキムズ・アンダーグラウンドに何度も行った事があるとの事でVHS持参。トークでも言ってたけど、あの個性的な従業員たちのその後が気になる。続編作って欲しい。

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9月17日
「100年インタビュー稲盛和夫」録画鑑賞。
京セラ、KDDI経営、JAL再建。その経営理念とフィロソフィーに迫るインタビュー。2014年の再放送だが、利己的に世界が加速する現在の方がより響く。利他的な世界への転換を私たちは今更成し遂げられるのかを問われる貴重なインタビューだった。

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「MOMENTS 三宅純と48人の証言者たち」読了。
トランペッター、作曲家という範疇には全く収まらない稀代の音楽家三宅純の詳細なバイオグラフィーと彼を知る48人の証言と本人のインタビューで構成した決定版三宅純の全て。写真やフォントのサイズや紙の質感にまで拘った豪華な装丁。特にハル・ウィルナーのインタビューは貴重だったなぁ。永久保存愛蔵版な一冊。

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池袋へ。シネリーブル池袋にて、アンジェイ・ズラウスキー監督「狂気の愛」鑑賞。
最初から最後まで1秒もマトモな瞬間が訪れないマッドでバイオレンスなズラウスキー作品。劇場で観る機会なんてもうないだろうと思い足を運んだが、開始2分位でグッタリ。「白痴」にインスパイアされたとかってドストエフスキーも勝手に巻き込まれてたな。それでもソフィー・マルソーをスクリーンで観れたのは良かった。

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散髪をして池袋PARCOのフレッドペリーに寄って帰宅。

9月18日
「ボクらの時代」録画鑑賞。
浅野忠信、オダギリジョー、村上淳。ここに永瀬正敏が揃えばコンプになる90年代以降の日本映画を切り開いて来た3人。でも3人が一つのフレームに収まるのはこれが初。浅野のピカソ感やムラジュンとの共通性。とにかく全てが貴重で時間が短過ぎて延長して欲しかった。取り敢えず永久保存だな。

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浅草へ。
東京都立産業貿易センター台東館4Fにて開催の「アメイジング商店街 映画部」へ。
映画ファン大集合イベントなんだけどそこはアメ商、どの店も偏りまくってたな。お馴染みベルク郎(@bellkuro)さんほか、小玉大輔氏(@eigaoh2)にも会えたし、トークイベントでブルース・リー好きホドロフスキー好きな森累珠(@run_kiti)さんを知る事も出来て収穫大だった。

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9月19日
平野啓一郎「空白を満たしなさい」読了。
先にドラマ版を観てしまったので内容は分かってたけど、別物として楽しめた。特にドラマではほぼ触れられていなかった分人についてなど興味深く読めて引き込まれた。有りもしない設定から始めてここまでの説得力を獲得して最後までキチンと描き切るのは凄い。なぜか主人公がずっと西島秀俊に思えて仕方なかったけど。

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9月20日
NHK「僕の最後の歌を届けたい 密着財津和夫TULIPラストツアー」録画鑑賞。
結成50周年記念であり最後となるツアーの密着ドキュメンタリー。TULIPのライヴは2001年の再結成の時に観て満足したのだけど、枯れまくってるのにそれでも咲き誇ろうとする現在のヨボヨボのバンドのカッコ良さに涙が止まらなくなった。これはラストツアー観に行かないとな。

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ル・シネマにて、マチュー・アマルリック監督「彼女のいない部屋」鑑賞。
家族を捨て家を出た女性を複眼的に描いた物語かと思いきや、なんか変だぞと思ってるうちに設定そのものがひっくり返るというか思ってもいない展開になるかなり捻くれたモンタージュシネマ。でもノリに乗ってる感じのヴィッキー・クリープスの魅力で最後まで楽しめた。

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墨田区の菊川へ。
新しく出来た映画館Strangerへ。
ジャン=リュック・ゴダール監督「勝手に逃げろ/人生」鑑賞。
暴力的な音響と性の不快さとアクションとスローモーション。ユペールも戸惑う物語からの逃走。その挙句に溢れ出るエモーション。本作の真意はヌーヴェルヴァーグとは煙草を良く吸う事だと結論。で、さっき流れてた音楽は何?
って事でタイミング的にゴダールからのギフトとしか思えない持ってる映画館Strangerに初めて行ってきた。映画館とカフェスペースを半々にした親密な作りで、映画観終わった後にたまたま隣りに座られた方とスタッフのサトミンとでゴダールやカラックス話で盛り上がった。いやぁ良い映画館が出来たな。

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その後は用賀のロックバーエピタフに久々に寄って軽く飲んでから帰宅。もちろん常連さんにStrangerの宣伝もして来た。

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9月21日
シネマート新宿にてウォン・カーウァイ監督「花様年華」4K鑑賞。
トニー・レオンの1ミリも乱れない横分けとマギー・チャンの旗袍(チーパオ)だけで永遠に観ていられる完璧な絵に似たラブストーリー。展開的にはマギーの嗚咽がピークだけど、劇場で観るの初めてだったのと4Kの発色で新鮮さが増して感動した。キサス、多分、きっと。

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続いて新宿ピカデリーにて、赤井英五郎監督「AKAI」鑑賞。
浪速のロッキーと呼ばれたプロボクサー時代にスポットを当てた赤井英和のドキュメンタリー。映画「どついたるねん」から知った者としては、現役時代の膨大なアーカイブ映像は全て貴重で楽しめたし、本作を観る事によって「どついたるねん」の評価が更に高まった。

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東中野に移動。
ポレポレ東中野にて、深田隆之監督「ナナメのろうか」鑑賞。
リノベーション前の祖母の家の片付けをする姉妹の断絶。映画に居座る中廊下の映画性。リヴェットの様に遊び倒し、清原惟「わたしたちの家」を思わすパラレルな不穏。回収されない事の心地良さに満ちた44分のマテリアルサスペンス。大好物な作品だった。

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9月22日
ル・シネマにて、深田晃司監督「LOVE LIFE」鑑賞。
人生に訪れる不条理な出来事。それをリセットして前に進むのではなく、それと共に歩くまでの日々。安易な快復を回避して人間の嫌な感情も含ませながら、深田監督らしいユーモアと意外性に満ちた展開で穏やかなトーンで描いた団地映画。今回も引き込まれた。

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渋谷へ。
あがた森魚「50周年音楽會渋谷公会堂」@LINECUBESHIBUYAへ。
良く分かんないホール名になった渋公のステージに遂に立った森魚。新旧織り交ぜたセットリストで久々に聞いた「大寒町」とか「赤色エレジー」とか沁みたけど、やっぱり現役バリバリなんで最近の曲の方が良かった。50年が単なる通過点となる素晴らしいステージだった。

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9月24日
台風が近づく中、高円寺へ。
カワイイカルト高円寺にて開催の「オータム水野感謝祭」へ。
水野しず「解決2」発売記念の直売イベント。会場の場所を見つけだしてニセ円天ゲット。並んで待ってアド街観たよでブラックサンダーゲット。記念のチェキでアフタヌーンティー。有難い解決アソードシールもゲットし「解決1」と雑誌「imaginary」への想いもぶち撒けられてずぶ濡れになって駆けつけた甲斐がある時間だった。

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その後は新宿に移動。After PartyTokyoにて月一開催ByGirlのイベントショーを堪能して帰宅。

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9月26日
ヒュートラ有楽町にて、ウォン・カーウァイ監督「ブエノスアイレス」4K鑑賞。
倦怠の2人が辿り着いたアルゼンチンでの恋愛地獄。停滞したまま彷徨う男たち。レスリーのあんな哀しい顔見たらトニーじゃなくてもどうかしてしまう。WKW史上最も泣ける作品。20年振り位に観たけどこんなに名作だったのか。観直して良かった。そして工藤里穂監督「裸足で鳴らしてみせろ」をまた観たくなった。

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続いて丸の内ピカデリーにて、ヴァルディマル・ヨハンソン監督「LAMBラム」鑑賞。
昔々ある所に羊飼いの夫婦がおりました……で始まるアイスランドに伝わる口承文学を映像化した様な形式の物語。展開や結末に賛否や好みの分かれる作品だけど、予想以上にアダちゃんが可愛くて、内容そっちのけでもっとアダを見ていたかった。

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9月27日
菊川のStrangerにて、ジャン=リュック・ゴダール監督「右側に気をつけろ」鑑賞。
JLGとジャック・ヴィルレとレ・リタ・ミツコの三つのエピソードが交差する物語。スラップスティックな要素を常に取り入れて来たゴダールが自ら体現するドタバタ。ジャック・タチオマージュなスケッチ集「ゴダール伯父さんの休暇」と乱暴に解釈すると途端に全てのシーンに笑いが込み上げて楽しめたし、リタミツが単純にカッコよかった。民意も得ずに閣議決定だけで勝手に強行された世にも愚劣なイベントの裏にぶつけるには最高のチョイスだった。
上映後には併設されたカフェで前回も一緒だったsumidaさんとバッタリ合流し、スタッフのサトミンと岡村代表も交えてまたたくさん喋って来た。ドン・シーゲル特集も控えてるしホント良い場所が出来た。

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帰宅後、新美の巨人たち「広島市環境局中工場」録画鑑賞。
「ドライブマイカー」でも印象的に登場した谷口吉生設計の美しすぎるゴミ処理施設を八木亜希子が巡る回。丹下健三からの平和の軸線の継承など見応えあって、特にナレーションが素敵だっなぁと思ったら内田有紀だった。ナレーションにも建築愛が溢れてたな。

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小泉今日子「KKPP TOUR2022Live at中野サンプラザホール」DVD鑑賞。デビュー40周年記念ツアーのファイナルをコンパイル。2部構成オールタイムベストな構成。特にバンドメンバー全員とデュエットする「T字路」が素晴らしかった。ぜひまたライブをやって貰いたい。

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9月29日
シネマート新宿にて、ウォン・カーウァイ監督「恋する惑星」4K鑑賞。
音が良くなったし画もキレイになったけど、そういう技術的な変化とは全く関係ないところで放ち続けるフェイ・ウォンの眩しい光。ツッコミどころ満載の話なのにそれも気にならなくさせる本作の魅力に期限は無いな。ホント1万年愛す作品。

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続いて「2046」4Kも鑑賞。
昔観た時にはキムタクが出てる変なSFと思ってたけど、「欲望の翼」から横滑りしていくエピソードを一旦まとめた様な集大成感。フェイ・ウォンのズバ抜けた存在感とチャン・ツィイーの美しさ。さらにコン・リーまで登場するという贅沢で魅力的な作品だったんだな。観直して良かった。

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「NHKアカデミア妹島和世」録画鑑賞。金沢21世紀美術館をはじめ数々の名建築を設計した妹島和世が自ら作品解説や建築に対する思考の変化などを語る充実した内容。ドキュメンタリー映画「建築と時間と妹島和世」もまた観たくなった。

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