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地方都市移住で心持ちは変わる

 元々大都市圏に住んでいたのだが、社会人を機に大都市圏を離れて地方都市に住むことにした。生まれてからずっと大都市圏に住んでおり、大都市圏での生活にマンネリを感じて住む場所をガラッと変えてみたいと思っていた。最初は生活のギャップに慣れなかったが、意外と自分にはこの生活が合うのだということを、数年かけて実感してきた。

外面的な利便性よりも内面的な精神性を
 大都市圏と地方都市の比較に関しては、外面的な利便性にフォーカスした評論が多く、当人の心境にどう影響を与えるかに関してはあまり触れられていないように思ったので、この記事では地方都市移住を通じて変化した私の内面について記載しようと思う。

1.行動が計画的になる
 外出してどこかに出かける際は、移動だけで時間も金銭もかかってしまうことが多いからこそ、目的の用事以外でも「やりたいこと」をうまく組み入れたいと思うようになった。私は音楽ライブに行くことが好きだが、それ以外の時間で美味しい料理を提供してくれる飲食店に始まり、大型書店や家電量販店に至るまで、なるべく一度に回れるように工夫している。当日の疲れはなかなかのものだが、満足度や達成感はひとしおだ。

2.気持ち的に旅行へ出かけやすい
 地方都市は交通の要衝になっていることが多く、新幹線や有料特急などでの遠出も気軽にできる。私は、地方都市移住してからむしろ旅行に精が出たと感じる。社会人になって金銭的に余裕が出たことも理由の1つだろうが、交通のターミナルまですぐに出られることで気持ち的に旅へ出やすくなったことが主要因だと思っている。帰りもまたしかりで、帰宅するまでの道のりも億劫ではない。
 注意したいのは、「地方移住」と言われた時にパッとイメージする"郊外の田舎"ではなく、あくまで"地方都市"に住むということである。地方の良いところは都市部でも家賃が比較的安いところだ。

3.物事に集中しやすくなる
 大都市圏は至るところに誘惑が潜んでいる。繁華街や娯楽施設など、楽しみが溢れかえっている。大都市圏に住んでいた学生時代、勉強や研究に精を出したいと思いつつも、せっかく都心部にいるのだから遊びたいという思いもあって、そのバランスが難しかった記憶がある。色々なものに好奇心を抱きやすい反面、自分の軸が固まっていないような感情に悩まされた。地方都市に移った後は、誘惑が少なくなったおかげで周りのものに目移りせず眼の前のことに集中ができるようになったと思う。具体的には、自分が受け持っている研究に対して、これまで以上に過去の文献を精読することに集中できたり、気分転換の目の保養に自然を眺めることが容易になった。

4.自分で物事を創意工夫する
 地方都市には誘惑が少ないからこそ、空き時間に自分で楽しみを創造する必要がある。人工物が少ないからこそ、自然の物を慈しんだり、見えないものを大事にしたり、より人間生来の姿で生活ができる。私はその中で、地のものを使った自炊や、気の合う仲間との雑誌づくりを新たな趣味とすることができた。そういった創意工夫が、その人の個性を形作るのだろうと思う。

縁には感謝してもしきれない
 企業の研究職として身を立てたいと思ったことがすべての始まりだったのかも知れない。企業の研究所は都心に少なく、むしろ地方に散らばっているから、地方都市移住するにはうってつけだと感じた。職場環境も住環境もセットで自分に向いていたことに気付けて、様々な縁に感謝したい。

地方移住も最初は後悔するものだ
 地方に移住してしばらくは都心に出かけることが多く、何でも揃っていて人が大勢いる都心には安心感を覚えたものだが、心のなかでパズルのピースが完全にはハマっていないようなもどかしい気分も感じていた。事実、仕事にもイマイチ集中しきれず、プライベートの自分も空洞化するような感覚であった。
 ふと自分が住む場所に目を向けて、周りの自然に五感を研ぎ澄ませ、自分のやりたいことを見つめ直す中で、「誰かと戦っているわけじゃないし、誰かに追いつきたくて生き急いでいるわけではない」と思えるようになった。自分がやりたいことは大都市圏で無くても十分できる。

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