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駆け出し企業研究者、市場価値を知る

 「社内では価値のある人材に少しはなれたかも?」と思う一方で、「社内でしか通用しない人間になっているのではないか?」という不安が急に頭を埋め尽くした。いわゆる自分の市場価値を知ろうと思ったわけである。すぐさま某ハイクラス転職サイトに登録してみて、約2ヶ月ほど使ってみたので、今回はその所感を簡単に紹介したい。

職務経歴や自分のスキルの棚卸
 ずっと社内に居る間は職務経歴書をわざわざ書くということをしないから、改めて自分がどういった研究に取り組んできたか、しっかり書き下してみると、分子生物学や合成生物学を専門性にしていると豪語する割には、経験や実績がまだまだ浅いと痛感した。本来専門性は、課題解決する上での一つの手段に過ぎないわけだが、研究者としての市場価値を高めるためには専門性も見逃せないところ。自分が身につけたい専門性を意識しながら、その専門性が必要となる課題を自ら発掘していかなければいけないと思った。

実際に来るスカウト
 ありがたいことに様々な転職エージェントや企業からお声がけを頂いた。職種は研究職とコンサルタントのどちらかが殆どであり、とりわけ研究職は専門の分子生物学や合成生物学に関連する内容であった。一方でコンサルタントは、総合ファームか専門ファームであり、総合ファームは論理的思考力を、専門ファームはR&D経験を見られているように感じた。ハイクラス転職はやはり、コンサルティング企業がメインなのだなあと思う一方で、意外にも研究職のポストが至るところにあるもんだと驚いた。

カジュアル面談を経て把握した傾向
 これまでに転職エージェントや企業との面談を7回重ねてきた。私の中でなんとなくわかってきた傾向は以下の通り。

  • コンサルタントへの転職は、若手のポテンシャル採用(総合ファーム) or 中堅の事業会社経験者採用(専門ファーム)のどちらかである。

  • コンサルタントになるならば研究職の継続を諦めなければならない。事業会社に戻る人は多いが、研究職として戻ることはまず無い。研究の最新動向にキャッチアップするところから始めなければならず、即戦力として働けないため。

  • 研究者として専門性のブランク期間があると、専門性として認知されない可能性がある。理由は上記と同じで、即戦力として働けないため。

コンサルタント vs 研究職
 依頼された問題に対して課題を見出し解決策を考える、コンサルタントの業務そのものは好きだし、事実学生時代の就職活動でも気になっていた。ただ、「コンサルタント→研究職のキャリアパスは無いと思った方が良い」という指導教官の助言もあり、まずは研究職からキャリアをスタートしたが、今もなお研究職が一番の天職だと思っている。その理由は主に以下の2つ。

  • 好きな学問(生物学)に直接触れられる。学問に対する純粋な興味や好奇心に勝るものはない。問題解決することよりも生命の神秘を理解することにこそ最大の関心がある。

  • 実際に解決策を試してみてうまくいった時の感動や達成感が好き。これを味わうためなら、むしろ積極的に失敗を重ねていきたい。コンサルタントは解決策の提案はできるものの、意思決定や実際の行動までは起こせない。私はその時の心に宿る喜怒哀楽に人間としての生を感じる。

 まだまだ研究職を続けようと思う。

今後どうするのか
 定期的に社外の話を聞くのは新鮮で、隣の芝は青く見えるもの。社内の仕事に集中していては得られない知識や感覚を得られるのも確かだ。今後も社外との面談はゆるく継続していこうと思いつつ、社外への転出を意識した専門性・スキル・経験の醸成を、社内で始めていきたい。特に以下に重点を置いていく。

  • 専門性(分子生物学・合成生物学)

  • スキル(意思決定するリーダー層を説得する力)

  • 経験(R&D戦略立案・人材育成)

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