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マイナ保険証、エラーなどで保険資格確認ができないと患者に「いったん全額請求」 

1月31日に全国保険医団体連合会(保団連)が、「マイナ保険証」の利用を巡るトラブル実態調査の集計結果を発表しました。カードリーダーのエラーなどで保険資格確認ができず、患者に対し「いったん全額請求」した事例が少なくとも753件あったそうです。


トラブル実態調査の集計結果

以下、東京新聞からの引用です。


マイナ保険証が役に立たず「医療費いったん全額請求」が753件 保団連が調査「総点検後もトラブル相次ぐ」
2024年1月31日 19時53分  東京新聞

全国保険医団体連合会(保団連)は1月31日、「マイナ保険証」の利用を巡るトラブル実態調査の集計結果を発表した。59.8%の医療機関がカードリーダーのエラーなどで「トラブルがあった」と回答。保険資格確認ができず、患者に対し「いったん全額請求」した事例が少なくとも753件あったことが分かった。
(中略)
都内で会見した保団連の竹田智雄会長は「政府の総点検後の調査にもかかわらず、各種のトラブルは全く減少していない。政府はマイナ保険証利用率アップのために巨額の予算を投入する方針だが、システムが不完全なまま保険証をなくせば、医療現場が大混乱することは明白だ。保険証はなくすべきではない」と話している。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/306478

会見の詳細は、保団連のサイトで公開されています。

保団連は、保険医の生活と権利を守り国民医療の向上をめざして発足。

保団連が実施した23年10月以降のマイナ保険証トラブル調査では最終集計(1/31)で、41保険医協会・保険医会から8672医療機関から回答が寄せられたとのこと。

マイナトラブル調査・最終報告(8672医療機関) より

https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/240131_press.pdf

名前や住所、資格情報に問題がある場合と、カードリーダーのエラーが多いです。

https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/240131_press.pdf

結局、保険証で資格確認したというケースが83%!

https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/240131_press.pdf

紙の保険証廃止後は、病院側は受付業務に忙殺されることが目に見えていますし、患者側は診察の待ち時間が今よりもっと長くなることが予想されます。

https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/240131_press.pdf

「保険証を残すべき」が圧倒的に多いのに、なぜ強引に廃止しようとするのでしょうか。

以下、保団連の記者会見記事から一部引用です。

【記者会見1月31日・#保険証廃止勝手に決めるな】マイナトラブル調査(最終集計) 8672医療機関より回答

マイナ保険証が普及しない要因について、厚労省は、「窓口で『保険証をお持ちですか?』と聞いている」、「保険証廃止の現実感がない」と捉えています。
しかし、医療機関受診時に健康保険証の持参・呈示を呼び掛けることは保険診療を提供する上で必要な行為であり、健保法で規定された「被保険者証の資格確認」そのものです。
にもかかわらず、医療機関側が患者に「保険証お持ちですか」と呼び掛けていることをマイナ保険証推進の「障害」と捉え、かつ、資格確認方法の変更を迫ることは行政自らが法令違反を助長していることに繋がります。
マイナカード取得は任意であり取得を強制しないこと、カードを取得していない者に対する不当な差別的取り扱いは行わないことを定めた参議員付帯決議に反します。

https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2024-01-15/

附帯決議とは、政府が法律を執行するに当たっての留意事項を示したもの。実際には、条文を修正するには至らなかったものの、附帯決議に盛り込むことにより、その後の運用に国会として注文を付けるといった態様のものもみられるとのこと。

参議員付帯決議は、下記のページで公開されています。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和5年5月31日)(PDF)

三 マイナンバーカードの取得が任意であることに鑑み、その取得を強制しないこと。また、マイナンバーカードを取得していない者に対する不当な差別的取扱いは行わないようにすること。

六 健康保険証の廃止に伴う医療現場などの影響・混乱を極力防ぐため、発行済み健康保険証を廃棄しないよう、周知徹底すること。また、認知症患者や寝たきりの高齢者などの社会的弱者に対しては、発行済み健康保険証を最大一年間有効とみなす経過措置を踏まえ、遅くともその期間が終了するまでの間に、確実にマイナンバーカード又は資格確認書により必要な保険診療が受けられるよう、必要な措置を講じること。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/211/f434_053101.pdf

保団連の会長が「付帯決議に反する」と言っていたのは、「三 マイナンバーカードの取得が任意であることに鑑み、その取得を強制しないこと。」だと思います。

保団連のサイトでは、トラブルの事例として下記のような報告が公開されています。以下は、ほんの一部です。

高知県医科(顔認証):反応しない時が多く、暗証番号も忘れてる患者さんも多いので結局保険証を出してもらうことが多い。

鹿児島県医科:「該当資格がありません。保険証の変更状況を患者様にご確認ください。」とエラーが出た。保険証も確認し、患者様に保険証の変更ないか確認しましたが変更ないとのことでした。

東京都西東京市医科:「該当資格なし」となる方が一定数あり、証が廃止になると10割負担になることを説明するのが手間。本人もどう解決していいのかわからない。

三重県 医科:「特記事項」の誤りによる返戻、上記事項によるトラブルが多発するためその対応に追われてしまう、持にカードリーダーのエラーもケーブルの接触不良原因等で受付業務に支障をきたすので非常に難題である。

https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2024-01-30-3/

保団連は、患者・国民、諸団体とともに、保険証存続を求める取り組みを推進し、「#保険証廃止勝手に決めるな」を掲げて記事を配信しています。

2024年12月2日からは新規で保険証を発行することができなくなりますが、2023年11月のマイナ保険証の利用率はわずか4.33%とのこと。

マイナ保険証を利用しない場合でも、令和6年秋以降は下記の方法で被保険者資格を確認できるようになっています。

~行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律~ 令和5年6月9日公布 法律第48号 より

【マイナンバーカードと健康保険証の一体化】
○マイナンバーカードと健康保険証との一体化の趣旨について
→ マイナンバーカードと健康保険証の一体化には様々なメリットがあり、これをより多くの国民、関係者に早く届けられるよう、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるため、令和6年秋の健康保険証の廃止を目指すこととしている。
  なお、マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものであり、この点を変更するものではない。そのため、マイナンバーカードの保有を義務付けるものではなく、事実上強制するものでもない。
  また、今後、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した後の資格確認について、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を基本としつつ、例外的な事情によりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者については、本人の申請に基づき発行される資格確認書により被保険者資格を確認することとしている。

※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・3~4ページを基に作成

https://www.sn-hoki.co.jp/articles/article2920407/

保団連によると、2024年も紙の健康保険証を使い続けることが、保険証を残す最大の力になるとのことです!