文徒インフォメーション Vol.24

Index------------------------------------------------------
1)【Book】伊藤比呂美「エッセイ集に分類されるのは、作者の本意じゃない」
2)【Publisher】noteが1億円の減資
3)【Marketing】サントリー、職場向けに「社長のおごり自販機」
4)【Digital】Twitterに新潮社の偽アカウント現る
5)【Magazine】なぜ岸田文雄や高市早苗を攻撃する雑誌はないのか?
6)【Person】「休職中にラノベ4冊出版」平塚市職員
7)【Comic】李琴峰「漫画かアニメのノベライズやってみたい」
8)【TV, Radio, Movie& Music】「大切な記事を書くためにはPVを稼ぐ記事も必要」だが
9)【Journalism】川内有緒が語る「取材者の実力差」
10)【Bookstore】Kindle ダイレクト・パブリッシングが紙書籍刊行に対応
----------------------------------------2021.10.18-10.22 Shuppanjin

1)【Book】伊藤比呂美「エッセイ集に分類されるのは、作者の本意じゃない」

◎安倍政権で、「安全保障と防衛力に関する懇談会」委員、および「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」委員、国家安全保障局顧問を歴任した政治学者の細谷雄一が最近の岩波文庫の仕事を次のように褒めている。
《私の大好きなバーリンの論文集がなんと、岩波文庫で。岩波文庫は岡義武著作集などをはじめ、最近は本当によい本を次々と出します。しかも、毎回、最良の新しい解説までつけて。出版社、編集者、編者、全員を讃えたいです。》
https://twitter.com/Yuichi_Hosoya/status/1448913195784196113
岩波書店の小田野耕明の次のようなツイートを引用して投稿している。
《校了になりました。「他二篇」は、ド・メストル論とソレル論です。
残り3冊、来年ゆっくりペースで刊行します。次は川出良枝編『マキアヴェッリの独創性 他三篇』です。》
https://twitter.com/komei1107/status/1448845059185545225
「バーリン選集3」(岩波書店)に収められている「モーゼス・ヘスの生涯と意見」は読んでおいたほうが良いかもしれない。

◎幻冬舎から電子写真集「齋藤陽道と歩く。荻窪Titleの三日間」がリリースされた。
《この夏展示を行いました、齋藤陽道さんが荻窪の街と店を撮った510枚の写真が、『齋藤陽道と歩く。荻窪Titleの三日間』として、幻冬舎より電子写真集として配信されました。1ページ1枚で510カット収録。撮影の時間そのものを収めたような「流れ」を体感してください。》
https://twitter.com/Title_books/status/1448569133251973126

◎発売前から楽しみにしている。アガサ・クリスティー賞大賞に輝いた、逢坂冬馬の「同志少女よ、敵を撃て」。早川書房から11月17日に発売される。
https://www.hayakawabooks.com/n/n3b12135616b1
書店員「RIKO」がツイートしている。
《そして忘れずに今日締め切りだった『同志少女よ、敵を撃て』ゲラの感想を送付して今週のお仕事終了。ほんと凄かった。シスターフッド万歳!もう私の好みド直球で心撃ち抜かれた。どう展開しようか考えるのが楽しいもの。妄想は果てしなく広がるけれど、実際この状況だとどこまでできるかな?》
https://twitter.com/high_field78/status/1448987746161160199
初版3万部でスタートする。版元も強気だ。
https://twitter.com/Hayakawashobo/status/1443856625777868801
早川書房の溝口力丸のツイート。
《『同志少女よ、敵を撃て』、ミステリ新人賞で大賞を受賞した冒険小説×シスターフッドであり、『虐殺器官』『ゲームの王国』のように激動の時代を世界規模の想像力で描いたフィクションであり、いわゆる殺伐百合と呼ばれる切実な関係性と感情もあり、何より小説としての抜群の完成度を誇る大傑作です。》
https://twitter.com/marumizog/status/1443862494154395653

◎皓星社から「アナキズムを読む 〈自由〉を生きるためのブックガイド」が刊行されるが、斎藤真理子は同書で中村きい子の「女と刀」を紹介している。私が高校生の頃、講談社文庫から刊行されていた。今は絶版になっている。もともとは「思想の科学」に連載されていた。斎藤が次のような連ツイを発表している。
《中村きい子は、森崎和江、河野信子、石牟礼道子などと並ぶ、サークル村~無名通信の書き手で、『女と刀』は代表作です。著作のほとんどが入手困難でしたので、復刊はありがたいことです。》
《ほんとうのことを言うと、『女と刀』の復刊はほとんど諦めていたので、かなりじわじわ嬉しい。娘による母の聞き書きという面も備えた小説です。『塩を食う女たち』『ブルースだってただの唄』『まっくら』という流れの近くにある本といってもいいかもしれません。》
《さらに言うと『女と刀』は「木下恵介アワー」でドラマ化されていて(中原ひとみ主演)、脚本を木下恵介監督と山田太一さんが分担しておられる。山田さんのごく初期のお仕事ですね。
ものすごく骨っぽい小説で、こんなのがお茶の間向けドラマになったのかという驚き。》
《10月22日刊行予定『アナキズムを読む <自由>を生きるためのブックガイド』(田中ひかる編、皓星社)に
中村きい子『女と刀』の紹介文を書きました。》
《たいへん充実した本です、すごいです》
《『女と刀』も来年、どこぞの文庫で復刊される予定ですよ……(詳しくはこの本を見てみてください)》
https://twitter.com/marikarikari/status/1449060215567962115

https://twitter.com/marikarikari/status/1449058924145954816
https://twitter.com/marikarikari/status/1449059210944139267

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