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【今日コレ受けvol.035】前向きな誤読

朝7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


善人なほもつて往生をとぐ。いはんや悪人をや。
(善人でさえ往生できるのだから、まして悪人ならなおさら往生出来る)

親鸞聖人『歎異抄』より

という親鸞聖人の言葉を知って、

え? 仏様は悪人も救ってくれるの?
悪いことをしても救われるなら、万一道を踏み外しても大丈夫だ。
わーい!

と、わりと長いこと本気で思っていた。
完全に誤読である。

ここで言う悪人とは、「悪いことをする人」という意味ではない。「自らの力で煩悩を捨てきることができない人」を指している。

煩悩とは、悩みや誘惑。
つまり、悩みや誘惑から逃れられない人。
ほぼすべての人間だ。


ライターの仕事をしていると、いざ記事を書こうとして文献を調べ、こういった誤読や勘違いに気づいてハッとする瞬間がある。

まだ書く前に気づけたらいいのだけれど、
お恥ずかしい話、編集者さんからの赤字で知り、「ひえーーーーー! こんな意味だったのか!」と真っ青になったことも。


さとゆみゼミで教わった大切なことのひとつに、
「知らないことを、知らないまま書かない」があった。

知らない言葉に出会ったら、とにかく調べる。
完全に理解してから書く。

しごく当たり前なのだが、完全にはできていなかったのだ、と教わって改めて気づいた。

今は知らない言葉に出会ったら、とかく調べる。
理解できるまで辞書をひく。そして、「こういう意味だったのか」と日々驚いている。

ほとんど毎日、知らない言葉に出会う。
それが面白い。


けれども。
それはそれとして。

え? 仏様は悪人も救ってくれるの?
悪いことをしても救われるなら、万一道を踏み外しても大丈夫だ。
わーい!

という気持ちも、どこかに持ち続けている気がする。
いわば、前向きな誤読?

私がこう読みたいから、今はこう読む。こう解釈しておく。

それもちょっと、悪くないんじゃないかと思っている。

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