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”誰か”のためではなく”あなた”のために写真を撮る、その撮り方の思考。

100人に気に入ってもうらう写真より、
その1人に気に入ってもらえる写真を撮りたいです。

被写体の様子やその時の雰囲気や質感が伝わる写真を残したいと思っています。僕はそんな写真があれば欲しいんですが、でも答えは被写体によって違います。いつも手探りで答えをわかろうとしますが、写真が被写体に届いてからでないと答えがわかりません。

被写体である”あなた”のために色々考えます。


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この写真は京都鉄道博物館の貸切撮影で結婚される2人の前撮りです。
旧二乗駅舎の駅長室での1カット。
花嫁姿の支度を整えてこれから撮影に行く準備中です。


このカットを撮るまでの僕の思考の流れは、、

①戸棚のガラス戸に反射する花嫁姿がシンメトリーになって綺麗!
②これから写真を撮られるちょっとした緊張感の雰囲気がある!
③自然光が十分あって花嫁に綺麗にあたってる!いい感じ!
④水平垂直を整えてガラス戸に反射する横顔が棚のラインに被らないように構図を決めてシャッターを切ろう!


①被写体を観察する。
花嫁の側で撮影している時はこの光景に気づきませんでした。近くで撮影した後に引いて花嫁の様子を観察するとこの光景がありました。要は、被写体を観察する事です。動かない被写体に対しては視点を変える事で見える光景が変わります。

②その光景からどんな事を考えるか。
この時は花嫁の支度が整い、自前バックの中身を確認されている時でした。その横顔のうつむき加減がとても奥ゆかしい上品な凛とした姿で、花嫁の魅力が現れています。特に日本髪に結い上げられていた事で強調して見えました。

③撮影シーンの光を把握する。
窓からの太陽光が直接ではなくでも強く入ってきていました。室内照明はタングステンの弱い光。ストロボを使用したカットも撮りましたが、太陽光が結構室内に影響してました。カラーで撮影していますが、コントラストがあったのでモノクロへ撮影後に変換しています。

④撮影技術をどう使うか。
戸棚や窓枠や天井ラインがあって構図の中に線が強調されるカットになるのでシンメトリーで撮ろうと思いました。でもガラス戸の反射に花嫁姿を入れようとすると無理がありました。花嫁の姿が映るカメラ位置を調整して24mm(35mm換算)ほどで撮影しています。撮影データは、
絞りf4.0 シャッタースピード1/125 ISO感度320。HDR補正あり。
カメラはFujifilmX-T3 レンズはXF10-24mmF4.0。
撮影後の編集ソフトで湾曲収差を調整し、水平垂直を整えています。


ロケーション撮影ではほぼこの思考を繰り返しています。
で、撮影者で写真に差が出るのは①と②です。良い悪いではなく絵が変わります。この絵作りがまず大切だと思っていて、これはシャッターを切る動機になるからです。③と④の撮影技術的な事は普遍的。勉強すれば誰でも撮れます。


この写真が花嫁にとって良い想い出になるかどうかはわかりませんが、良い想い出になって欲しいと思って以上の思考で撮影しています。

”誰か”に気に入ってもらう写真より、
”あなた”に気に入ってもらえる写真を撮りたいので、色々思考しています。



terukazu



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