【映画】「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」感想・レビュー・解説

ダメだったなんてことはもちろんないし、良かったと思うのだけど、1つだけ思うことがある。3時間20分も必要な映画なのか、と。

3時間超えても、良いなと思う映画は良いなと思う。『RRR』はメチャクチャ面白かったし、最近観た『キリエのうた』も、3時間近くあったけど全然観れたし面白かった。ただ、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、3時間20分という上映時間がちょっと見合っていないように感じられてしまった。せめて2時間半ぐらいに収められなかっただろうか。ちょっとその点が、不満に感じられてしまった。

物語の冒頭からしばらくの間、何がどうなっていくのかよく分からなかった。「先住民の土地に湧いた石油を白人が奪う」という物語の骨子だけは知っていたので、そういう展開になることはもちろん理解していたが、それでも、「この初期状態から、一体何がどうなるんだろう」という気がしていた。

もちろん、不穏さはずっと放たれている。先住民族・オセージ族の者たちが不審死を遂げるも警察が捜査を行わない現実であるとか、石油の受益権狙いの結婚が横行していることも示唆される。何かが起こりそうな不穏さはずっとある。しかし、主人公のアーネストがそれにどう絡んでくるのかがあまりイメージできなかった。

その理由は、叔父のヘイルの存在感にある。彼は、フェアファクスの予備保安官であり、オセージ族たちに病院や学校を与え、一族からは「キング」と呼ばれている人物だ。彼が、実に良い雰囲気を醸し出している。そして、だからこそ観客も、「アーネストもそうなってしまうか」と感じられるのだと思う。

途中から少しずつ、「なるほど、そういう話しなのか」と理解できるようになり、最終的には「とんでもない状況」が明らかになるという展開になる。アメリカは先住民族と様々な問題を抱えていたはずだが、その中でもオセージ族とのこの関わりは、相当酷いものと言えるのではないかと思う。

しかし、個人的に凄いなと感じたのは、映画冒頭で表示される「石油を発掘した後のオセージ族の変化」である。なんと当時、「1人あたりの資産額が世界トップ」だったそうだ。まあそれ故に狙われてもしまったわけだが。

僕は、その映画に誰が出演しているかとか、衣装や音楽がどうだとかみたいなことにあまり関心がないので、シンプルに物語だけで映画を判断することが多い。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、もちろんあまりにも酷いクソみたいな現実が描かれるし、忘れてはならない過去であることは間違いないが、しかし「物語」という点で捉えると少し弱さを感じるところもあった。ハリウッドの大作映画は普段あまり観ないのだけど、実話を基にした作品だから割と期待していたのだけど、思っていたより僕にはあまり響かなくて、ちょっと意外だった。

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