【映画】「ボーはおそれている」感想・レビュー・解説

まあそりゃあ、「意味分からん」ってのは想定済みなわけなんだけど、にしても意味分からんよなぁ。なんなんこれ?

さて、一応僕のスタンスを書いておくと、どうしても僕は「視覚的な情報」にはあまり上手く反応出来ない。だから「衣装・セットが素晴らしい」「この色使いは見事」みたいな感覚は、僕にはない。恐らく本作は、そういうビジュアル面を高く評価する人はいるんじゃないかと思うのだけど、僕の場合、そういう部分は「映画の評価」としてほとんど含まれないというわけだ。

なのでどうしても、「ストーリー展開」とか「滲み出る感情」とかに反応するような見方が中心になるわけだけど、そういう僕の鑑賞スタイルからすると、本作は「???」という感じだ。まあもちろん、多くの人が「???」って感じなんだろうけど、それでも、観る人なりに色彩・音楽・役者の演技なんかに面白さを見いだせたりするんだろう。ただ僕には、そういう部分の面白がり方が出来ないので、「意味不明だったなー」で終わってしまう作品だった。

本作にはとにかく「訳わからんシーン」が満載なわけだが、その理由は「主人公・ボーの妄想」がメインだからだ(まあ「妄想」だと僕が思っているだけで、実際には違うかもしれないが)。その妄想が、割と絶妙に「日常」に接続される感じが、特に前半は上手いなーと思っていて、割とそういう面白さで観れた感じがある。

ただ途中から「これマジで何がどうなってるん?」みたいな感じになって、置いてけぼりにされ、ちょっと睡魔に襲われたりした。後半になればなるほど訳のわからなさ具合は増していって、「???」ってなもんである。

しかし、後半のある時点で、「えっ? そんな展開になるん?」みたいな感じになって、そこからまたちょっとテイストが変わっていく。一応、本作のベースになっているのは「ボーが母親に会いに行く」という展開で、その物語の核をちゃんと閉じようとする展開、とでも言えばいいだろうか。そこでは、それまでの「ボーの狂気」とはまた違った狂気が展開されていって、全体的に一層カオス感が増す。

そしてラストシーンも、「何これ?」って感じでむちゃくちゃである。まあこのラストシーンは、ちょっと宗教的なベースがあるのかなっていう感じはしたけど。その辺り、詳しくは分からん。

公式HPを観てちょっと驚いたのが、「ボーと同い年ぐらいという設定のある役」を演じた女優について(本作にネタバレもクソも無いとは思うが、一応役名は伏せておこう)。僕はどう見ても「ボー役のホアキン・フェニックスと見た目の年齢が合わなさ過ぎるだろ」と思っていたのだが、公式HPによるとその女優、1968年生まれで、今だと56歳ってことになるのか。ちょっと信じられん。30代後半みたいに言われても全然信じると思う。作品とは全然関係ないが、ちょっとビビった。

あと、「ヤベェ兵士役」の俳優になんとなく見覚えがあったんだけど、映画『理想郷』の主演と知って「なるほど」という感じだった。

全体的には「うーん」って感じだったけど、何にせよまあこれは観ないわけにはいかない映画だったから、とりあえず良し。あと、ちょっとびっくりだったのが、僕が座っていた席の近くで話していた女性2人が、「『翔んで埼玉』観た?」「『ゴールデンカムイ』は観た」みたいな話をしていたのだけど、アリ・アスター監督作品っていうのはそういう「超どメジャー作品を観ている層」にもキャッチアップされる作品なんだなぁ、ということ。まあ確かに、『ミッドサマー』は大ヒットだし、本作の主演はホアキン・フェニックスなわけで、当たり前っちゃ当たり前なのかもだけど。

この記事が参加している募集

映画感想文

サポートいただけると励みになります!