【映画】【乃木坂46】「映像研には手を出すな!」感想・レビュー・解説

内容に入ろうと思います。
芝浜高校には、全員何らかの部活に入らなければならないという不文律がある一方で、429の部活と89の同好会がひしめきあうという状況になっている。この現状を打開すべく、「大・生徒会」は予算審議委員会などを開き、不要と判断した部活の予算を廃止したり、部活動の統廃合を進めようとしている。
通称「映像研」は、天才的な妄想力を持つがコミュ力が小学生並の浅草みどり、アニメーターとしての腕は確かだが両親からアニメと関わることを禁じられている女子高生モデルの水崎ツバメ、アニメの知識などはないが金儲けが大好きなプロデューサー気質の金森さやかの三人からなる部活で、ドラマ版で、すったもんだの挙げ句、「大・生徒会」から活動の承認を得るに至った(そこまでの経緯のダイジェストが、映画の冒頭で語られる)。
とはいえ彼女たちは、まさに「映像研には手を出すな!」と言われるほどヤバい部活と認知されるようになり、当然、「大・生徒会」も「映像研」をどうにかしようと考えている。
「映像研」に限らず、芝浜高校のすべての部活に対し「大・生徒会」は統廃合を命じる。なんとなく似ている、という理由で勝手に統合先を決められる前に、プロデューサー・金森は先手を打っていた。それが、ロボット研究会との統合計画だ。ロボット研究会が所有する「クロース」をモデルにアニメを作成し実績を作り、「大・生徒会」にロボット研究会との統合を認めさせるのだ。
しかし、突出した能力がありつつ出来ないことが多すぎる浅草を始め、でこぼこだらけの「映像研」のメンバーには、当然、問題続出。教師の横槍や、ロボット研究会との内紛など色々ありつつ、果たして彼らは無事アニメを完成させることができるのか?
というような話です。

さて、この映画をどう評価したものか。

まず僕は、乃木坂46のファンであり、齋藤飛鳥のファンなので、もちろん自分が推しているメンバーがずっと出ずっぱりの映画、という意味でもちろん楽しかったです。ただ自分の中で、どうにもこの作品を「良い!」と言い難いなぁ、という風にも感じてしまいました。

たぶんその大きな理由の一つは、ドラマ版とやってることが同じな気がするなぁ、と思ってしまったことでした。

「映像研には手を出すな!」は、先行して同じキャストでドラマ版が放送されていました。もちろんそちらも観ていて、僕の主観としては、ドラマ版の方が面白かったな、と思います。それは、ドラマ版の方が出来が良かった、という意味ではなく、僕の感触として、ドラマ版と映画版のストーリーが似た雰囲気を持つものだったからです。映画版の方は、どうしても、既視感を感じつつ観ている、という感じがしました。

もちろん、ストーリー上色んな違いはあるんだけど、大枠として「大・生徒会とのバトル」とか、「映像研の三人が色んな場面で噛み合わない」とか「色んな部活がわちゃわちゃしてる」とかいう部分は、当たり前なんだけど同じで、そういう意味で僕はどうしても、新鮮味の無さ、みたいなものをより強く感じてしまいました。

もちろんこれは、好みの問題でもあると思います。この「映像研」は、設定とかキャラクターが絶妙に面白いから、ストーリーそのものというよりは、設定・キャラクターありきのストーリーを堪能している、という観方の人もたくさんいると思います。そういう観方を否定したいわけではないし、そういう観方をする方がこの作品は楽しめるから、そういう意味で正解だと思います。

ただ、僕の好みには合わなかったなぁ、と思います。

もちろん、さっき言ったように、僕自身はこの映画を楽しみました。齋藤飛鳥や、乃木坂46のメンバーが出ている映画としてです。ただ、純粋に映画そのものを良い感じには受け取れなかったなか、という点がちょっと残念でした。

乃木坂46の部分としては、やっぱり、齋藤飛鳥がハマり役という感じです。浅草みどりという役について齋藤飛鳥はインタビューなどで、「自分とはかけ離れた存在」という風に言っているのだけど、客観的に観ると、齋藤飛鳥との共通点、結構あるんじゃないかと思います。発想力とかそういう部分は浅草みどりに遠く及ばないのかもしれないけど、モノづくりに対する熱意とか関心はかなり強い人だと思うし、人見知りも浅草みどりほど極度ではないにせよ、同じ延長線上にはいるんじゃないかと思います。

個人的には、浅草みどりと齋藤飛鳥がダブる部分が結構あるから、浅草みどりとして涙している場面を観ると、齋藤飛鳥が泣いてるみたいに思えてきて泣けてきますね。特に最後の、「ヒョウモンガメの~」という場面は、泣けるなぁ。口には出さないながらも、常に「映像研」の面々のことを考えていることが伝わる良い場面でした。ラストの方で、「ツバメのお友達?」という問いに対して首を横に振り、「◯◯です」という場面と合わせて、凄く良かったなと思います。

僕は、ドラマ版と映画版が同じことをやってる、という風に受け取ってしまったので、僕のアドバイスとしては、ドラマを観ていない人にはオススメできる、という言い方になりますが、特異な設定やキャラクターを何度でも楽しみたい、という人はどちらを観てももちろん楽しめると思います。

あと、どうでもいいことを2点。まずは、浜辺美波を贅沢に使うなぁ、ということ。いくらでも主演を張れる女優を、「映像研」の面々とほぼ絡まない脇役的に登場させるとは。あと、これはマジで驚いたけど、オフィシャルブックを読んで知った話。さかき・ソワンデ役にグレイス・エマは、撮影当時中学3年生だって。マジかよ。

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