純愛ブームにおける愛は我々に何を語るのか
1.はじめに 2004年5月行定勲が監督した『世界の中心で、愛をさけぶ』(出演:大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、森山未來など)が公開された。興行収入85億円、観客動員数おおよそ620万人を記録して2004年の邦画実写映画のトップになった。原作は片山恭一による小説で小学館から2001年に発売された。発売当初は大きな話題にならなかったが、2002年に柴咲コウの推薦文が本の帯になってからは急速に売上げを伸ばし、2003年には100万部を超すベストセラーとなる。映画のヒットとともに