ぶんけい

映画の社会学研究者。ポップカルチャーの研究もしています。

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最近の記事

極限状態における食

1.はじめに 小学生時代のことなので1970年代のことだと思う。テレビ番組で「本能」という言葉が紹介されていた。番組では、本能は動物の遺伝子に組み込まれたプログラムで、誰かに教わらなくて自然に生じる行動および衝動だと説明されたように記憶している。生まれたばかりの馬が誰かに教えられたわけではないのに立って走り出す、なわばりに敵が近づいてきたら逃走するなどの行動は本能的な行動とされていた。  テレビ番組では「食欲」、「睡眠欲」、「性欲」が、人間の本能の核となる三大欲求だとされてい

    • 純愛ブームにおける愛は我々に何を語るのか

      1.はじめに 2004年5月行定勲が監督した『世界の中心で、愛をさけぶ』(出演:大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、森山未來など)が公開された。興行収入85億円、観客動員数おおよそ620万人を記録して2004年の邦画実写映画のトップになった。原作は片山恭一による小説で小学館から2001年に発売された。発売当初は大きな話題にならなかったが、2002年に柴咲コウの推薦文が本の帯になってからは急速に売上げを伸ばし、2003年には100万部を超すベストセラーとなる。映画のヒットとともに

      • 社会の時間

        1.はじめに 古代エジプトにおけるトト、ギリシア神話のモイライ(運命の三女神)であるラケシス、クロト、アトロボスそして北欧神話に登場するノルン(運命の女神)三姉妹ウルド、ベルダンディ、スクルド。これらの神々は時間を支配する神と考えられている。特に人間の生きる時間と死ぬ時間をつかさどる神々である。現在、これらの神々の名前は神話そのものではなく、漫画やアニメ、テレビゲームなどを通して若者たちに伝えられている。それらのどの作品においても、これらの神々は何らかの形で「時間を支配する力

        • 宮崎駿を通してみる現代日本人の自然観

           テーマシンキング叢書という本に掲載しているエッセイなのですが、このままだと世間に知られずに埋もれてしまいそうなので、ここで公開しようと思います。初稿をコピーしたので誤字脱字があります。見つけたら修正していきます。 1.はじめに 神学部3年生の頃、英書購読という講義で印象深い本と出会った。アメリカでの1年間の海外研修を終えた旧約聖書神学を専門とする教員が選択された本で、タイトルは「Ecology」である。どういう領域の研究者が、何年に書いたのか、全く覚えていない。今まで触れ

        極限状態における食

          自己紹介(?)

           とりあえずアウトプットの場を確保するためにnoteをはじめることにしました。続けられるかどうかわかりませんが・・・。 最初の研究生活(神学) 大学では宗教学(キリスト教神学)を専攻していました。大学院(修士課程)まで進み、神学というよりも社会学よりの研究を行っていたドイツの神学者E.トレルチの『社会教説』(Soziallehren)をもとに「宗教と社会の関係」について研究しました。  トレルチはM.ヴェーバーから強い刺激をうけて『社会教説』を執筆したため、本の中にはヴェー

          自己紹介(?)