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振り返ってみた『あの時のわたしとまちとワタシタチ。'24』

『あの時のわたしとまちとワタシタチ。'24』
無事に公演が終わり、ちゃんと打ち上げもしてやり切りました〜!

HAPPYEND後すぐに取り組んだ作品。
演劇の作り方も身体に沁みていた状態の劇作でした。

実際やってみて
「梢の心境の変化がすごくわかった」
という周りの今回の評価。私もすごく思う。めちゃくちゃ変わった。

ということで振り返ってみることにしました。

初演からの変化


【初演の目的】
 ・一つの区切りとしての演目
 ・海に行ってみたかった
 ・まりことなっちゃんのシーンを作りたかった

【再演の目的】
 ・遠くに移住するまりこのために
 ・海に行った後の話を描きたかった
 ・まちが続いていくことを描きたかった
 ・「まりこ、行ってらっしゃい」を入れたかった

◎最初のシーン
初演の時には、私はもちろん、なっちゃんも今とは全然違う状況で、
「朝は揺れていた、8月。空はやけにしらんでいて」
というセリフが思いついた日のことは良く覚えてる。
確かシェアハウスの屋上で、なっちゃんの家で朝早く目が覚めて、
屋上を眺めていた時だった記憶。

◎部屋のシーン

リライトで追加した、部屋でお母さんに子供時の話を聞くシーンを、なっちゃんに初めて読んでもらった時、ポロポロ泣いていた。
わけを聞くと、お母さんが子供だった時のことを知ることは、親が初めて他人であるということを知る瞬間なんだと。
なるほどなと思い、より母が少女であった時間があることがわかるシーンを増やそうと思った。

◎まりことなっちゃん
まりことなっちゃんのシーンについては初演同様、再演も絶対に入れようと思った。
「シンクロ」という演劇のWSをしている時の2人の空気感がとにかく好きで、卒制で描くくらい自分にとっては魅力的だった。

だから、絶対演劇としてもやろうと思ってた。

このシーンに関しては何も言うことがないくらいよかった。


自分自身の変化


【初演時】
 ・多少は大人にだまされてた(意図せず)
 ・過去の出来事がそんなに消化しきれてなかった

【再演時】
 ・多少は大人に騙されるもんだと思ってる
 ・過去は過去で客観視できるようになってた
 ・まちが続いていくことを描きたかった

言わずもがな段階が変わったってことですね。
あとは自分がフィールドにしている柳ヶ瀬というまちが1つの転換期を迎え、そこに自分が登場人物として加わっている(まちづくり会社だからね)ことが大きな要因。 


自分から離れていった劇作


脚本は自分が携わる割合は多く、プラスαでみんなの意見を聞いたりしながら整えた。
ただ、今回に関しては演出プランがどうも思い浮かばず、ギリギリまで悩んだ。悩みすぎてみんなにも聞いてみた。

すると自分では予期せぬ方向に劇作が向くように。
なんて面白いんだと思った。

◎映画のシーン


男をどのような形で出すかを迷っていた。
最初は人物をそのまま出すというのをイメージしていたけど、それではよからぬ解釈になる可能性が高く、渋っていた。

「影絵にしよう」

って言ってくれる子がいた。
実際やってみると、めちゃくちゃ良かった。
プロジェクターの照明も相まって、人の影とモノの影が空間として成立していた。思わず感動した。

◎海のシーン
初演の時には立った状態で演じていた。
ただ、プロジェクターで足が見えないのが勿体無いという話になる。
プロジェクターを動かすか、すると壁との余白が難しい。

「顔が見えなくて良いなら足で見立てるのはどうか」
確か提案してくれたのはまりこだった。
これもめちゃくちゃ良かった。
(ただ本番1時間半前に決まるので冷や汗止まらなかった)

私の劇作は集団創作に近いのか、最終決定権はある程度あるものの、自分が全て決めるやり方ではない。周りの意見は、自分の構想と同じウェイトで捉えることにしてる。
(まあ全部自分で決められるくらい演劇脳だったら岐阜にいなさそう)

多分、(自分が決めたことに対しての)こだわりがそこまでない。
作品をよくなると思ったら迷わず別の案でみたいな。

決めきれなさというか、自分の言い切りが弱い部分もあるからこそ議論になることもある。

◎まちのシーン
最後は自分の構想でなんとか形になったけど、作るまでがすごく苦戦した。
一番ワクワクするシーンだと思って描いたけど一番舞台化するのが難しかった。

「まちの雑踏をSEで入れたほうがいいんじゃないか」

という提案はあったが、私はどうもそれだけは許せるラインじゃなく
「OK」とは言えなかった。
音で形にするのではなく、身体で持って形にしたかったのだと思う。

シンプルな箱の良さ

初演は喫茶星時で行った。星時でやることが前提で描いた。
ただその際に、
「なぜその場所で作ったのかが弱い」と元顧問に言われた。

「いや別にいいじゃん!」とは思いつつ、
リライトするならシンプルな場所がいいなと思っていた。
喫茶店の要素も魅力的ではありつつ、そこに頼るのは良くないと思った。

そこで選んだのは、事務所の地下。(通称:カグチカ)
レールに吊られている照明をがっつり外し、加納高校演劇部からコロガシを借り、するとなんということか劇場にしか見えない。

これはすごくいい発見だった。
(ただ音が響きすぎるのと、上に住んでいる方のお風呂タイムと被るとポンプ音が爆音で流れるのが少し大変。)

稽古の振り返り

GWもあってか、回数としては少ないものの初演に比べたらしっかり稽古できたんじゃないかと思う。

ただ、メンバーがメンバーなだけにスムーズにいくことばかりではなく、
ヒヤヒヤする場面もあって、精神的に負荷がかかる部分もないわけじゃなかった。

「そうだったわ、演劇ってめんどくさかったんだ」
となったのもこの稽古期間。

演出でもなんでもなく、ただ役者だけやれば良かった3月とはそりゃあ違うはずだ。
ただ、いいものを作るために対話を重ねたと言う実感はすごくあって
だからこそのやり切った感。


初演の時の写真
実はみんな同じ高校

次は

次やるなら30歳かなー。
果たしてみんなは岐阜にいるのか。
というか演劇そもそもできるような環境なのか。
この若さだけで乗り切っている作風で30歳もいけるのか。




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