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【文活2月号ライナーノーツ】上田 聡子「あのひとに雨を降らせて」|過去作のリライトについて

この記事は、文活マガジンをご購読している方への特典としてご用意したライナーノーツ(作品解説)です。ご購読されていない方にも一部公開しています。ぜひ作品をお読みになってから、当記事をおたのしみくださいませ。

みなさん、毎日寒いですがお元気でいらっしゃるでしょうか。
上田聡子です。

2月のライナーノーツを担当させていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。

今回は、過去作のリライトや、過去作にもう一度光を当てることについてお話したいと思います。

今回の「チョコレートな戦い」をテーマにした拙作「あのひとに雨を降らせて」ですが、こちらは六年前の2016年当時にnoteに書いた掌編「チョコレート中毒」を改稿・リライトしたものなのです、実は。

六年前の「チョコレート中毒」がこちら

私、この作品を書いた当時からすごく気に入っていたのですが、なにせ短いですし、あっという間に埋もれていってしまって。でも、なんとかこの中のアイディアを、ベストな形で焼き直せないかなあと思いまして、今回リライトというかたちをとりました。

両方を、ぜひ読み比べてみてください!もしかしたら、2016年版のほうがお好きという方もちらほらいたりして……(笑)

そうして、私自身の大きな経験として、noteに2017年に連載した「洋食屋ななかまど物語」に書籍化のお話をいただき、2019年から2020年にかけて、note版の原稿用紙100枚から、最終的に300枚以上の文庫本用原稿として、編集者さんの並走のもとリライトさせてもらったのですね。

これが、すごくいい経験となりました。ぜひ、note版の「洋食屋ななかまど物語」と、PHP文芸文庫から出版された「金沢 洋食屋ななかまど物語」を読み比べてみてください。どこがどうふくらんだか、差異を御覧になるのは、面白いのではと思います。

また、以前noteで私設賞として開催された「磨け感情解像度」賞で入賞したときも、テーマにぴったりだったという理由で、過去書いた短編を出していました。「漁村の女」という作品です。やはり思い入れがあったので、このときも日の目を見られて嬉しかったのを覚えています。

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