【能登半島地震】僧侶の被災経験に学ぶ 浄土宗有志、支援へ研修
※文化時報2024年3月12日号の掲載記事です。写真は研修を主宰した有志代表の馬目一浩氏。
約20団体・個人が参加する災害支援ネットワークIwaki(DSNI)代表で浄土宗阿彌陀寺(福島県いわき市)副住職の馬目一浩氏ら僧侶有志が2月22日、大本山増上寺(東京都港区)で「災害時に対応できるお坊さんを目指す研修会」をオンライン併用で開催した。能登半島地震で被災した寺院の実態や、これまでの災害でお寺を避難所として開放した事例を通じ、僧侶による災害支援の在り方について考えた。
能登半島地震で本堂が全壊した宝幢寺(石川県七尾市)の高田光順副住職が登壇。被災時の状況などを説明した上で、「寺院は古い建物が多く、大規模地震に弱い。宗門が防災意識を持ち、再建に向けたコーディネートを行ってくれるなら、復興に気持ちが向きやすい」と話した。
DSNIの一員として被災地支援を行った加藤正淳照岸寺(いわき市)住職は、給水支援やがれき撤去などに取り組んだことを伝えた。会員制交流サイト(SNS)での検索で参加可能な活動を見つけられることや、被災地で活動する団体に調整してもらうことで支援が行えると指摘した。
東日本大震災で地域の人々が駆け込み、本堂が約3カ月にわたって避難所になった淨念寺(宮城県気仙沼市)の髙橋一世住職は「普段から燃料や毛布などの備えが必要。食料や水は、支援が届かなくても1週間ほど乗り切れるようにしておくべきだ」と語った。
2015(平成27)年9月の豪雨災害で避難所になった大楽寺(茨城県常総市)の長谷川良則住職は「どのお寺も避難所になる可能性がある」と強調。前触れなく支援に訪れた団体やニーズに沿わない物資が届いたことに翻弄(ほんろう)されたことを明かした一方、支援者がごみを持ち帰ってくれたり避難者が楽しく過ごせる時間を提供してくれたりしたことに、感謝の意を示した。
締めくくりのあいさつで馬目氏は「これまで災害支援に対する振り返りがなかった。そこから学び、これからの災害に備えることが大切だ」と訴えた。
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