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【能登半島地震】被災地支援 現地の宗教者の見方は

※文化時報2024年3月5日号の掲載記事です。

 能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県能登町では、発生から2カ月を経過した現在も支援が必要とされている。ボランティアが不足する一方、被災地にどうアプローチすればいいのかと悩む人は多い。現地入りした宗教関係者からは、ボランティアをコーディネートする団体との連携を勧める声や、宗教・宗派を超えて活動する枠組みを求める声が上がっている。(大橋学修)

 福島県いわき市に拠点を置く災害支援ネットワークIwaki(DSNI、馬目一浩代表)は2月17、18日、2度目の支援活動を行った。DSNIは、いわき市社会福祉協議会など約20の団体や個人で構成。活動状況や災害対策を毎月話し合い、被災地の支援活動にも取り組む。馬目代表は、浄土宗阿彌陀寺(いわき市)の副住職でもある。

 能登半島地震でDSNIは、能登町役場や医療機関で復旧・救援に従事する人たちのために炊き出しを行っている。活動に参加した能登町議会の小浦肇議員は「町役場では、県外から行政の支援に入った人たちが、夜遅くまで業務に取り組んだ後、会議室で雑魚寝している」と明かし、支援者への支援の必要性を話した。

 17日に提供したのは、福島の名産で体長10センチほどの深海魚メヒカリ(アオメエソ)を使った唐揚げ、豚肉と白菜のうま煮、かぼちゃと里芋の煮物、みそ汁、白米。家庭料理でほっこりしてほしいと考えたという。

能登町役場に唐揚げとして提供された福島県特産のメヒカリ

 1度目の現地入りは1月16~20日で、いわき市社会福祉協議会と協力し、給水車を搬入して給水活動を行った。

 今回は、能登町内での支援活動を統括する一般社団法人OPEN JAPAN(宮城県石巻市)と連携。いずれも被災地の事情に通じている団体を媒介することで、現地のニーズに合った支援に取り組むことができた。

 馬目代表は「ニーズをつかむ団体と連携するには、日頃の活動が大切であり、きっかけになる」と強調。東日本大震災での経験に基づき、「被災者自らが支援者の受け入れ体制を作ることは難しい。外部の人間が支援をコーディネートできる体制を整えるには、普段からネットワークづくりを行っておくことが重要だ」と話した。

教団超えて団結を

 これまでに培った関係性を基に、教団を超えて団結し、被災者支援に取り組む宗教者たちもいる。

 キリスト教の教会ネットワーク「石川県放送伝道協力会」を中心に結成した「能登地震キリスト災害支援会」(能登ヘルプ、岡田仰代表)には、教派の違いを超えてキリスト教者が集まっている。七尾市や能登町、珠洲市などで炊き出しや支援物資を届ける活動に取り組む。

 宗教者災害支援連絡会(島薗進代表)も2月19日に被災地を巡り、宗教者による支援活動を視察。今後の支援の在り方を考える上での情報共有を行った。

能登町で炊き出しを行う災害支援ネットワークIwakiのメンバー=2月17日

 淑徳大学の藤森雄介教授は同16日から被災地に入り、宗教者による支援の在り方を考察している。水道や電気などのライフラインが復旧された段階から、傾聴ボランティアなどで宗教者が活躍できるようになると考えている。

 一方で、被害の大きさに比べてボランティアの数が不足している実態を目の当たりにしたことで、教団を超えた体制づくりが必要だと訴える。「寺院の被害で見れば、真宗大谷派が多く被災している。がれきの片付けなどを、他宗派の僧侶が手伝ってもいい。全日本仏教青年会が母体になることもできるのではないか」と話した。

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