見出し画像

【能登半島地震】長期の支援活動必要 宗援連、情報交換会で認識共有

※文化時報2024年3月8日号の掲載記事です。

 宗教者と研究者の有志らが被災地支援に取り組む宗教者災害支援連絡会(島薗進代表、宗援連)は2月23日、真如苑友心院(東京都千代田区)で「能登半島地震における宗教者による災害支援」の情報交換会をオンライン併用で開催した。石川県内で活動する宗教者・研究者らが、各自の活動状況を報告。長期にわたる支援や宗教者ならではの活動が必要との認識を共有した。(山根陽一)

 真如苑救援ボランティアSeRVの防災士・八本俊之氏は、石川県穴水町でトレーラーハウスや仮設トイレを提供するなど重層的な支援を実施。「深刻な被害を受けた珠洲市は道路遮断が続き、支援活動が限定される。長期的な支援が不可欠」と指摘した。

 公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)の副会長で曹洞宗僧侶の茅野俊幸氏は、輪島市の要請を受け同市門前町で実施した支援活動について紹介。「東京都立大、国士舘大、津田塾大の学生も参加し、足湯サロンや身体障害者への入浴支援が喜ばれた」と手応えを語った。

 真宗大谷派能登教務所の竹原了珠所長は、353カ寺、門徒約2万人が被災したとした上で「廃業やむなしとする高齢の住職は多いが、寺院は被災者を見守る責任がある。継続的に活動したい」と伝えた。

 全国のキリスト教の支援団体で結成した能登地震キリスト災害支援会(能登ヘルプ)の市來雅伸氏は「時限組織で炊き出し、片付け、物資供給を行ったが、多くの支持を得られた」と話した。

 日蓮宗妙圀寺(七尾市)の鈴木和憲住職は、「七尾山の寺寺院群16カ寺」が宗派を超えて情報共有している現状を紹介。「お寺は不満や悩みを言い合える場所。気軽に来てほしい」と述べた。

 天理教災害救援ひのきしん隊の橋本武長本部長は珠洲市の要請で食事提供や給水を行い、延べ2千人が活動したと報告。輪島市に入った金光教大阪災害救援隊の竹内真治氏は「仮設住宅への入居が始まる中、住宅を失った人と被害が軽微だった人に心の軋轢(あつれき)がある」と課題を指摘した。

 学生と共に被災地で活動する大阪大学大学院の稲場圭信教授は「宗教者の支援活動が着実に認知されている。アクセス状況も日々好転しており、プロだけではなく一般の人がやれることは増えていくはずだ」と主張した。島薗代表は「宗教者のネットワークづくりが徐々に進んでおり、今後は臨床宗教師=用語解説=の役割が重要になる」と総括。情報交換会を定期的に開催する方針を示した。

【用語解説】臨床宗教師(りんしょうしゅうきょうし=宗教全般)
 被災者やがん患者らの悲嘆を和らげる宗教者の専門職。布教や勧誘を行わず傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。2012年に東北大学大学院で養成が始まり、18年に一般社団法人日本臨床宗教師会の認定資格になった。認定者数は23年5月現在で212人。

【サポートのお願い✨】
 いつも記事をお読みいただき、ありがとうございます。

 私たちは宗教専門紙「文化時報」を週2回発行する新聞社です。なるべく多くの方々に記事を読んでもらえるよう、どんどんnoteにアップしていきたいと考えています。

 新聞には「十取材して一書く」という金言があります。いかに良質な情報を多く集められるかで、記事の良しあしが決まる、という意味です。コストがそれなりにかかるのです。

 しかし、「インターネットの記事は無料だ」という風習が根付いた結果、手間暇をかけない質の悪い記事やフェイクニュースがはびこっている、という悲しい実態があります。

 無理のない範囲で結構です。サポートしていただけないでしょうか。いただければいただいた分、良質な記事をお届けいたします。

 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

サポートをいただければ、より充実した新聞記事をお届けできます。よろしくお願いいたします<m(__)m>