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お寺の子ども食堂 支援者の受け皿に

※文化時報2021年10月7日号の掲載記事です。

 浄土宗大本山くろ谷金戒光明寺(京都市左京区)の有志が地域貢献で始めた子ども食堂=用語解説=に、学生や地元企業のボランティアが続々と押し寄せている。新型コロナウイルス感染拡大で活動の機会を失ったり、誰かの役に立ちたいと思っても自分の力では限界を感じたりした人々が、お寺の門をたたく。(大橋学修)

 9月24日に開催された「くろ谷子ども食堂」には、京都学生祭典実行委員会の学生メンバーが初めて参加した。

 京都学生祭典は、平安神宮(同区)前の岡崎プロムナードで毎年10月に開催される音楽・芸術などの人気イベント。学生らに行政や企業、地域が協力し、来場者は10万人を超える。

 ただ、コロナ禍で規模は大幅に縮小。特に地域との交流を担う「年間交流部」は、活動の場を失った。部長の酒井悠里さん(京都産業大学)は「持続可能な開発目標(SDGs)の観点で何かできないかと考えた結果、子ども食堂に行きついた」と話す。金戒光明寺で行っていることを知り、ホームページを通じて問い合わせた。

 実行委員会を通じて食料品を募ったところ、パスタやインスタント食品、紅茶などが集まり、くろ谷子ども食堂に寄付。スタッフとしても活動した。酒井さんは「コロナ禍の終息後も続けていきたい」と話しており、得意とするイベントの企画などにも参加できないか考えているという。

 一方、この日は京都悠洛ホテルMギャラリー(京都市東山区)からも参加者があった。

 会員制交流サイト「フェイスブック」でくろ谷子ども食堂の存在を知ったという従業員の古賀文子さん。「元々、子ども食堂でボランティアに取り組みたいと思っていたが、自分で開くほどの力もない。それで活動できる場を探していた」と話す。企業としても活動できないかと考え、会社の人事部に掛け合ったところ、ホテルのシェフが作った料理を提供するようになったという。

 ザ・プリンス京都宝ヶ池(同市左京区)は、今年の開業35周年に合わせ、新たな地域貢献活動を模索していた。24日の子ども食堂では、寄付された食材をホテルのシェフが調理。事業戦略チーフマネジャーの冨岡奈々子さんら従業員がスタッフとして運営に関わった。

 冨岡さんは「企業主体で子ども食堂に取り組むことは、さまざまな規制があって難しい。外部の事業に参加することで、従業員の意識改革につながり、部門を横断する交流もできる」と、企業として参画するメリットを語った。
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【用語解説】子ども食堂
 子どもが一人で行ける無料または低額の食堂。困窮家庭や一人親世帯を支援する活動として始まり、居場所づくりや学習支援、地域コミュニティーを形成する取り組みとしても注目される。NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の2020年の調査では、全国に少なくとも4960カ所あり、宗教施設も開設している。

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