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国宝庫裏 解体修理へ 妙法院門跡、活用も検討

 ※文化時報2020年11月11日号の掲載記事です。写真は庫裏内で4日に営んだ安全祈願法要。

 天台宗妙法院門跡(杉谷義純門主、京都市東山区)は国宝妙法院庫裏の半解体修理を行うことを決め、4日、工事安全祈願法要を営んだ。1918(大正7)年に行った補強以来、約100年ぶりの工事で、2027年3月に完工する予定。寺宝などを公開する施設として活用することも検討している。

 妙法院庫裏は、豊臣秀吉が方広寺大仏殿の千僧供養を行ったときの遺構と伝えられ、1573~1614年ごろに建築されたとみられている。桃山期の台所建築としては国内最大級とされ、長大な梁など屋根を支えるための骨組みを見せる意匠や、入り母屋造りの屋根に唐破風を設けた点に、スケールの大きさが現れているという。

2020-11-07 妙法院門跡・国宝庫裏02

長大な梁を持つ台所建築

 国宝に指定されたのは、1957(昭和32)年だったが、平成の初めごろから修復の必要性が生じていた。梁が腐って形が崩れ、地盤沈下のためか、建物が西に傾いてきたという。今月2日に国庫補助金の交付が決まり、着工が正式決定した。

 総工費は約10億円で、京都府が妙法院から事業を受託して進める。

 事前調査を経て12月末から素屋根を架け、早ければ来年3月から屋根の解体に取り掛かる。併せて調査を進め、状態を確認した上で修理工法を検討。調査過程で新史料の発見にも期待がかかる。

 妙法院庫裏は、京都古文化保存協会の協力で2年に1回程度、特別公開されてきた。工事完了後は、妙法院が所蔵する文化財を公開する場として活用することも考えるという。杉谷門主は「国民の財産であり、足を運びやすい寺院として発信することも重要。非公開のものを公開することにも、解体修理の意義がある」と話していた。

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