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ラビリンス 歩く瞑想

※文化時報2022年1月28日号の掲載記事です。

 ラビリンス(迷宮)と呼ばれる円形の幾何学模様を用いた「歩く瞑想」が広がりつつある。キリスト教の教会を中心に、仏教寺院を含む超宗派の宗教施設が関心を寄せている。昨年は関西初となる常設のラビリンスが、滋賀県近江八幡市のアシュラムセンターに完成。さまざまな教派の牧師や神学者らが〝聖なる道〟を歩き、心を整えた。(主筆 小野木康雄)

 昨年12月8日、アシュラムセンターで行われたワークショップ。秋の名残の紅葉が映える庭に、約20人が集まった。赤、黒、白の3色の石を約1万個敷き詰めた道が、直径11.4メートルの円の中に造られている。迷路ではなく、中心に向かう一本道だ。

 参加者らは、間隔を置いて1人ずつラビリンスに入る。立ち止まったり、近道したり。誰も一言も話さず、それぞれのペースで歩く。中心にたどり着けば、折り返して戻ってくる。

 曲がりくねった道をたどる様子が、人生を象徴しているようにも感じられる。瞑想でありながら、信仰の有無や違いに関係なく、気軽に取り組めるのも特徴といえる。

グリーフケアにも活用

 民間団体「ラビリンスウォーク・ジャパン」(代表、リチャード・ガードナー上智大学名誉教授)によると、ラビリンスはギリシャ・クレタ島など紀元前の遺跡に原型がある。フランス・シャルトル大聖堂のものは、聖地エルサレムへの巡礼を模したとの説もあるという。

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