見出し画像

世代超え 本音語ろう

お寺で知る終活講座

※文化時報2021年12月6日号の掲載記事を再構成しました。

 浄土真宗本願寺派総合研究所(丘山願海所長)が主催する「お寺で知る終活講座〜本当にあった事例から知る親子の本音」が8月28日、本山本願寺の聞法会館(京都市下京区)で行われた。20〜70代の約80人がオンラインと対面で参加し、世代を超えて活発に意見を交わした。

 終活の必要性を考える人は多いが、親子では遠慮やすれ違いがあってなかなか話し合えないのが実情。そこで、老若男女が集うお寺に世代の異なる他人同士が集まれば、本音を言い合って世代間の相互理解につながるのではないかと、同研究所が初めて企画した。

 京都府内で高齢者支援に取り組む公益財団法人京都SKYセンターと連携。全5回で、医療・介護従事者や行政書士らの講義後、各回とも受講者同士が意見交換する。

 初日となった28日は、社会福祉法人京都福祉サービス協会が運営する高齢者福祉施設「紫野」(京都市北区)の河本歩美施設長が講師を担当。「介護現場で思う事〜理想と現実 私の葛藤」と題して講義した。

 河本氏は、働くことを通じて施設利用者の社会参加を促す独自の取り組み「sitte(シッテ)プロジェクト」を紹介。「介護が必要になったからといって、何もできなくなったわけではない」と指摘し、「能力を発揮できる環境を整え、生き生きと暮らせる施設をつくりたい」と語った。

 さらに、自身が母を介護した経験から、高齢者本人の意思を尊重することの重要性を強調。「介護が必要になった場合に備え、家族間の話し合いを設けてほしい」と呼び掛けた。

お寺拠点に豊かな人生を

 講義を受けて行われた受講者同士の意見交換会では、20代の受講者が親世代に向け、「親に介護の話を切り出す際に気を付けることは」と質問。「遠慮せず、率直に話を持ち掛けていいのでは」「高齢者世代には、介護について進んで調べようと思わない人も多い。情報を収集し、教えて欲しい」といった助言が寄せられた。

 京都市内に住む亀田正昭さん(78)は「講師の介護経験談が身近な例として心に残った。苦しみや葛藤の中、ハードな仕事をしながらの講演に感動した」と話していた。河本講師は「お寺は、地域の高齢者が安心でき、人生の最期について話し合える身近な場。お寺を拠点に交流が生まれるよう、今後も連携を強めたい」と期待を語った。

 総合研究所はこれまでに、高齢者の孤独死防止に関する研究を行ってきたが、終活をテーマとした取り組みは初めて。司会を務めた担当者は「終活を考えることは、社会的なつながりや豊かな人生にも結び付く。活発な議論ができるよう工夫を重ねたい」と話している。

【サポートのお願い✨】
 いつも記事をお読みいただき、ありがとうございます。

 私たちは宗教専門紙「文化時報」を週2回発行する新聞社です。なるべく多くの方々に記事を読んでもらえるよう、どんどんnoteにアップしていきたいと考えています。

 新聞には「十取材して一書く」という金言があります。いかに良質な情報を多く集められるかで、記事の良しあしが決まる、という意味です。コストがそれなりにかかるのです。

 しかし、「インターネットの記事は無料だ」という風習が根付いた結果、手間暇をかけない質の悪い記事やフェイクニュースがはびこっている、という悲しい実態があります。

 無理のない範囲で結構です。サポートしていただけないでしょうか。いただければいただいた分、良質な記事をお届けいたします。

 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。


サポートをいただければ、より充実した新聞記事をお届けできます。よろしくお願いいたします<m(__)m>