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清浄な水涌く泉涌寺 祈りとアートの融合

 ※文化時報2020年10月17日号の掲載記事です。

 真言宗泉涌寺派総本山泉涌寺(上村貞郎長老、京都市東山区)で10~18日、水をテーマにした作品展「未景2020―手のひらのしずく―いのりとアート」が行われた。絵画や彫刻、華道などさまざまなジャンルの芸術家24人と、泉涌寺の僧侶が作品を出展。売り上げの一部を京都市の新型コロナウイルス感染症対策支援「支え合い基金」に寄付する。

 嵯峨美術大学油画研究室内に事務局を置く未景展実行委員会が主催。命と泉涌寺にゆかりの深い「水」をキーワードに、9月に京都市内のギャラリーで作品展を開催し、今回につなげた。来年春には泉涌寺で再び作品展を行う予定。

 初日の10日は、仏殿で法要を厳修。泉涌寺の協力で、法会に用いる清浄な水が涌き出る「水屋形」を特別に開いた。水屋形は、泉涌寺の名の由来でもある重要な場所で、参加者らは僧侶らと共に何日もかけて中の石を一つ一つ磨き、清掃した。

泉涌寺アート

仏殿で法要を営む泉涌寺の僧侶たち

 法要後にはトークイベントを開催。渡邊恭章教学部長をファシリテーターに、上村長老、日本画の大沼憲昭氏、立体・インスタレーションの菅原布寿史氏が登壇した。上村長老は、作品展の「未景」にちなんで「未来の未であり、決して下が短い『末』にはならないように」と、ユーモアたっぷりにエールを送っていた。

 会場には華道月輪未生流の平林朋宗相談役が「変わるを楽しむ」と銘打った大作を出展。また、参拝者らが自由に散華を描けるようにした。

 来年に向けて実行委員会は「大きな祈りの水脈をたたえるように、水、命、心、人のつながりが祈りとアートで満たされた『いまだ見たことのない景色』を出現させてくれるだろう」としている。

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