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米一升運動 5トン集まる

※文化時報2021年11月15日号の掲載記事です。

 滋賀教区浄土宗青年会は7日、お供えの米をお下がりとして生活困窮者らに配る「近江米(おうみこめ)一升運動」の発送作業に取り組んだ。会員ら約20人が参加し、協力寺院を回って米を集めた後、受け取りやすいように小袋に分けた上で、三つの支援団体に寄託した。教区内の480カ寺に呼び掛けたところ、今年は昨年(4.07トン)を上回る約5トンの米が集まったという。

 近江米一升運動は、滋賀教区甲賀組が2009(平成21)年にプレ開催し、翌10年から滋賀教区浄土宗青年会の主催で行っている。11年の東日本大震災後は、被災地を訪れて被災者に直接届ける取り組みも行ってきた。昨年からは、新型コロナウイルスの影響を受けた生活困窮者の支援団体に寄託している。

 今年は、滋賀県内で活動する「淡海子ども食堂」と「フードバンクびわ湖」、奈良県内に拠点を置く「おてらおやつクラブ」の3団体に送った。

 稲岡和紀会長は「他の教区でも米一升運動を開始する動きがあり、全国への波及を期待している。お寺が地元の子ども食堂に届けて、子どもたちと交流してほしい」と話した。

 今回は、佛教大学宗教教育センターの学生サポーター団体「カルヤーナ・ミトラ」の学生たちも参加した。

 在家出身で浄土宗教師を目指す仏教学科3年の黒宮海大(かいだい)さんは「今を生きる人と向き合うのも仏教の仕事。地域貢献や社会交流が大切」と話し、教員を目指す日本文学科1年の宮澤里菜さんは「誰かの役に立ちたいと思って参加した。将来は、同じ思いを持つ子どもたちを育てたい」と語った。

直接支援に活動拡大

 近江米一升運動は、生活困窮者への直接支援へと活動の幅を広げている。

 お寺版のフードドライブ=用語解説=として、地域コミュニティー形成の一助となっていると考えるのが、提唱者の曽田俊弘・浄福寺住職(滋賀県甲賀市)。2018年にはフードバンクびわ湖を立ち上げた。

 曽田住職は「フードドライブは、フードロスをなくそうとして始まった。食べ物を大切にすることは、命を粗末にしないこと。仏教精神に通じている」と話す。

 近江米一升運動に取り組む毎年秋には、檀信徒から「今年は、いつから集めるのか」との問い合わせが相次ぐほか、自坊に設置したフードボックスには、普段から食材が集まる。

 曽田住職は「教えが背景にあるからこそ、お寺での活動に地域が協力してくれる。多くのお寺が地域のフードドライブの拠点を担い、寄付の文化が広がってほしい」と話している。

【用語解説】フードドライブ
 家庭で余った食品を捨てないで持ち寄り、福祉施設や貧困者らに寄付する活動。発祥とされる米国などでは食品ロスを減らす取り組みとして広まっている。売り物にならない食品を引き取って必要な所に届けるフードバンクや、無料配布するフードパントリーなどを通して行う。

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