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聞法道場に「親なきあと」相談室

※文化時報2022年3月25日号の掲載記事です。

 障害のある子や引きこもりの子が親の世話を受けられなくなる「親なきあと」の問題に対処しようと、真宗大谷派の門徒が建てた聞法道場「安住荘」(大阪市平野区)は11日、「お寺と教会の親なきあと相談室 大阪市あかんのん安住荘支部」を開設した。初日は介護職向けの研修会をオンライン併用で行い、約20人が学びを深めた。

 お寺と教会の親なきあと相談室は、文化時報社が昨年10月に設立。障害者本人と家族の悩み事や困り事に対応できる宗教者を「福祉仏教入門講座」の受講者の中から募っている。これまでに妙行寺鹿児島市支部▽長慶寺越前支部▽津市妙華寺支部▽京都市城興寺支部▽佐野市一向寺支部―が開設された。

 新たに支部となった安住荘は、1974(昭和49)年に建てられた聞法道場。仏教を基軸とした社会福祉活動を展開する「ビハーラ21」が運営に協力しており、大谷派僧侶の三浦紀夫氏が昨年11月、代表理事に就任した。障害者作業所を併設し、「地域共生とグリーフケアの聞法会館」を掲げて、福祉仏教を実践している。

 この日の研修会は、安住荘主催の「地域連携研修会」のキックオフも兼ねており、お寺と教会の親なきあと相談室の理事兼アドバイザー、藤井奈緒氏を講師に招いた。三浦氏は「地域連携研修会は安住荘の公益事業。月1回の聞法会『安住講』と両輪で進めたい」と話している。

藤井氏「傾聴あるのみ」

 藤井奈緒氏は、重度の知的障害のある長女の母親として、さまざまな「親なきあと」の相談に乗り続けている。

 この日の研修会では、障害のある子の将来を親が心配するあまり、「自分が死ぬときはこの子を連れていく」と言ってしまう現実があると指摘。疎外感だらけの子育てを乗り越えても、生活費や住まい、健康管理など多様な問題に直面すると明かした。

安住荘親なきあと・藤井氏

講師を務めた藤井氏

 これらの問題を解決するには、制度(公助)や契約(自助)だけでは不十分であり、「互いに助け合える関係づくり、つまり共助が大事」と訴えた。また、問題解決型とともに必要なのが伴走型支援だとし、「相手に掛ける魔法の言葉はない。傾聴あるのみ」と述べた。

 参加した介護職からは「自分が問題解決型支援を行っているので、伴走してくれる人がいると心強い」「寄り添う支援を心掛けたいと思った」といった感想が聞かれた。

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