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【能登半島地震】熊本地震の後悔胸に 被災者に仏壇無償提供

※文化時報2024年5月14日号の掲載記事です。

 能登半島地震の被災者を支援しようと、輪島漆器仏壇店(熊本市西区)の永田幸喜社長(61)が、心の支えを失った人々に小型仏壇の無償提供を行っている。輪島塗の行商にルーツがあり、石川県能登地方とは縁が深いことから、これまでに17基の仏壇を被災者に贈った。永田社長は「店があるのは輪島のおかげ。恩返しの気持ちを届けたい」と話している。(佐々木雄嵩)

 能登半島地震の発生翌日の1月2日、永田社長は店先に募金箱を設置するとともに、小型仏壇の無償提供に向けて動き出した。

無償提供される小型仏壇を手にする永田社長

 きっかけは2016(平成28)年の熊本地震。被災した店舗の対応に追われ、地元の被災者への支援ができずに、後悔の念が残った。その後もさまざまな災害が起きるたび、被災者の心の支えとなる宗教や仏壇の必要性を強く感じてきた。

 20年の熊本豪雨では、クラウドファンディング(CF)を活用。集まった資金に私費を足して小型仏壇を作製し、仏壇が洪水で流されたり、泥にまみれたりした被災者に約400基を贈った。永田社長は「『人の情けに泣きました』と喜んでくれる姿に、こちらも勇気がもらえた」と振り返る。

 輪島との縁は、50年以上前に父の孝さんと母のハルヨさん(86)が輪島市で仕入れた漆器を熊本県内で販売したことから結ばれた。その後「仏壇を扱ってほしい」との要望を受け、35年ほど前に輪島漆器仏壇店を開業。02年に他界した孝さんは「輪島漆器が好きだから」と「永田仏壇店」ではなく今の社名にしたという。

 次の現地訪問は5月27日から1週間ほどで、新たに18基を届ける予定。今回は「もう一度輪島を見たい」と望むハルヨさんも同行する。永田社長は「これからも無償提供を続けていく。被災者の方々が仏壇に手を合わせ、ご先祖さまから後押しをいただくお手伝いができれば」と話している。

 輪島漆器仏壇店はホームページ(https://wajima-100.info/)で小型仏壇の無償提供の資金援助を募っている。電話による問い合わせは24時間対応(096―329―0224)。

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