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【能登半島地震】人手不足で復興遠く 大谷派、宿泊受け入れ

※文化時報2024年5月10日号の掲載記事です。

 能登半島地震は1日で発生から4カ月を迎えた。奥能登では復興が進んでいないという声が根強く、僧侶らによる被災寺院での清掃活動や炊き出しなどが行われているものの、人手は十分とはいえない。そんな中、ボランティアの受け入れ体制を整えようとする動きが、教団や有志から出ている。(高田京介)

 伝統教団として最も大きい856カ寺で被害を受けた真宗大谷派は、1月2日に金沢教務所(金沢市)に現地災害救援本部を設置し、2月1日に能登教務所(石川県七尾市)へ移してボランティア支援センターを開設した。2月中旬からは、能登教務所内の済美精舎を宿泊場所として開放している。


真宗大谷派のボランティア支援センターが宿泊場所として開放している済美精舎=石川県七尾市

 済美精舎は元々、報恩講などで団体参拝や出仕者を受け入れるための施設として用いられてきた。定員5人の10畳4部屋と、定員12人の12畳半1部屋の計32人が宿泊できる。

 七尾市の市街地はすでに断水が解消されているため、本堂のシャワーを使用できる。全国各教区の僧侶らや、浄土真宗本願寺派など他宗派の有志も利用している。

 ただ、能登教区有志らでつくるボランティア委員会の委員長を務める福田正充・正覺寺(七尾市)住職は、「被災寺院や門徒宅の後片付けを行っているが、奥能登方面は全く復興が進んでいない。ボランティアの数が少なく、能登教務所に宿泊できることをはじめ、被災地の現状をもっと多くの方に知ってもらいたい」と話す。

 宿泊の申し込みは、ボランティア支援センターのホームページから。宗派関係者だと1回のボランティアで最大5万円を助成する制度もある。申請書に食材など支援物資や消耗品の領収書を添付すれば、宗派が実費を負担するという。

能登町にも有志が拠点

 奥能登にも宗派有志が拠点を構えた。能登教区の寺院出身の長田浩昭・法傳寺(兵庫県丹波篠山市)住職が、石川県能登町中斉地区の斉和多目的集会所に「真宗大谷派奥能登ボランティアセンター」を設置した。珠洲市や輪島市、能登町の市街地まで車で約30分圏内に立地している。

宗派有志が設置した奥能登ボランティアセンター=石川県能登町

 2月7日から稼働し、3月15日時点で140人超が利用した。炊事場と20人ほどが雑魚寝できる広間があり、仕切りもある。「災害支援北陸門徒ネット」の呼び掛け人らもスタッフとして参画している。

 3月1日には水道が復旧し、シャワーブースも完備された。地元のケーブルテレビを視聴でき、14日からはWi-Fiも通っている。また、車で約10分圏内にスーパーがある。

 長田住職は「復旧作業に当たるボランティアは一般的に金沢に宿泊することが多いが、活動時間は3時間ほどにとどまっている。拠点の確保がネック」と話す。

 真宗大谷派奥能登ボランティアセンターのスタッフとして参画する岩垣秀一さんは、道忍寺(珠洲市)の住職でもある。地震で本堂は大規模半壊。門徒が1軒もなく、これまで法要への出仕などで生計を立てていたという。

3月22日には大谷暢裕門首夫妻が奥能登ボランティアセンターを視察した

 「長田住職とは旧知の仲で、二つ返事で引き受けた。法務は全く行えていないが、復旧に力を入れたい。活動するボランティアもセンターのスタッフも足りていない状況だ」と話した。

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