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【能登半島地震】犠牲者の初盆で追悼会 大本山總持寺祖院

※文化時報2024年8月2日号の掲載記事です。

 曹洞宗大本山總持寺祖院(石川県輪島市門前町)で7月20日、能登半島地震の犠牲者を弔い、早期復興を祈願する追悼会が営まれた。物故者の初盆に合わせて行われ、本格的な法会は地震発生以降初めて。門前の商店でつくる総持寺通り協同組合が露店を出し、子どもたちが太鼓の演奏を披露した。(大橋学修)

 法会は、曹洞宗石川県宗務所(屋敷智乗所長)が主催し、7月盆(新盆)と8月盆(旧盆)の中間となるこの時期を選んだ。地震の影響で堂内には入れないため、軽微な被害にとどまった山門下で営んだ。

山門で営んだ能登半島地震犠牲者追悼会=7月20日、總持寺祖院

 梅花流詠讃歌=用語解説=の師範による御詠歌奉納の後、導師の屋敷所長と各教区から出仕した僧侶約30人が、被災地の早期復興と物故者の成道を願う法要を営んだ。参拝者約40人が焼香し、門前町の菊池敬子さん(55)は「家の倒壊で亡くなられた方を思って参拝させてもらった」と話した。

 總持寺祖院の高島弘成副監院は「住民たちは手を合わせるという当たり前のこともできなかった。供養することで、一歩進んでいると思ってもらいたい」と語った。

神社例祭の太鼓演奏奉納

 法要前には、櫛比(くしひ)神社の夏季例祭「ごうらい祭り」で行う櫛比太鼓が奉納され、12人の子どもたちが交代で太鼓をたたいた。例祭は地震のため中止されており、總持寺祖院の呼び掛けで演奏の機会が設けられた。

 門前で衣料品店を営む下口十吾さん(47)は「祭りがなくなったので、子どもらの交流会だけでも開こうと考えていた。気持ちの落ち込んだ部分が晴れれば」とほっとした表情だった。

法要前に子どもたちが櫛比太鼓を奉納した

 屋敷所長は「2007(平成19)年の地震から2度目の試練を与えられた。地元の私たちにできることは数少ないが、皆さんに前を向いて歩いてほしい。能登の人はそれができると信じている」と力を込めた。

【用語解説】梅花流詠讃歌(ばいかりゅうえいさんか=曹洞宗)
 釈尊や曹洞宗の両祖(道元禅師・瑩山(けいざん)禅師)らをたたえる仏教賛歌。梅花流は、真言宗智山派の密厳流をモデルに1952(昭和27)年に設立された。信仰活動の集まりとしての梅花講は約6200あり、講員は約12万人。

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