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【能登半島地震半年】臨済宗妙心寺派の僧侶も奉仕 曹洞宗總持寺祖院

※文化時報2024年7月9日号の掲載記事です。

 臨済宗妙心寺派の宗門校、花園大学の1、2年生約20人が集団生活を送る花園禅塾(桐野祥陽塾頭、京都市右京区)は6月28~30日、曹洞宗大本山總持寺祖院(石川県輪島市門前町)を訪れた。祖院周辺の山道や境内内部など、能登半島地震の爪痕が生々しい現場で、学生たちがボランティア活動を行った。(高田京介)

 今回の訪問は、4月21日に大本山總持寺(横浜市鶴見区)で円成した太祖・瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師700回大遠忌の本法要に参列した、妙心寺派の野口善敬宗務総長からの紹介がきっかけとなった。その後、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)や全国曹洞宗青年会(全曹青)が仲介して実現した。

 6月29日朝は、輪島市立門前中学校前で集合。脇道にある瑩山禅師と峨山韶碩(がさんじょうせき)禅師の両尊坐禅石までの道を整備した。

 両尊坐禅石は、門前中学が立つ和田山の山頂にあり、両禅師が坐禅した石と伝わる。地元住民から尊崇の念を集めてきたが、近年は整備に手が回らず、元日の地震で石碑が倒壊した。

 禅塾の塾生と卒塾生、指導員らは、SVAの茅野(ちの)俊幸副会長、全曹青直前会長の山田俊哉顧問と髙栁龍哉副会長、地元の門前町郷土史研究会の会員らと共に、参道を遮る倒木の撤去や草刈りに当たった。

倒れた石碑を協力して立ち上げる花園禅塾の塾生と全曹青の会員たち

 山頂では、全曹青の会員と禅塾の学生が5人がかりで力を合わせ、倒れた石碑をロープで立ち上げた。同研究会の谷内加映会長は「門前の住民全員が喜ぶと思う。歴史的瞬間だった」と話した。髙栁副会長は元日の地震発生以降、能登と自坊がある秋田を約2週間おきに往復し、復旧支援に取り組んできた。「宗門を超えて作業に当たることができた」と喜んでいた。

 午後には、真言律宗時代の名残として境内にある観音霊場の復旧作業に当たった。翌30日は大雨に見舞われたが、高島弘成副監院から祖院の歴史などの説明を受けた。

復旧支援活動に意欲

 花園禅塾は、2011(平成23)年の東日本大震災や18年の西日本豪雨の被災地などで年1回、ボランティア活動に取り組んできた。能登半島地震の被災地には臨済宗の寺院が少ないが、今年は總持寺祖院での活動を決めた。6月下旬に事前視察に訪れ、指導員と学生ら数人で炊き出しも行った。

 事前視察にも参加した花園大学2年の藤方真寛さん(20)は「少しでも地元の人の役に立ちたいという思いで来た」と話し、1年の野村圭太さん(19)は「自分の地元も山が多く、それほど大変な作業ではなかった」と頼もしい表情を浮かべていた。

 桐野塾頭は「塾生にも何か感じ取ってもらえれば。出動要請があれば、今後も活動したい」と語った。

臨済宗妙心寺派と曹洞宗の僧侶が石碑前で諷経した=石川県輪島市の和田山

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