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掛川花鳥園スタッフのゆるゆる自由研究 【鳥の超接写は不思議な世界】

Author:掛川花鳥園飼育スタッフ

花と鳥とのふれあいが楽しめるテーマパーク、掛川花鳥園のスタッフによる、園内の鳥たちのディープな情報や楽しい実験をスタッフブログから集めたよりぬき連載!
第2回は鳥の超接写の世界をご案内します!

マクロレンズで撮ってみる

超接写を可能にするマクロレンズ。これで撮影するなら、どんなものがいいと思いますか? 虫? 花? 水滴や鉱物なんかもいいかもしれません。でも、掛川花鳥園の被写体はやっぱり鳥です! 早速、このレンズを使ってルリコンゴウインコの羽を撮ってみましょう。

「ピース!」
ルリコンゴウインコの羽の裏

ふわふわしたイメージのある羽毛ですが、拡大するこんな構造になっています。細い羽1本1本がマジックテープのように互いにくっついて、1枚の羽になっているのです。飛び出た1本をよく見ると、毛羽立っているのが分かります。

次の被写体はユーラシアワシミミズクの「ひまり」。

かわいい

広い視野が必要な草食動物は顔の横、獲物を注視する肉食の動物は顔の前に眼がついていることが多いですが、猛禽類であるフクロウも顔の前側に眼がついています。
フクロウの眼は正面から見ると立体感がなく見えてしまうのですが……そんなときは、横から超接写!

透き通ったきれいな眼

こうすると、透明な角膜がきれいなドームを描いていて、立体なのがよくわかります。

クイズ!この鳥誰だ?

超接写のおもしろさがわかったところでクイズです。接写画像から一体何を撮ったのか、予想してみてください。

ヒント! 鳥だけに限りません。鳥に関するものも混じっています。

(問1)

ごつごつした溝

(問2)

小さな穴があいている

(問3)

お米のような粒が並んでいる

答えはスクロールの先
















答え


(問1)ケープペンギンのくちばし!

ケープペンギンのくちばしは年を経るとごつごつが大きくなっていきます。触るとけっこう硬く、ごつごつ部分は痛いくらいです。先端部分は艶やかです。
くちばしは前に伸びると同時に、分厚くなっていきますが、エネルギー代謝や循環に問題があと、外側のくちばしが自然に剥がれ落ちずに残ってしまい、いびつに肥大化してしまうことがあります。

(問2)エミューの卵!

小さな穴は気孔といって、卵の中と外でガス交換(呼吸)するためにあります。肉眼では見えないほど小さい穴のうえ、中に薄い膜があるので、中身が溢れるようなことはありません。これは鶏の卵も同じです。
エミューは南半球では5~10月、北半球では冬季である9~4月に産卵します。なので、日本で採取できるのは冬だけ!
採取した殻はワークショップでの使用や卵の実物展示、イベントでの販売、エッグアートをする方からの購入依頼などに対応するため、大量にストックしてあります!
エミューは毎年20個以上卵を産むため、採れたそばから孵化させると牧場がパンクしてしまうので、繁殖に制限をかけています。

(問3)モリフクロウの足!

アップの画像だと大きな粒に見えますが、実際はかなり細かいつぶつぶで、ざらざらぷにぷにした感触です。
多くの鳥の足には、前に3本、後ろに1本指がついていますが、フクロウの足は前と後ろに2本ずつ指がついています。その上、後ろの一本の可動範囲は広く、器用な動きができます。これは物をつかんだり、木の幹に掴まるのに特化した構造で、フクロウのほかにキツツキやオウムも同じ構造をしています。

一度楽しさに気がつくともうマクロレンズなしではいられません。
超接写の世界、機会があればぜひ撮影にチャレンジしてみてください。

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掛川花鳥園

掛川花鳥園は「花と鳥とのふれあい」が楽しめるテーマパークです。
広大な敷地の中に大温室やスイレンプール、池や牧場などを備えています。
冷暖房完備のガラスハウスは、夏涼しく冬は暖かく、全天候型なので雨の日でも安心。一年中快適な空間で花や鳥とのふれあいをお楽しみいただけます。

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