見出し画像

ある灘高生の筑波大学2024医学部一般入試 〜試験中の葛藤を実況〜

・合否発表前に書く理由

    この受験体験記は2024年度国立前期日程の2/25.26の翌日である2/27から3/2までを掛けて書いています。武中の人物像を説明するはずの記事をまだ書ききれていませんが、合否が出る前に書くことに価値があると思い、一足先に公開します。
     記憶というものは美化されていきます。受かれば「受験なんてちゃんと頑張ったら受かる。」そんな方に書く人も多いでしょう。不合格であれば1つ1つのミスに対する姿勢や性格について自分のダメな点を挙げる人も多いと思います。しかしそれは結果というバイアスにより大きく左右された思考であり、あまり好みではありません。結果を出す前に何をしていたか。それを記憶の美化に遮られること無く綴りたいなと思っています。いかに入試というものが怖いのか、どのようなことを考えて試験に臨んでいたのか。私自身、noteで同じく”受験体験記”を書いていたある方の記事を見て、共感を基とした励ましを頂いていました。誰かの助けとなること、そして自分の思考を整理すること、が出来ればと思っています。

・筑波大学医学類を受ける際の心構え

初めに。筑波大学医学類は医学部専用といった問題が無く、全学部共通であり、解く問題は標準的であるが故にとてつもない高得点勝負です。はっきりとした捨て問が存在しないため、東大や京大とはまた違う、難しさがあります。ミスが本当に許されません。また、”筑波模試”が無いために、周囲の受験生と自分の立ち位置の把握や、緊張度の高い模試の経験が詰めないという難しさもあります。センター900点(R:L=4:1)、2次900点(100点を3倍に換算した300点ずつ/英語・数学・理科2科目)、そして適性試験500点(SCTテスト300点・面接200点)の計2300点満点で、合格者最低は例年通りであれば1800前後といった感じです。適性試験の平均点が350点と言われていますので、それを除くとなんと2次試験の最低ラインが80%を超えないと行けないのです。750/900が目安となるとでしょう。本当に恐ろしいです。数学を1つ大問落としすると25点×3=75点が吹き飛びますので、それだけで落ちます。
  武中は共通テストが780/900でしたが、英語のRでずっこけて、傾斜配点では760(84%)となり、リサーチは河合がD、駿台がEという状態で臨みました。

・武中の受験校

   私は筑波大学医学類の受験者の中で唯一と言ってはないでしょうか、私立も受けず、前期一本で受けに行っております。10月末に防衛医大は受験させてもらい、筆記の一次合格は頂きましたが、身体検査や面接などの2次試験は受けていません。そのため正式な合格扱いではありません。そしてずっと目指していた11月末の筑波大学医学類の学校推薦型の推薦入試で落ちてしまっています。筑波大学医学類の公募型推薦入試一般枠(地域枠は一浪可)は現役生のみが受けることができ、数英理科の完全な筆記試験で、共テ前の12/13に合格発表があります。そして定員が44人であり、一般前期も44人であります。浪人生もいないため、ものすごくお得な試験です。その試験に落ちてしまいました。ということでこの一般入試で再び落ちれば浪人。落ちても行く所は無いし、そもそも筑波以外目に見えていないです。まさに背水の陣で2/25を迎えました。なぜ筑波大学医学類にこだわるのかは以下の記事に書いておりますのでご覧下さい。

【試験日程と内容】

  • 足切り
     筑波大学の一般枠は国公立医学部の中で日本一厳しいです。定員44人に対して2.5倍とであり、2024年度は165人(3.6)が出願し、なんと50名が足切りを食らっています。前年が2.3倍で足切りが行われなかったことによる反動でしょうか、少し出願者数が多い年となりました。合格者平均は86〜88%というデータが例年出ています。

  • 試験日程
       1日目が英語・数学・理科の順番でいずれも120分で行われます。10:00〜英語開始で理科は18:00を過ぎてやりますのでかなり集中力が削ぎ落とされます。
       2日目に適性試験①という名の筆記形式のSCTテスト(文章完成法テスト)、適正試験②という名で、2回面接があります。1回目は15分間で、志望理由や力を入れてきたことなど、一般的な質問をされます。そして2回目が最も重要であるMMI形式による15分間の面接です。点数開示で本当に60点差ほどグラデーションで差をつけられるので、きちんと練習して臨まないと行けません。とは言いつつ、点数はよほどの人格異常じゃない限り、下側に付けられることはなく、良くてもMAXで平均+10〜20くらいが妥当と思われます。しかし、繰り返しですが、筑波大学の面接は点数化という特殊なものであるため、準備をしてください。
     面接は名簿順に、10:00から昼休憩を挟み、18:00までみっちりと時間をかけて行われます。名簿が後の方はゆっくりと練習ができます。早く終わってしまいたい気持ちはありますが、点数を付けられるので最後までやり切りましょう。

  • 英語
     120分で注釈付の中文(長いとは言えない)2題、ごく平易な整序問題、そしてある文章を読ませた上での80〜100wordsの自由英作という、時間には全く追われず、そして決して難しくは無い内容の試験です。しかし、だからこそ怖いのです。特に記号問題や整序問題はall or nothingなのでここで落とすと致命的です。
     筑波大学の英語の記述は下線部和訳は無く、全て説明問題であります。とは言いつつ、該当部分をまとめたりそのまま該当部分を引っ張ってきて和訳すると言った問題がほとんど。しかし、字数制限がとにかく厳しい。要素を全て入れようとすると、国語の能力が必要になってきます。
    例えば「〜するのが難しい」を「〜し難い」と言った意味を落とさないように字数を省く練習が必要になります。

  • 数学
     あらゆる大学、文系理系に関わらず合否を左右する科目であります。そして筑波大学の数学は日本唯一と言って良いのではないでしょうか、ⅠA・ⅡBの3問中2問を、数Ⅲの3問中2問を計4題を選択解答するという、上手く問題を選べたかどうかで点数が取れるかどうかに関わってきます。また、解答用紙が4枚しか用意されていないため、3問ともを途中までの部分点を取りに行くといった戦略が許されないのです。途中で答えに辿り着かず、別の問題に変えたい場合、解答を消さなければならず、あっち行ってこっち行ってを繰り返す内に時間がどんどん時間が消費されます。そのため、120分のうち初めの15分ぐらいは方針を定め、選択する問題を選ぶ時間が必要となります。が、ここで方針が思いつかない場合、とてつもない不安を抱えたまま問題に取り掛かることになります。逆に、全ての問題を値まで出そうとすると、3問とも解くのは無駄になりますから、方針の見通しの立ちやすさの観点でどこかで見切りを付けて選択をするのです。初めから捨て問がある東大の方がよっぽど気持ちが楽だろうなと思っています。もちろん東大でも落としては行けない問題を落としたら落ちるのは同じですが。
      さて、難易度ですが、医学類の場合、文系も共通のため1A・2Bは絶対に落とせない問題であります。しかし、値がややこしくなることも多く、ミスなく完答仕切るのは本番においては簡単とは決して言えないのです。難易度はA〜Bです。
      また、数Ⅲは数学的面白みのない無味乾燥とした汚い関数や求値問題も多く、こちらは余計に不安になります。難易度は決して簡単ではなく、A問題は見る事があまりないです。B問題、そして⑶以降にC問題が紛れている年もあります。
      一方で、ほとんどの問題が⑶までの小問に別れており、誘導も丁寧ではあるのでそれに乗っかれば方針が立たないことはあまりないですが、やはり難易度に関わらずミスなく合わせきるというのは難しいです。

  • 理科
     こちらに関しては時間配分が命になってきます。どちらも8割は切っては行けませんが、雪崩が起きやすい物理、そして化学は構造決定を時間に余裕がある状態で先にやることが肝心となります。
     物理は力学、電磁気は確定で出題され、第3問はその他の分野が出ます。考え方を記入する問題が数問あります。難易度は標準的な問題が多いですが、向きや符号を頻繁に聞かれますので、向きを含まない曖昧な公式暗記だと雪崩が起きる可能性が高いです。また1問20分であるため、ひとつ引っ掛ってしまうとほかの問題に大きく影響を与えかねません。潔く捨てることも必要です。
     化学は重要問題集をそつなくこなせるのであれば怖いものはありません。時間をかければ満点も取れる内容です。しかし、切迫感と理論の値を求める問題の量が多いので、そこを如何に捨て、他でミスなく答えるかが肝になります。ただし、構造決定は絶対に捨ててはいけないです。


・1日目

   睡眠のコンディションは最高である。推薦入試の時はストップウォッチがなったり朝に他人の玄関の開け閉めで目覚めたりと、最悪のコンディションであった。今回は前より睡眠薬も強いし、なんせ少し心に余裕があった。どんな問題でもこい、そんな気持ちがあった。22:30にベッドに入り23:00には就寝しただろう。8:00に起き、ホテルの医学棟までの送迎バスに乗る。


【英語】

筑波大学医学類の推薦入試の英語に本気で取り掛かった私にとってはかなり上から見下ろせる問題レベルでありますので、アドバンテージを取らないと行けない科目であります。しかし、合格者平均は85前後であり、どれだけ上手くいっても差はつけにくい科目であります。次に控える命綱の数学に備え、しっかりと見直しを含めた上での解答を書き切ろうという気持ちで臨みました。直前までボロボロに使い古した鉄壁で最終確認、1ヶ月みっちり取り組んだ自分で書いた自由英作をもう一度読み直し、記憶をすくい上げる。試験監督入場で、問題が配られる。推薦入試と違ってしっかりと中綴じの冊子であり、推薦の左上ホッチキス止めというクソさでは無いことに一安心。試験監督の”試験開始”の声が小さく、やや張合いの無いスタートに。

いつも通り初めに整序問題に取り掛かる。3問目に、large, volumes, of, contentという文字が並んでおり、aがない、contentに通例のsが無いとややパニックに。しかし文法的にはこの並びしか有り得ないと5分ほどで整序問題3問を済ませて自由英作へ。
自由英作は論理に拘ってやってきたので本番は問題の指示に従い、上手く見せようとせずにとにかくgrammaticalな減点を避ける、そういった心持ちで行く。少し長めの参考文章でしたが、実は論文の引用のタイトルを見れば1番要旨を掴みやすい(長文でも先に引用記事の出版年、タイトルを見るようにしています)。2024年は初めて英文でのお題が出されましたが、「上記の議論を踏まえ、睡眠の質と量があなたの他者への気遣いや寛容さにどのように影響を与えていますか、あなた自身の経験を述べて80字程度で答えなさい」という内容で、参考文章も睡眠時間が短いとエレベーターで先に自分が降りてしまう人の割合が増えるたいった具体例が挙げられていました。普段から100字で練習していたため、80となるとやや少ない、もうこれは俺の経験を述べるだけで一般論は不要だろうという判断に。普段から、睡眠不足に繋がるという健康面に悪いという論拠をパターンとして持っていたので、お、これはあの書いてきたフレーズをそのまま使えるなと思う。そのせいか、何故か頭が先走ってしまい何度もやってきた10分を掛けての日本語の下書きという自分の原則が守れず、英語で下書きをしてしまっている。もう英語で書いた方が早い、そんな風に思ってしまった。英語を書き始めるときには時計は15分を過ぎている。あぁ、これが本番の自由英作か。推薦入試に英作が無かったためそのように思った。書いた内容は以下。soccerの綴りが分からなくなったのは自分でも笑えた。

 I believe that lack of sleep and poor sleep quality negatively affect my helpfulness and generosity.

   When I surf the Internet before going to bed, I cannot get a sound sleep due to the blue light emitted from the screen of my cellphone.

    I play football, and I have to care about my teammates as a captain. However, when my body condition is bad, feeling stress about myself, I often express severe comments about their movements and mistakes.    

入試で書いた英作分そのまま

そもそも武中は睡眠への拘りが強く、睡眠不足に落ちないよう寝る前にスマホなど見ないのだが、別に嘘でまったく構わない。慎重に書いたためか、書き終われば時間は32分。字数が短く、睡眠不足になる理由は不要で、もっと自分の経験を書くべきだったかと思ったが、今更書き直してる余裕は無い。字は比較的綺麗に書けている。まぁ内容もしっかり指示に従っているし、答えることとも外れてない。spellingミス、単複や大文字、冠詞も抜かしていないという見直しを8分し、時計の40の文字を見たところで長文へ移る。驚く人もいるだろうが、この時間感覚でも十分に間に合うのだ。

さて、長文は片方は3ページに及び、片方は2ページに収まっている。説明問題は①が3個のみで、記号問題が4つ、②の方が説明問題は5個であり、記号は3つであったが②は内容がやや医学よりであり、字数も少なかったので、推薦入試のために医学論文を勉強しまくったお陰か、タイトルをさらっと見たただけで内容は掴んだ。これで精神的に余裕を持って①に取り掛かれる。テーマは生物学論。ヒト属の進化となぜ会話をする種としなかった種に別れたのか。注釈が丁寧なため、文章は比較的頭に入ってきやすかった。問題に取り掛かるが、2つ目の説明問題で何回書いてもあと3文字足りない、どう日本語を変えるか、そして句読点を最後に詰めて書いて良いのか、いや句読点も1字と書いてあるからだめか、どうしようと何度も書き直した。本当に7回くらい書き直した。他の説明問題も同様に例年よりもやや厳しめだなと。もしかして該当箇所が違うのか?それだけは避けたい。不安になる。お陰様で文章の内容を掴むのには時間はかからないが日本語の推敲に20分は費やしただろう。それ故か、本来1番気を使うべき記号問題を共テの感覚でスパッと選んで見直すことなく、85分の時計を見て次の大問②に移る。テーマはfearとanxietyの違いと、anxietyは脳のPFCという前頭前野が過去の経験の情報が少ない時に起こるという内容。こちらはスムーズに日本語記述も進んだ。しかし、最後の語句を埋める記号問題で2択で決め難く、時間を費やしてしまう。結局は1番合理性のあるものにしたが、ここで時間を使ったが故に大問①の記号問題を見直すことなく試験終了。
あぁ、なんであの日本語に拘ったんだろう。俺って記号問題が命なんだよか、それなのに。間違ってたらどうしよう。不安の残るスタートダッシュとなる。が、最低ラインの85点の手応えは流石にある。

【数学】

上記で述べましたが、数学が入試の全てなんだと言っても過言では無いです。状況設定を読み間違える、(1)の値を用いるのにそれ自体が間違っている。1問でもこの”大問落とし”をすれば落ちる。自信満々で迎えた推薦入試で35点を叩き出した武中の数学への恐怖との葛藤についての詳細は以下の記事でご覧ください。(未掲載)

英語で頭がヒートアップしていたため、試験会場を出て、頭を冷やしつつダイナミックに体を動かす。自分に暗示をかけ、もう一度口に出してシミュレーションを自己暗示する。俺なら行ける。欲を出すな。⑴だぞ。そう言い聞かして再び試験会場に戻り、大福と羊羹を食べ、赤本を開き、もう一度難易度判定のシミュレーションをする。最後にiPadでまとめノートを見て、迎える。

 推薦入試で犯した、ストップウォッチの押し忘れがないように、細い声の試験監督にしっかり耳を傾け、試験開始。ストップウォッチを押して、問題を見る。
  ①ベクトル、角の二等分線とそこへの垂線。そして面積。これはA問題だな。②対数の不等式。底のx,yの1との大小で場合分けかと思いきやどちらも1以上。場合分け不要だろうから⑵までは落とせない、A問題。⑶は面積求値で少しややこしそう。③3次関数の接線ともう1つの交点。文字式が多く、⑵はf’(x)f’(a)の最小値という見慣れない形。⑵以降をB難度と判定して①、②を解くべきだろうなと直感。いずれも⑵まで図を書いて方針を立ててみるが、③はすぐには思い付かない。そして過去問で初っ端なの接戦の方程式を間違えて大問落としを2回経験しているので、手を出さない方が良いだろう。ここで問題を①、②に確定。時計は5分を経過。
  問題の数Ⅲゾーン。④媒介変数表示の典型問題。落とせない問題と直感。しかし⑴で定積分を求め、それを⑶の面積求値で使うのだろう。推薦入試の定積分を間違えたトラウマが蘇る。怖い。A問題と認識。⑤なんともすごい、4項にも及ぶ複雑な多項式三角関数関数f(x)が与えられている。そして文字a.bが入っている。⑴は極大値を持つ条件。そしてa.bの値も指示してくれている。微分すれば関数が綺麗に消えるのだろうと思ったが、その微分をする勇気がない。4項もの多項式三角関数を微分すればどこかでミスが起こる。そして⑵までしかない。どちらも求値であり、上手く消えないと沼にハマりそうである。⑥複素数は難・易が繰り返しており、今年は難の年。やや構え気味で見たが、過去問で見た事のない程の抽象度。そして例年の複素平面への図示が無く、純虚数に関する不等式証明。筑波らしくない。手を出し難いが⑵までは証明なのでもし出来れば確実。複素数を軽く手を動かしてみるが、⑵の先が見えない。うーん、①、②、④を終わらしてから考えよう。時計は10を指していた。いつもより早く答案記述に取り掛かる。しかし数Ⅲのもう1問を決めていない為、不安を抱えながら落としては行けない①,②へ。
  ①   一応答えるものはベクトルを用いて表わせだが初等幾何で進めていきたい。⑴は角の二等分線の比を用いるだけ。2分で終了。しかしもう一度妥当性があるか確認。間違っては無いと確認し⑵へ。方針で詰まる。ベクトルで処理するのも良いが、垂直条件の処理でパラメータsの二次式になることが早々に見え、ミスをする怖さがある。しかし初等幾何での解法が思い付かない。んー、悩んでる時間はあまりない、あまり慣れていないがベクトルの内積で垂直条件の処理をしよう。手が震え出している。絶対に落とせない。時計は0:15。共線条件でパラメータの設定、垂直条件を連立する。ここでaベクトルと、bベクトルの内積が必要であることに気づく。そのためには余弦定理で使ってなす角を出さないといけない。怖い。どこかでミスをしそうだ。なす角が概算で間違ってないことを確信し、いよいよパラメータの二次式の処理へ移る。1つ1つが文字を含む掛け算であるため、掛け忘れがないように確認しつつ、式変形を行っていく。208s^2といった値が出てくる。恐怖でしかない。しかし最後には綺麗に消え、s=3/2という図形的にも妥当性の高い値が出てきた。しかし時計を見ると0:30。自分ではいつも通りのスピードでやっていたつもりだが思ったより慎重にやっているようだ。少し時間感覚が練習とは違うことに再び不安を覚える。そしたパラメータsを元の式に代入して、求めるベクトルを答えて終了。⑶は⑵が済んでいればすぐに初等幾何的に面積比を用いて出せる。5分で済ませた。合っていることを祈って次の②へと移る。時計は0:35を示す。
  ② ⑴は相加・相乗平均を利用した不等式証明。定石通り底を定数にしてとり、新たにX,Yと置き、その範囲が0より大きいことを指定することで相加・相乗平均の関係を用いる。底は2を用いた。等号成立も書き忘れず、減点がない確信を得て⑵へ。時計は0:42を指す。logxY+logyX<5/2を取る範囲の図示。典型問題。しかし⑴で底を2で取っており、その文字をそのまま使おうとしたが逆に式が複雑になることに気付く。やや時間のロスをしている。一方が片方の逆数であることを用いてtと表わす。そして出てくるふtの範囲を底のx>1より不等号が変わらないことを述べ、図示。おそらく間違っていないだろう。時計は0:55。1A・2Bは60分で通過したいので焦る。⑶さらにx^2+y^2<12によって囲まれる面積。これは簡単に求まるのか?図示し、共有点を求めてみるが、如何せんどの部分を足し引きしたら綺麗に求められるのだろうか。数Ⅲでは√(12-x^2)の一部分はsinθ置換すれば出せるが(扇形の縦棒)、予め1A・2Bで数Ⅲを使うような分数関数の微分などが出れば、必ず自分が出している図形や関数が間違っているという経験則があったので、求めている交点の座標、いやそもそもの⑵を疑った。しかし今更解き直すのは遅い。何とかこの扇形の縦棒を数Ⅲを使わずに処理できないか。サンクコスト状態。フリーズしている自分を自覚したのは時計が1:07を指していた時。しかもその時に、ちょうど額から汗がポトッと1滴落ち、尋常でない汗を書いているのに気が付いた。推薦入試の時よりもはるかに汗の量がすごい。この試験1度目のパニック状態。冷静になろう。天井を見上げ、フッと息を吐き、落ち着き、この問題は捨てると決めた。ここで粘ればまた同じ過ちを繰り返す。推薦入試を含めて採点を何枚もしてもらった先生の顔がよぎる。俺が落ちて学んだのはここで捨てる勇気だと。
  ④時計は1:08。数Ⅲゾーンの落とせない媒介変数表示の問題に取り掛かる。⑴は⑶の面積を出す時に使うであろう定積分を丁寧に求めさせてくれてるいるが逆にこれが怖いのだ。⑴を間違えば⑶は自動的に間違う。再び手が震える。今から出す値が自分の合否を決める。∫tsinπtdtの積分。原子関数をいつもの通り出す。ここで微分し直すのだ。前はここで微分し直さなかった。いや、できなかった。今は知っている。微分し直し、元に戻ることを確認するが、その微分自体に先入観が入っている気がする。もう自分が信じられなくなっているんだ。そして出した答えは1/π。気持ち悪い。どんな値が出でもそう思うだろうが、気持ち悪い。吐きそうである。時計は1:15を指す。⑵はx=aとの共有点の個数。yでは無いのが不思議だが、グラフの概形を書けという指示であると脳内変換。そしてもう一度y=aでない事を確認し、X(t),Y(t)を微分する。点(x,y)の動く表を書く。ここで気をつけるのは0となる値だ。2度確認。間違ってない。信じて表を書く。ここでもまた関門がある。座標を求める時にtの値を導関数の方に代入してしまいがちなのだ。しっかり元の関数の方に代入し、何度も見た事のあるグラフの概形であることに一安心。そして答えるべきものを答えて⑶へ。dx方向と-dx方向を足すと区間がちょうど綺麗に揃うという典型の話。記述もしっかり書き、いざ面積求値。やはり⑴の定積分が出てきた。これともう1つの項を足せば良い。微分し直して、あっていることを確認し、いざ区間の値を代入していく。緊張が走る。そして出た答えは1/π。本当に吐きそうになる。やばい落ちるかもしれない。巡り巡ってなぜ⑴と同じ答えになるんだ。そんなはずがない。どこかで間違っている。やっぱり⑴が間違っているのか?どこだ?どこで間違っている?しかし時計は1:30を指す。次の問題に移る合図の時間。面積概算を行う。別に1/πでもおかしくはない。よし。もう自分では分からない。神に祈りながら④を終えることを決意。
   ここで前半に⑤.⑥を選択出来てないツケが回ってくる。⑤の見た目がやばそうな関数か、⑥の⑵の証明まで行くのか。方針が見えない証明問題より手を動かせば何かわかる⑤を選ぶ。残り30分弱。捨てたあの問題が残っていることも念頭にある。そしてこのとてつもない関数が最終的に上手く消える事を祈って第2項まで微分するが、やっぱり怖い。ダメだ。ここでキレイにならなかった時に2度目のパニックになるのは十分に想定しえる。もしそれが起これば再び落ちる。それなら純虚数であることを証明せよと言っている⑥の方がゴールは見えている。こっちの方が安心だと番号選択の⑤を⑥に変更。時間は1:34。落ち着け。複素数は多少難しいのも解けるようにしてきのだ。何問もやってきた。自信が湧いてきた。与えられた条件を用いて変形していけばきっと証明出来るはず。⑴に取り掛かる。極形式や奥の手x+yiを考えたが、ロクなことにならないのは見えている。不安であるが複素数のまま分数を通分する。ここで気がつく。分子が0になる。よし、これで⑴は証明できる。時計は1:40を指す。そして最関門の⑵に取り掛かる。これを示せなければ⑤の⑴の方を解いた方が点数は大きいのだ。そのプレッシャーを抱え、⑴と同じ変形をしていき、βが純虚数であること、与えられた分数が純虚数であることを用いて変形していくとβの一次式と整理され、(‪a-‪ā)β=実数の形に。ここでaが実数でない複素数という残っていた条件が出てきた。⑥における勝利を確信。15/25は確保。βが純虚数となり、ただ1つに定まることを記述。一安心。1:52。⑶は求値であり、方針も見えない。捨てるそことを即断。そして1度捨てた②の(3)に戻る。ここで閃く。算数で定番の等積変形を思い付く。答えを出し、面積概算もズレていない。良かった。一安心。これで85点は堅いと確信。そして時計は1:59。見直しはしようとは思えなかった。ここで何かのミスに気付く方が次の理科に引きずるだろう。汚い字だけを修正し、試験終了の合図を聞く。試験後、⑤の〇が上手く消せていないことに気づき、挙手をして、試験監督の元でしっかりと消し、周囲の解答が目に入らないように上を見て目をつぶりひたすら回収を待つ。応援していくれている人の顔がまたよぎる。

⑥の⑶は捨てたので、MAX90、②の⑶と④の求値が間違っていれば50も全然ある。ただ確実に推薦入試の時よりか善戦、成長は出来たという感触で理科へと進むことに。

【理科】

物理からスタートを始め、いつも通りだと力学→電磁気で45→その他③で最悪65分、化学は③構造決定から取り掛かり、理論の計算問題は捨てることを念頭に置きつつ、ただ埋めれる所は埋めに行くイメージで。見直しはしない。一発目で決める。理科合わせて過去問でも80を切ることは無かった。上手く行けば90も狙える。数学でオーバーヒートした頭を再度冷やしに、雨が降り続ける野外へ。軽くストレッチをし、試験棟に戻り化学のまとめノートを見直し、特に高分子や化学反応式は再度確認。やや集中力が切れていそうな気もする。大福をもう1つ食べる。訂正用紙が入っているとの指示。大したことは無いだろう。本日ラストのかぼそい試験開始の合図。ストップウォッチを押す。

・物理

  問題冊子を開く。①やや状況設定がややこしいかもしれない力学だなと感じる。m/Mをλとおけという指示。全ての解答用紙の欄にすぐさまに「λ!」という文字を書く。物理で怖いのは無意識に与えられていない初速Voなどを答案に用いてしまうことだ。防御線を張る。②荷電粒子の運動。得意なためか、逆に直前に問題集で飛ばしいていた所だ。やや不安感を覚える。逆の山ハリがここで現れる。③今年は波が出るなら干渉、熱力なら何でも来いと構えていた。問題は薄膜の干渉であった。解きたくなった。というか落としては行けない問題とすぐさまに認識した。いつものルーティンを崩して③から解く。10分も掛からず終われるだろうという直感。薄膜の典型問題である。明線条件であるから、干渉条件はm-1/2であるからmが自然数でないとおかしい。干渉は反射による位相差πがどこで起こるか、屈折率が高いのはどちらかに最集中。初手を間違えれば雪崩るからだ。そして問題にmは自然数であるとの指示があり、安心。一気に解いていく。最後まで難しいところはなく、時計はなんと0:11を指す。ここまで物理で時間に余裕が出来たとはない。やや浮き足立つ。①力学が重そうだっため本能的に②電磁気に取り掛かる。⑴で「文章中の空欄に以下の(ア)〜(カ)から当てはまる語句を選べ。」とあり、推薦入試の英語のフラッシュバックが蘇る。以前ここで等加速度直線運動といった語句自体を書いたのだ。他の設問では記号で答えよっ言ってくれているのに特段指定がない。何故か迷う。カタカタなで答えるか、語句自体を答えるか。まぁでも流石に記号で答えて良いだろう。というかなぜこの疑問を推薦入試以降解決してこなかったのか、先生に聞かなかったのか、自分に不思議である。過去問では記号で答えよ以外見なかったからなのか、そんなことを思いながらカタカタでイ、エ、ウを選ぶ。さて⑵からは計算。用いる記号に細心の注意を払い答えを出す。⑷から設問設定が変わる。斜めに初速度を与える問題だ。ウッとした。磁場と同じ方向ならせん軌道だが直交はあまり考えていなかった。さて電場を通り抜けるときにx成分とy成分の速度が変わるが、どうしよう。成分別にやろうとしても、投げ上げ運動みたいに頂点でy成分が0になると言ったものでは無いため、領域2に到達する時間tが分からず、超めんどくさいtの二次連立方程式を解かないといけない。クソっ。でも時間には余裕があるし手を動かせるこの方法でやろう。時計は0:25を指す。大丈夫。落ち着いてやろう。しかし初速が√(qEl/m)であるため、式変形がややこしくなる。そして時計が0:32を指した時、ゴールが見えてない式変形に焦りを覚えて、1度落ち着く。そうか、x成分は変わらないからスカラー量でエネルギー保存で速度を出してからそのx成分に分解すれば良いのだ。よし、それで行こう。よし、答えも角度が60°と綺麗になり、一安心。計算に詰まった時のどうせ45°という当て勘が外れてたとそこでも一安心。さて時計は0:35。そして次の問題は、それさえ分かればあとはサイクロトロン半径を出せばx座標は出せる、そして⑹、再び詰まる。速度のx成分は円運動の時どうなっているんだ?とパニックに。速度が消えるはずは無い。しかし円運動はどんな方向から入れてもするんだ。しばらく頭を捻る。まぁいいや、x成分は無視しよう。最悪間違っててもいいか。ここで止まる方が危ない。時間も迫っているから。そして次の問題エネルギー保存で出して終了。よし、だいぶ時間は使ったがまぁまぁ行けてるだろう。さて、一瞬ウッとした①に取り掛かる。時計は0:42。電磁気に30分に使ってたんだな、だいぶやべえなと思う。問題状況を把握。いや、意外と言っていることは大したことないな。まず、使う文字に注意をして、弾性衝突後の物体A,Bの速度だ。なんども見た。もはや答えは覚えているが、念の為重心系の速度ベクトル図を書く。M-em/M+mとM+eM/M+mであることを再度確認。よし。おっと危ない。ここでλを使うんだな。よし分子は1-eλと1+eλである。うむむ。答える物体の速度を逆にしないようにもう一度確認。うん⑵の終了。さて⑶を進めていく。摩擦で失われるエネルギーとそのエネルギー保存だな。うん与えられているc^2が出てきた。なんだ見掛け倒しだな。このcを答えれば良い。⑵の逆数を書く。さて⑷に進む。同様のエネルギー保存の計算でp^2-qの関係式が、、、よし、出てきた。これも⑵の値を使うな。これ⑵間違ってたらやっぱり怖いなぁ。ん?ちょっと待て。違うくないか?いや違う1+eλじゃなくて1+eじゃん。あっぶねぇぇぇぇぇ。まじで危ない。え?いや消して直したけど合ってる?ん?いや合ってるな、うん。危なかったぁ。雪崩の回避成功。時計は1:03さて、最後の問題はエネルギー保存則の理解を確認する問題だな。うん、やや駆け足で考えて物理を終了。時計は1:07を指す。やや押し気味。急いで化学に映る。

・化学

    さて、いつも通り構造決定から行く。C10H12。芳香族であることのチェック。環構造以外の不飽和度は1。ん?ちょっとムズいかも。核共鳴分光うんたらかんたらって書いてある。。少し考える。共鳴構造の数かな。いや、違うな。時間が押している。くそ、ここで止まる想定はしていない。時計は1:12を指している。あ、わかった、分子内での対称的な位置にあるC原子の数の話だ。これが分かれば早い。あとは指示通り解いていく。CHをCH2にしていないかなど、慎重に書いていかないといけない。o,p位の記述についての説明もある。そして水素の気体、mLであることに注意して答えを出す。そして③構造決定が自信を持って回答し終えたのは1:30。まずい。焦り始める。まだ①と②が残っている。①から取り掛かる。分かるところは全て書いていくが、光合成の反応式で詰まる。あれ、何回も書いてきたはずなのにどうしても係数が合わないし、Oの数が足らない。おかしい。3分はフリーズした。いや捨てよう。止まるな。ここでお腹が鳴る。空腹を感じている。やばいアドレナリンが切れている証拠だ。おい集中しろ俺。もう一度気合いを入れ直す。その他諸々の計算、記述や語句問題を凄まじいスピードで解いていく。問題文を読んでいる時間もない。①が終わった時には1:47。ここで圧倒的に時間が足りないことに気付く。計算問題を捨てるべきだったか、いや光合成の反応式に固執した時間か。いやそんなこと言ってられない。そして②に移る。ここで問題訂正に書いてあった問題に出会う。生成熱が全て90.143・・・って書いてあったものが全て-90、-143に書いてあるのだ。エネルギー図を書く。そして発熱量の計算を行い、熱化学方程式を書く。水の電離の吸熱反応の話や、触媒の働きなど、共通テストの3倍のスピードで記号を選択していく。そして活性化エネルギーの問題に取り掛かる。出るとしても傾きの話というのは分かっていた。kJとJの違いに気をつけて、ギリギリ全ての空欄を埋めた。試験終了の合図。もはや最後は合ってるか分からんが、試験終了後に光合成の反応式、そして弱酸の電離定数をCα^2をC‪αと書いてしまっていることに気づく。しかしもう手は付けられない。時間に追われたが故の致し方無しのミス。想定範囲内。80は絶対に切ってはいないという確信はある。90あれば上出来。理科全体を通しても83%はあるだろうという自信もって試験終了。正直、集中力が切れ、何問か間違えていいやという甘えを見せてしまった化学。自分の力に対しての手応えの悪さを覚えて、試験監督の”本日はお疲れ様でした”の声を聞く。いや本当に疲れたなと。トイレに行ったため試験会場は1番最後に出る。次この医学棟に来る時は授業を受けたい。そう思った。

   筆記試験を終えた。理科の手応えの悪さ、そして数学の求値問題への不安感もあり、絶対に落ちたと言えない、五分五分の勝負であったという第一声である。雨は降っているが空気は美味しい。歩きながら鉄壁を開かなくてもいいのだ、という不思議な思いを抱く。けど落ちたらまた地獄に戻される。合格発表までの苦しい時間がまた来たなと再び思った。とりあえず明日のSCTとMMIの練習をやりきろう。ちょっとしか差は開かないかもしれないが、最後まで貪欲に点を取りに行こう。つくば駅のサイゼリヤでミートソースパスタを食べながら、明日の筆記のSCT試験の対策を文字起こし。そして部屋に戻った21:00から23:00までひたすら文字起こしを行う。眠気が来たので就床。


・2日目

SCTテスト

   1度推薦入試で書いたことがあるがあの時は60個のうち12個ぐらいしか事前に準備していなかった。けど今回はしっかり全て書いて、評価される力動的側面や社交関係など、嘘ではあるが平均的な解答を事前に準備した。手が疲れたという感想以外特にない。

面接①(志望理由や人格について)

   3ヶ月前と同じ控え室、同じ案内の方たち。多分入試担当課の方だろうな。朝からご苦労様ですという感じ。おいおいそんな他人のこと気にしてる場合じゃない。目の前に集中しろ。SCTが10:00に終わり、次の面接集合時間は午後の部だったので12:30。よし、友達に電話を掛けよう。推薦入試で一足先に東大に受かったやつだ。きっと暇してるはず。面接の練習やMMIも一緒に考えくれていた。面接前の電話練習を快く受け入れてくれた。どうやら東大数学を解いてるらしい。そしてムズいらしい。まぁ知ったこっちゃない。その友達に冒頭で求められる志望理由を話してみる。するとスパッと的確すぎるアドバイスが飛んできた。流石だなと思いながら、志望理由の伝えたいことの重点の置き方など最終調整に入る。気付けば面接①だけで1時間電話していた。よし次MMIお願いしますと。再度コミュニケーション解決の方法のパターン化と、予想問題を作ってもらう。直前にこんなに口に出してみっちり練習できてるのありがたすぎる。そして集合時間の12:30になる。控え室へ案内される。前は部屋が8部屋あったから回転もスムーズだった。控え室では40分も待たなかった。しかし今回は3部屋しかないようだ。点数が付くし、なかなかにちゃんと見られるだろうから仕方なし。前から15分ごとに3人ずつ呼ばれていく。この部屋では25番目。9セット目で呼ばれるのだろう。ひたすら出だしの志望理由をよどみなく言えるように1dBで練習する。10回言うと飽きてきた。ここである女の子が目に入る。推薦入試の時は自分の周りの席人がどこ高校とか試験後に前の解答を見たり周りと比較してしまっていた。自分との闘いより周りとの闘いという気持ちで臨んでいた気がする。今回は違う。昨日は誰とも目も合わせず、ひたすら自分と向き合っていた。しかし何故か控え室でその子は視界に入ってきた。そうだ、推薦入試の時もいた子だ!すぐわかった。推薦入試と一般で2回とも筑波を受ける人はそう多くない。だって大抵の人はどこの国公立医学部でも良いからだ。推薦入試なんて受かればラッキーで来てる。だから周りのメンツもほとんど違った。けどその子だけ妙に覚えいた。俺より10番ぐらい番号が早いそうだ。先に呼ばれたのを見て心の中で、頑張れ、そう応援した。その後は医学部面接のテーマ本を軽く読み、深堀されても大抵答えれるイメトレをし、いざ自分の番号が呼ばれる。ドアを3回ノックし、部屋に入る。両方とも男性。50歳ぐらいと60歳ぐらい。やや強面だなという第一印象。志望理由を聞かれ、「まず、40〜50歳を目安に代表ドクターになりたいと・・・」何回も練習した志望理由を話していく。推薦入試とは違ってしっかり面接官がペンを走らせている。ちゃんと点数付けるためか。緊張度が増していく。すると面接官が何かを言っている。俺は覚えている志望理由を喋り続ける。まだなにか喋っている。すると面接官の「ごめん、な、なんの?」という声が聞こえた。ここで”サッカー”日本代表を言い忘れていた自分に気付く。すみません、サッカーですと答えた所で「あ、サッカーね」と2人に笑顔が出た。ホッと安心した。そこからキャリア形成と人格形成の2点で筑波を選んだことを伝えた。その後は以下のような質問と応答をした。簡潔に記しておく。
Q.ポジションは?
A. センターバックです笑    
Q. 蹴球の人達は身体付きからしてホントにすごいよね
A. そうですね、自分でアポをとって12大学に練習参加したんですけど、よく見るのは下のカテゴリーのチームで、そのチームの環境がいかに整ってたり、熱が冷めてないかって言うのを見てきました。その中で筑波は6軍まであるのにしっかりその環境があるのでやはり伝統ある組織だなと感じました。
Q.サッカーで人格形成と言ったけど今まででのように人格形成されたのか?
A. まずは個人にフォーカスをすることでチームが強くなる。高3時にはチームの船が沈まずに常にエンジンが掛かる状態で動かし続ける能力は備わったと自負しています
Q.中学からサッカーを始めたと言ったが小学生の間は?
A. もちろん運動は好きだったし、ボールも蹴っていましたが、やはり机に向かって勉強することの方が多かったです。
ーーーー もう1人の面接官に質問権が移るーーーー
Q.医学で日本代表に進みたいとおっしゃったが、サッカーの方でプロになることは考えなかったのか?
A.正直、考えていました。しかしやはりプロになるということはお金として頂くこと、そうなるとモチベーションが義務的なネガティブなものになってしまうので楽しくないと思ったので辞めましたし、研究したい医学分野が見つかったので。その代わり、筑波のTOPチームは自分が目指す目標としては遜色ないほど高いレベルだと思っています。
Q.スポーツ医学以外に興味はないか?
A. ・・・正直無いです。(スポーツドクターを目ざした経緯を説明して、)怪我への再発の怖さと、早く復帰したいという心理的に不安定なスポーツ選手に対して、どうアプローチするのかというところが、本当に”心の底から”研究したいと思える分野なので、他分野は正直に申し上げますと今の所興味が無いです。
Q.部活動は熱心にされているように見えますが、他に力を入れたいた事はありますか?
A. 高校生にしか出来ない”青春”を焼き尽くそうという思いで、学校行事には全力でやっておりました。

ーーーー時間が来たようなので、以上で質問を終わります。

まず、推薦入試の時と違って志望理由を話している時にペンを走らせてくれていたことが嬉しかった。そしてしどろもどろではあったが、十分に筑波一本で受験する熱意は伝わったと思う。そして正直なことしか言えない自分がやっぱりいるんだなと思った。

面接②(MMI)

    失礼しました。と言って部屋を出た後すぐに隣の部屋に案内された。20秒後入室お願いします、と。
こっちが点数により響くだろうという面接。どんな問題が出てきても、誠実に答える、これだけを心に決める。再び3回ノックして部屋に入る。今度は40代ぐらいの男性と女性。一目で分かった。女性はあくまで事務的な役割の人で、採点官は男性の方だろう。女性が「では、問題を読み上げますのでよく聞いていてください。」まるでロボットのようなトーンで言う。そして驚いた。座っている席から見える問題らしき文章が10行ぐらいあるのだ。冷や汗が走る。問題は3つ出され、実はそのうち2つは聞き返したのだ。もしこのMMIが気になる人がいればいずれ河合塾などの面接記録が調べられると思うので見て欲しい。ものすごく端折って書いてあることにここで気付いた。

事前に入手した河合塾による面接記録

1つだけ紹介しようと思う。僕も全てを記憶出来ず、しかも聞き返したのでこれよりもう少し余計な設定が入っている。女性側がペンで文章をなぞりながらロボットトーンで言う。
「ある学会で大学生Aさんはずっと一生懸命に研究していたものをポスターで発表していました。すると、そこにはAさんとは別の大学に行った高校生時代の同級生であるBさんが同じくポスターで発表をしていました。その学会の最後に、Bさんのポスターは優秀賞に選ばれました。数日後、2人はカフェで偶然出会いました。AさんはBさんに『優秀賞おめでとう』と言った。するとBさんはAさんに『よく知ってるね。いつも先生にご指導して頂いたおかげだよ』と言われた。この時、誰のどの発言が場を気まずくしていますか?」

  もしかしたら初めて見た人は何も気まずくないと思う人もいると思う。けど何度も練習をしているとコミュニケーションのどこかしらに全て気まずくしているように聞こえるのだ。そして私は聞き返した。「BさんはAそんの存在に気付いていますか?」男性の方は何かを言おうとしたように見えたが、女性の方にもう一度読み直してくださいと言った。おそらくマニュアル的には読み直すことになっているのだろう。いや、めんどいって笑。そこの関係性だけ大事やから聞きたいのに。結局聞き直したが関係性は分からない。余白としてあえて残しているのだろうか。それにしても男性の方はメモをとっていない。いやむしろ私と目を合わせることも無くひたすらプリントを見て、「ではなぜその発言をしたと思いすか?」などと、受験生がしてくる想定内の回答にマニュアル通りに掘り下げの質問をしてくる。ペンでメモを取っているようにも見えない。バカバカしいなと思った。こんなんで点数を付けるなよ。人の人生を左右するなよと。せめて目ぐらい合わせてくれ。次の質問でまた登場人物の2人の関係性について聞き返した。するとタイマーを見て、鋭い目で「もう自分の考えてるシチュエーションで言ってください」と言われた。やらかした。少し考える時間頂いても良いですか?と聞き、何とか耐えて答えて、失礼しましたと言って部屋を出た。面接②が終わり、晴れ渡る空が私を出迎えた。
    あぁ終わった。やっと終われる。そんなことは思えるわけがないだろう。落ちてたらまたここにペンを走らせに来ないといけない。筑波以外行かないんだから。第2志望なんて存在しないんだから。昨日の寝る前に、数学の絶対に落としては行けない①を(2)以降落としていることに気付いていたこともこの心が晴れていない原因の1つだろう。8:2で落ちている、受かっていも最低点前後だろうという分析。肩の荷は降りなかった。ただもう自分が出来ることは無い。また1年やるのか、それとも晴れ晴れとした気持ちで3月を過ごせるのか。3/8 10:00までそんなことを考え続けるここからの苦しい2週間が始まるなと思った。


気づけば1万9000字に達していました。
どんな方が読まれているかは分かりませんが、助けとなれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?