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【筑波大学医学部にこだわった理由と人生の目標について】


・スポーツドクターを志したきっかけ

  高校1年生の12/22、今シーズン残こすところあと2試合の1年生大会。後半が始まってすぐの事だった。相手のフリーキックをバックステップしながらのヘディングで弾こうとジャンプした。

下がりながらのヘディング
自分の着地の右足が相手の足の上に
ポキッと音がして勝手に崩れ落ちた
うずくまる

 足関節内反捻挫の典型的な外傷シーンである。着地足の脱力に対しての自分の体重分丸々の強い内反のストレスが掛かった。ポキッと音がしたので一瞬骨が折れたか?と思ったが、どうやらそうでもなく、その時はいわゆる”グネった”だけだなと思った。ただ、普通のグネる程度を超えた捻りの可動域だった。今振り返るとこのポキッという音は指で鳴らすポキポキと同じものだったと思う。

 この試合は1年生大会で、1-1の状態であったため、俺が出なければ負けてしまうと思い、ベンチに行った方が良いかなとは思いつつもそのままピッチで立ち上がって出ることにした。この時はアドレナリンのせいで痛みを感じることは無かった。そして引き分けのまま試合終了のホイッスルが鳴り、ベンチに戻った。この時にそういやグネったなと思って足首を内側に捻ってみたところ、今までに感じたことの無い激しい痛みを感じた。おそろく、ただの捻挫ではないだろうなと思った。その後すぐにアイスバスに足を付けて冷やしていたが、周りには「グネったわ〜笑」ぐらいのテンションで痛くない素振りを見せていた。ここで怪我をしてることを見せれば、3日後に控える最後の1年生大会で俺が出れないことをチームメイトに予期させてしまうことになる。氷袋で冷やしながら帰宅しもう一度内側に捻ってみた。もう体重をかけるだけでも尋常じゃない痛みを感じた。ただ歩けてはいた。とりあえず明日病院に行こう。いつも見てもらっている所だった。診断結果はステージⅠ。靭帯断裂はしておらず、靭帯損傷で留まっていると。

日本スポーツ整形外科学会より

 ※いつも本当にお世話になっていて信頼出来る先生だったので最善の対応をしてくれたというリスペクトを払った上で書きます。

「先生、3日後の大事な試合に出たいんですけどよろしいでしょうか?そこからしばらく休みがあるので」

「んー非常に難しいけれども、断裂はしてないので、痛み止めやテーピングなどをすれば重要な試合なのであれば、出場しても大丈夫だとは思います。しっかりとアイシングや湿布を貼れば痛み自体は2週間程度で引いてくるかなとは思います。」

  この診断以降、自分の”捻挫持ち”が始まった。引退するまでに何度再発を繰り返しただろうか。一日足りとも右足首に痛みを感じずにプレーしなかった日は無い。”ドーン”という鈍痛が練習後には毎回訪れ、足首を伸ばしたインステップのシュートは右足では本気では打てず、左足のキックも軸足に体重を掛けると再発するかもしれないので、常に体を流して打つので威力も弱い。毎練習後、真っ先に”よし、今日も再発せずに済んだ”という感想が出る。靭帯損傷には完治という定義が難しい。そして伸びた靭帯はもう戻らない。また、伸びる側(底屈)の痛みが無くなっても、縮める側(背屈)の痛みはなかなか引かない。

   それ以外にもたくさんの”微妙な怪我”=”我慢すればできる怪我”を常に抱えながらやってきた。何とか原因がないかと病院を様々回ったが、医者もこの名前しか付けられないといった感じのよく分からない怪我も多かった。主将という事もあり、ギリギリ出来る痛みならやらなければいけない、さらにはコンディションが落ちる、そういった思いが常にあったため、中々休むということが出来なかった。もちろんやれば痛みは増していくのに。

サッカーノートの怪我記録より
怪我してない期間がほぼ無い
痛みの程度を数値で評価して記録を付けていた

 ここまではありきたりなスポーツ選手の怪我記録、そしてスポーツドクターを目指す理由だ。自分が怪我をしたから同じ思いをして欲しくない、そういう理由でなる人も多い。もちろん俺もその1人だ。ただこの話の中に自分が生涯を通して研究したい箇所がある
 それは”選手が医師に過剰に次の試合の重要性を伝えてしまう心理的な不安定性”である。
  長期的に見れば、今振り返ってみれば、3日後の1年生大会の試合なんて別に俺が出ても出なくても良かった。けど、”その時は”次俺が出ないと、チームの士気が下がる、本気でそう思っていた。
  医師は「ガイドライン」というものを遵守する。それに加えてその先生自身の経験や他の症例を考慮する。特に別に痛みをこらえて出来なくもないという怪我はその選手の次の試合の重要性などを踏まえて意見を述べることが多い。進路を決めるような大会やセレクションなのかどうかなど。しかし、ここである問題が発生する。”選手は嘘をつく”という事だ。強豪校にいる選手やスポーツで進学しようとしている人は特にそうだろう。大きな大会でなくても、毎試合、毎練習が監督からの評価に繋がる。「実は怪我をしています、休みます」なんて軽く言えない。もしくは俺のようにチームの士気を気にして軽く振る舞ってしまう人もいるだろう。それを医師側が汲み取れるかどうかが非常にその選手のスポーツ人生を決める大きな別れ道である。私はそれを汲み取れるような体系的な患者へのアプローチの方法や患者からの信頼を得る方法をガイドラインに組み込み、なるべく多くの医師が、患者と同じ種類のスポーツをやっていなくても、その心理的な不安定性を共有できるようにしたい。私一人だけが患者の気持ちを汲み取れる良い医者になってもなんの意味もない。まぁ手短に言うと、”ガイドライン作成”に関わりたいのだ。何も分かっていない青二才が何を言っていると言われそうだが、こちとら本気だ。ガイドラインの改善をするにはまずガイドライン委員会に入らないと行けない。そのためにはしっかりと論文の研究・執筆を行い、信頼を得た上で、さらに”縁”が必要となる。ここで筑波が強いのだ。筑波の整形の医局にはたくさんのスポーツ現場で活躍していらっしゃる先生方がいる。その先生になるべく早いうちに話を伺って、なるべく早く現場の経験を詰ませてもらうことが”縁”を作る上で肝になってくる。


・サッカー日本代表帯同ドクターを目指す理由

  まず、サッカーであるかどうかは1つ考えるところである。別に将来的に見る患者さんはサッカー以外のスポーツをやっている人も沢山いるだろう。ただ餅は餅屋だ。他のスポーツで僕と同じように代表ドクターを目指す人がいるなら、その人に任せたら方が良い。自分の経験が最大限活きるのはもちろんサッカーだ。
  では次に、なぜ日本代表になりたいのか。そーゆー上のポストに付きたいだけだろ?と言われても仕方がない。けど、自分なりにはもう少し広い視野を持って考えている。主に2つある。

1.サッカーW杯の日本開催の招致活動を行いたい

  これは単純にワクワクするからだ。灘校サッカー部のOBで日韓W杯2002を招致に貢献した先輩がいらっしゃり、その方の話に感化され、自分もやってみたいなと思った。ラグビーW杯2019が日本開催された時の国民の盛り上がりは凄かったのは記憶にある。実はラグビーW杯の招致活動に大きく貢献なさった河野一郎先生は元筑波大学の教授で、ラグビー日本代表の帯同ドクターやJOC(日本オリンピック委員会)の理事も就任されていて、その灘校サッカー部OBとも非常に仲が良く、話を聞いていると次のサッカーW杯の招致活動に医学の道からも自分が貢献できるのでは無いか、そのように目標を抱き始めた。
  自国でW杯を開くということは日本サッカーの発展にとって非常に大きな節目となるのは間違いない。サッカー文化が根付くのにはかなり手っ取り早いだろう。しかし招致活動自体には非常に難しい、複雑な外交関係がある。ここで代表ドクターであることが大いに活きると考えている。と言うのも、日本代表帯同ドクターの1人である土肥美智子さんの本を読んだ時に、各国の代表ドクターと綿密に連絡を取り合うシーンにこれがまさしく自分に必要なスキルであると感じたのだ。

内科のスポーツ医師なのも新鮮

  各国と連携を図る上で、さらに日本がイニシアティブを取る。他国に劣ることなく、先頭を切る。まさしく代表ドクターとして必要なスキルと招致活動に必要なスキルが絡み合ってくる。もちろん、それぞれにさらに専門的な知識や技術が必要なのはこの年齢でもわかるが、代表ドクターであることが非常に大きな利点になることは言うまでもないだろう。

2.幅広い層を見れる医師に越したことはない

  これはどんな職種でもそうだろうが、相手をする人の種類や相手が求めるもの種類に対すしての適切な自分の武器・スキルを持っておくに越したことはないだろうと思う。特にスポーツではアマチュア〜プロ/幼児〜年配の方まで、様々な年齢の方が、様々な熱意で取り組んでいる。それら一つ一つに適切な治療を出来る医師になりたいし、上記で述べた研究をより浸透させるにはやはりトップレベルのアスリートを見れる武器を持たないといけない。やや被るが、このドクターのステップアップにもやはり”縁”が大切になってくるし、筑波が強いのだ。若い頃から土日に行われるアマチュアや幼児の会場ドクターとして活動し、徐々にステップアップして40歳〜50歳を目安に日本代表帯同ドクターになれればと考えている。実際はどんな世界なのかはまだまだ未知ではあるが。

   以上、医師を目指す人間としての目標とその手段として筑波大学が最適であることを述べました。またもう1つの大きな筑波大学でなければなからなかった”筑波大学蹴球部”についての記事は下に掲載しておきます。(掲載予定)

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