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田舎の良さについて

子供時代を山形県という地方で過ごした私が今、東京圏で生活してみて思うのは「やっぱり田舎は良いな」ということである。都会は色々なものを簡単に買うことが出来たり、交通機関が充実していたりと便利な所ではあるのだが、なんとなく息苦しさを感じるのである。


「では何故都会には息苦しさを感じ、田舎には感じないのか」と考えたときに私が思いつく理由は主に二つある。一つ目は「自然と触れ合う頻度の違い」である。多くの近代的な建造物に囲まれた都会では意識せずに自然を感じることはほとんどない。対して、田んぼや畑、森に囲まれた田舎では常に自然の存在を感じることが出来る。「自然の有無など大した差ではない」と思う人も居るかもしれないが、木でできた家を心地よいと感じたり、病気の人が田舎に引っ越したら症状が軽くなったりするなど、自然が人に与える身体的・心理的影響は大きいのである。

これは、研究の結果としても表れている。例えば、ミシガン大学のMarc Berman氏らによる研究(注1)がある。この研究は、同大学の生徒たちにGPS受信機を持たせて植物園や繁華街を歩き回らせて、その後、一連の心理テストを行うというものだった。その結果、植物園などの自然の多い所を歩き回った生徒のほうが注意力テストや作業記憶テストの得点が大幅に高かったのである。

また、イギリスのエクセター大学のイアン・フランプトン博士らの研究(注2)では、田舎の風景写真と都会の風景写真を見た場合、脳がどのような反応を示すかMRIで確認する実験を行った。結果、田舎の写真を見た場合は「古い脳」と呼ばれ、感情や本能、記憶を司る辺緑系が活性化した。これは、脳が特別な情報処理を行わずに反応していることを示している。一方、都会の写真を見た場合は視覚的複雑性に関連する脳後頭部の視覚野が活性化した。これは、脳が都市という環境について理解していないため、見たもの全ての情報を処理しようとしているからである。都会で息苦しさを感じるのは、都会の情報量の多さに脳が疲れてしまっているからかもしれない。


二つ目は「体系の違い」である。

様々な人が集まりせわしなく行き交う都会では、人と人との繋がりがどうしても薄くなりがちであり、コミュニティーというものが形成されづらい。それは時に、人に孤独やストレスを感じさせてしまう。一方、田舎では逆に人と人との繋がりがとても強くなる。近隣の人どうしがお互いに助け合うことで日々の生活が営まれているからである。基本的に人は、誰かの役に立ち、また誰かに必要とされることに心地よさを見出す。そういった意味で、田舎のコミュニティー型の体系は人が心地よく生きるのに適しているのである。

 最近、地方の仕事に就きたいと言う人や田舎で暮らしたいという人が増えていると言われている。やはり、そういった人たちは皆都会の生活に息苦しさを感じ、田舎の自然や社会形態に少なからず心と体を回復させてくれるような「癒し」を感じているのだろう。実際、田舎ほど人の心を癒し、心地よさをもたらすものは無いと私は思う。もし都会での生活に疲れている人が居たら、私はその人に地方へ旅行することを勧めたい。きっとそこには、あなたの望む「癒し」があるだろう。


注釈

注1 JONAH LEHRER「自然な景観が人に与える影響」、『WIRED』、wired.jp/2010/08/25/「自然な景観が人に与える影響」/、2015.8.8アクセス。

注2 近藤 辰也「人間の脳は生まれつき田舎の風景を見ると気持ちが落ち着くようにできていると判明 都会の風景は混乱と不安をもたらす可能性あり:イギリスの研究」、『IROIRO』、http://irorio.jp/kondotatsuya/20131214/95519/、2015.8.8.アクセス。


筆者: 生丼

紹介: 経済学部1年、東北育ちのマイペース基本的にゲームと日常系アニメを見ることを生きがいとする。 田舎が大好きで田舎で暮らすのが夢。経済学部のノリからは完全においてかれている現状である。

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