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ジャニーズファンの冷静と情熱の間。推し活と執筆活動のシナジー

ジャニーズのファン、ジャニオタってどんなイメージですか?

今回は、7年ほどジャニオタとして推し活を楽しんでいる辻村いちさんにお話をうかがいました。

辻村さんは、noteで短編小説を発表されている小説家です。ちょっとほっこりする短編から、ホラーやエッセイなどさまざまなジャンルを執筆しています。いずれの作品も続きが気になるストーリーばかり。今の目標は、賞を取ることと単行本を発表することだそうです。

こちらの小説は220以上のいいねを獲得し、note公式マガジン「今日の注目記事」としてもピックアップされています。

辻村さんはどうやって推しの存在に出会い、どんな推し活をしているのでしょうか。また、推し活と執筆活動のつながりについても話をうかがいました。

「子猫ちゃん!」と叫ぶNEWSの手越君にびっくりした

はじまりはNEWSから

ジャニーズに本格的にハマったのは、NEWSの加藤シゲアキ君だったそうです。

この記事では、親しみを込めてジャニーズメンバーを「君」付けか、辻村さんの普段の読み方で記載しています。

「2013年の大晦日にテレビでジャニーズのカウントダウンを見ていたときに、手越君が「2013年も俺たちといちゃいちゃしようぜ!子猫ちゃん」って言っていたんです。私びっくりして…そこからNEWSについて調べたんです」

そのあと、辻村さんは加藤シゲアキ君のパフォーマンス以外の部分を知り、沼にハマっていきます。

「加藤シゲアキ君の顔がめっちゃタイプだったし、小説を書いていて、青山学院大学を出ていて。最初9人だったNEWSがどんどんメンバーが減っていったときに、自分に何ができるのだろうと考えて小説を書き始めたらしくて…。アツイじゃないですか。尊敬できる部分があると好きになりますよね」

『シンデレラガール』で知った岸君。知れば知るほど沼に

岸君が歌う歌詞に励まされて

その後、辻村さんは今一番推しているKing & Prince(キンプリ)の岸 優太君と出会いました。

「私が上司との折り合いが悪くて、仕事がすっごく辛い時期があって。その頃、キンプリを結成する前に岸君が所属していたPrinceというグループの『Prince Princess』っていう曲を知ったんです。この曲の「ボロボロになってもダメダメになっても立ち直れる君はPrince Princess」っていう歌詞があって…。その曲を聞いてがんばれました」

キンプリグッズ。うちわやペンライトはライブの定番(辻村さん提供)

人一倍努力家の岸君

「誰よりも努力する岸君を尊敬しています。岸君は、人よりもダンスの覚えが悪いみたいなんですけど、その分誰よりもたくさん練習するんです。堂本光一君の舞台「Endless Shock」に抜擢されたときにも、先生にめちゃくちゃ怒られても泣きながら必死で練習して舞台に立ったんです」

完全にキンプリにハマった辻村さんは、キンプリのファンクラブにも入会。辻村さんの推し活もさらに深くなっていきます。

念願の初ライブ!

はじめてキンプリのライブに行ったときのチケットを今でも財布に入れているそうです。

「2019年のライブのチケットです。やっとチケットが取れたんです。席が一番後ろでも岸君と同じ空間にいると思ったら、うれしくて涙が出ました。しかも最後ステージを去る直前に後ろを振り返って私に手を振ってくれたんです!私に!」

2019年のライブツアーのツアーバス(辻村さん提供)
はじめて生で推しを見たときの「推しと同じ空間にいる!そこに推しがいる!」、「今私に手を振ってくれた!」という胸の高まりは私もよくわかるので、聞いていてグッときました。

家族みんなでジャニオタに

辻村さんが推し活を楽しむ様子に影響され、辻村さんのお母さんもキンプリのファンになりました。

「母は髙橋海人君が好きで、一緒にダンスプラクティス動画をよく見ています。母の楽しそうな姿を見ていると、私もとてもうれしくなります」

「私と母がキンプリが大好きなことを父も知っています。テレビにキンプリが出ていると、キンプリが出ているぞと教えてくれるようになりました」

お父さんがクリスマスツリーをキンプリ仕様に(辻村さん提供)

ジャニオタが”口頭”継承するジャニーズの良さ

ジャニオタは文才の塊

ジャニーズのライブに行ったことがない私のジャニオタのイメージは、正直に言うと良くも悪くも熱狂的な人が多いイメージです。辻村さんにジャニオタのイメージを聞いてみました。

「たしかに、大勢のファンが押しかけて新幹線の出発が遅れたこともありましたけど…。私はジャニオタの方が書いたブログを読むのが大好きです」

「ジャニオタの方々って文章が上手い方が多いんですよ。自分が行っていないライブのレポート記事でも、読んでいたらまるで自分が行ったような気持ちになるというか。落語が口頭継承されるように、ジャニーズの良さもジャニオタによって"口頭”継承されているのがとても素敵だなと思っています」

ジャニオタの方々の発信力は本当にすごいなと私も感じていて、ジャニーズがメディアに出るといつもTwitterでトレンド入りしているイメージがあります。
私の好きなeスポーツやハロプロも悪いニュースが先行してしまいがちです。報道されている姿が全てではないと忘れないようにしたいなと改めて思いました。

推し活と執筆活動

そんな辻村さんの推し活と執筆活動の関係はどんなものなのでしょうか。

「ジャニーズのすごいところって、自分の魅せ方が完璧なところだと思うんです。私が作品を書く上でも、魅せ方って大事だと思っていて。どんな作品を書くことで読者が楽しんでくれるかをきちんと考えるようにしたいと思っています」

辻村さんの執筆活動への思いについてもうかがいました。

「私は元々小説読むのがとても好きだったんですが、一読者として、小説の好きなところって言葉にしにくい感情の機微が言語化されているされているところなんです。私の岸君やシゲに対する思いって、憧れなのか、好きなのか、恋愛感情なのか尊敬なのか…またちょっと違うんですよね。人の感情にはこれだけ幅があるんだってジャニオタになったことで知りました。自分も作家として、『感情が動いた瞬間』そのものを小説にできればと思っています」

アイドルになってくれてありがとう

キンプリが解散したらどうするか聞いてみました。

「えーーー。どうしよう…。いやーつらいです。喪失感が半端ないと思います。でも、キンプリにも岸君にも人生があるし、岸君が選んだことならしょうがないのかな…。『推し、燃ゆ』を読んだときに、色々考えたんです。「推し」に対する距離感とか」

「推しだからって崇拝しすぎてもだめだし、ネタっぽく扱いすぎるのも良くないし…。自分が商品ってつらいと思うんですよ。だから、私は、「岸君、アイドルになってくれてありがとう、元気と勇気をあたえてくれてありがとう」って思っています」

辻村さんが小説で丁寧に紡ぐ日本語の背景には、キンプリの岸君という推しの存在と向き合うことで生まれる「複雑な感情の言語化する行為の積み重ね」があったのです。




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