見出し画像

ポエムはみんな生きている(第一回)

アフター3.11のネット詩とコロナ禍のネット詩 ni_ka

どうも、こんにちは、ni_kaです。先月、詩人の北園克衛の43回忌を記念した北園忌のトークイベント(https://katsue.jp/archives/78)でも少しお話させていただいたのですが、今回は東日本大震災後とコロナ禍のネット詩の状況の違いについてお話してゆきたいと思います。

10年前の東日本大震災と現在のコロナ禍の相違点は、コロナ禍においては被災の格差やレイヤーが国内ではあまりないという点です。東日本大震災では、東北地方の太平洋沿岸が非常に厳しい被災状況に見舞われました。一方、関西地方や九州地方など、それほど震災の影響がなかった地域もありました。また、地震の揺れによる被災・津波による被災・原発事故での被災など、被災にもレイヤーがあり複雑な被災状況がありました。
現在のコロナ禍は、日本国内全域がそれなりに深刻で、どこの地域の人も日常生活で抑制を強いられ、マスクをつけ、強制でないとはいえ集団免疫獲得のため国策でワクチン接種をするなど、被災に関して全国で感情的にある程度の統一感があります。

東日本大震災直後には、福島で被災された詩人の和合亮一さんの詩が一次的にTwitterを通して発信され大きな話題になりました。また、私ni_kaも「AR詩 2011年3月11日に向けて、わた詩は浮遊する」というAR詩を震災直後からAR空間の他にブログでも発表しました。その他にも、文字がメインの詩の投稿サイトやSNSに詩が投稿され、少し時間が経過すると、詩とイメージをイラスト的に画像にしたデコメやポエム画もネットに大量に投稿されました。和合さんは福島にお住まいで、私は父方の親戚が宮城県で被災し、デコメなどを投稿していた若い方々も東北地方で被災した方が多く、当時はより被災状況が深刻な地域や人の体験などによる詩が、ネットで発表されていった傾向があるように思います。

画像1

ここから先は

1,443字

過去作読み放題。前衛的にして終末的な文学とその周辺の批評を毎月4本前後アップしています。文学に限らず批評・創作に関心のある稀有な皆さま、毎…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?