[思考の整理学を読んで]
思考の整理学を読んで、面白かったから感想と自分の考えを書こうと思う。
まず外山先生の文章の持つ面白さ豊かさは、自身の確かな経験と知識に基づきながらも謙虚であることだと思う。
主張が激しい自己家発本の様に価値観や考えを押し付けたり、強制力がある文章で不安を煽ったりしていないから安心して読み進められる。
「私はものを考えるときにこう言った癖や習慣があるんだけど、読者の方はどうだろう?思考の整理、流れやパターンといった根本的なところを本書でじっくりと一緒に考えようじゃないか。
思考の整理についての実用的な方法や知識を紹介してるので、よかったら参考にしてほしい」
と言った具合に読者と同じ目線で書かれていることで、自分自身でも気付いていない潜在的な思考のパターンや癖を知りたいと思う自発的な好奇心、探究心を唆り、思考本来の豊かさ楽しさを改めて気づかしてくれるのではないだろうか。
[思考のセンスについて]
頭が悪くて悩んでいた頃(今もだが)考えていたことがある。
ある漫画の台詞で、
「考え方にセンスはあるね、あとは持続 深度 閃きだ」
この台詞をよく反芻していた。
考え方にセンスなんてあるのか?この謎を僕は魅力的に感じた、もし自分にも考え方にセンスがあれば、きっと今の頭よりましになるはず、、
この本を読みながら思考のセンスについて考えてみた。
思考のセンスとは、ものを考える時自身の価値観に基づいて思考してることではないだろうか?
価値観とは自分にとって何を美とし、何に惹かれ、何を面白いと思うかと言った様々な自分自身の基準である。
この価値観に基づいて思考を巡らせば、自分にとって必要な情報そうでない情報を正しく判断でき、独自性のある自分らしいセンスのあるアイデア着想になるのではないだろうか。
本文に、
[忘れるのは価値観に基づいて忘れる。価値観がしっかりしていないと、大切な事を忘れ、つまらないものを覚えている事になる]
この文章は、いかに自分以外の価値観に縋りものを考える事の危険性をよく表していると思う。
[思考の本質について]
この本を読んで改めて疑問に感じたのは、
「普段している思考はなんのためだろう?」
と言うことである。
例えば朝起きる、今日は何をしようか?これも思考なわけである、その後には続けて朝ごはんは何にしよう?昨日彼女が帰り際言った言葉の意味はなんだったんだろう?
と言った様に毎日連続的、継続的に思考している、呼吸をする様に思考しているのに、自分が何についてなんの為に思考しているかほとんど無意識的になっている場合がある。
「彼女が帰り際言った言葉の意味はなんだったんだろう?」と言う思考は明確であるが、細かな日常の一つ一つの思考は断片的で脈絡のない場合も多い。
本書にあるように、論文を書くための着想やアイデアと言った思考と、日常の散文的、断片的な思考を自分なりに区別するこの重要性。
目的が明確な思考が、日常の例えばSNSなどの大量情報に誘発される不毛な思考に埋もれてしまわぬよう十分注意が必要なのかもしれない。
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