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BCI (Baltic Capesize Index) とは何か

BDI の記事でも少し触れましたが、バルチック海運取引所は BDI のほかに、不定期船のサイズ・航路毎に実際の取引価格指標となる運賃をドル建てで発表しています。

今回の記事ではCapesizeの実際の取引価格指標である BCI (Baltic Capesize Index) について解説したいと思います。

航路の定義

まずは航路についてです。世の中には様々な航路がありますが、航路が違えば1日あたりの傭船料も異なります。BCI は航路毎に以下のようにコードが定義つけられております。

C2 - Tubarao to Rotterdam
C3 - Tubarao to Qingdao
C5 - West Australia to Qingdao
C7 - Bolivar to Rotterdam 
C8_14 - Gibraltar/Hamburg transatlantic round voyage 
C9_14 - Continent/Mediterranean trip China-Japan
C10_14 - China-Japan transpacific round voyage
C14 - China-Brazil round voyage
C16 - Revised backhaul
C17 - Saldanha Bay to Qingdao

C2~C7とC17は運賃の指標、C8~C16は傭船料の指標となります。
私のnoteでは主にC8~C16の傭船料について分析していこうと思いますので、今回はC2~C7とC17の説明は割愛させていただきます。

C8~C10の後ろについている「_14 」についてはあまり気にしないでください。船の大型化や性能の向上などにより基準となる船のスペックが2014年に更新されたことによる「_14」です。


C8_14 - Gibraltar/Hamburg transatlantic round voyage 

俗に言う、TA (transatlantic) RV (round voyage)と呼ばれる航路です。
欧州のGibraltarからHamburgのエリアを出た船が大西洋域を横断して再びGibraltarからHamburgのエリアまで戻ってくる航路。


C9_14 - Continent/Mediterranean trip China-Japan

俗に言う、FH (fronthaul) と呼ばれる航路です。
欧州のContinent (北欧州/Rotterdamの付近) からMediterranean (地中海) のエリアを出た船がブラジルで貨物 (鉱石) を積み、中国から日本のエリアに向かう航路。大西洋のエリアに置いていた船を、太平洋のエリアに戻すことができる航路であることから、極東戻しと呼ばれることがあります。


C10_14 - China-Japan transpacific round voyage

俗に言う、PAC (pacific) RV と呼ばれる航路です。
中国から日本のエリアを出た船が太平洋域を縦断して再び中国から日本のエリアまで戻ってくる航路。基本的にはQingdaoから西豪州 (Port HedlandやPort Walcott) の鉱石を積んで再びQingdaoで揚げるといった航路のことを指すことが多いです。様々な航路の中でも特に活発な航路になります。


C14 - China-Brazil round voyage

この航路については特に俗称はありませんが、強いて言うならば南米RVでしょうか。
中国から日本のエリアを出た船がシンガポールを経由してブラジルの鉱石を積み、中国から日本のエリアに戻ってくる航路です。

定義されている航路の中で最も航海日数が長い航路になります。太平洋域に於いて何らかの理由ですぐに航海を決めたくなかったり、長い航海を希望する場合にシンガポールに向けて船を走らせ、C14の航海を決めるケースが多いです。
このようにシンガポールや南米に向けて走らせる船のことをバラスターと呼んだりします。


C16 - Revised backhaul

俗に言う、BH (backhaul) と呼ばれる航路です。
中国から日本のエリアを出た船が豪州/インドネシア/北米東岸/南ア/ブラジルを経由し、Skaw (デンマーク) やPassero (イタリア) まで戻ってくる航路。


船の定義

この世の中には様々な造船所からそれぞれ異なる設計書や性能の違うの船で溢れています。
ですので、同じ航路に対して同じ傭船料であったとしても、スペックの違いによっては高い/安いの判断は異なってきます。

なぜ突拍子もなくこのような話をし始めたかと言うと BCI の指標にも基準となる船のスペックがあるからです。詳しくは話すと長くなるので割愛しますが、「へぇ、そうなんだ。」程度には思っておいてください。
以下が、その基準となる船のスペックで「Baltic Capesize 2014 vessel」や、「BCI船型」などと呼ばれています。

180,000mt dwt on 18.2m SSW draft
Max age 10 yrs
LOA 290m, beam 45m, TPC 121
198,000cbm grain
14 knots laden / 15 knots ballast on 62mt fuel oil (380cst), no diesel at sea
12 knots laden / 13 knots ballast on 43mt fuel oil (380cst), no diesel at sea


今回はここまでになります。

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